輿石氏、話し合い解散を否定 深まる首相との溝
2012.5.14 23:40

 民主党の輿石東幹事長は14日の記者会見で、消費税増税関連法案の成立と引き換えに衆院を解散する「話し合い解散」に否定的な考えを示した。輿石氏は次期衆院選について、来年夏の衆参同日選になるとの見通しを示したばかり。狙いが「断固解散阻止」にあるのはもはや疑いようがなく、「話し合い解散」もカードに法案の今国会成立を探る野田佳彦首相との溝は深まる一方だ。

 「なかなか話し合い解散にならないんじゃないですか。何のために話し合いをするのか…」

 会見で輿石氏はそう言い放った。首相は消費税法案成立のために「話し合い解散」も模索しているだけに、首相との距離感を鮮明にした格好だ。

 「衆参ダブル」発言について、14日の役員会では「聞かれたから答えただけ」と火消しに走ったかにみえたが、直後の会見では態度を一転させた。

 前原誠司政調会長が12日に「解散に他の人間が言及することは控えるべきだ」と批判したことに「首相の専権事項に触れたわけでも何でもない。役員会で前原君は一言も言わなかった」と強弁。「今すぐ解散する状況でもないし、できる状況でもない」と述べ、行政改革の実現や衆院選挙制度の「一票の格差」是正など、解散の前提条件を次々と列挙した。

  藤村修官房長官が「(一票の格差問題で)解散権が縛られる規定はない」と断言していることに対しても、輿石氏は「ホー。最高裁を無視していくということだね?」と開き直った。

 党内融和をはかるために自ら必要と認めていた首相と小沢一郎元代表との会談についても「首相が『小沢氏と話をしたい』ということが先行する。僕が小沢さんに呼びかけて何をやるのかね」と開催の判断を首相に丸投げしてしまった。

 それでも一連の輿石氏の解散先延ばし発言をめぐって民主党内では「みんなの本音を代弁してくれた」(若手)などと好意的な受け止めが大勢だ。だが、その本音とは、敗戦濃厚な総選挙を回避したいだけの“党利党略”ともいえる。

 思いの丈をすべてはき出したからか、14日に76歳の誕生日を迎えた輿石氏は「かなり丁寧にやったんじゃないか」とスッキリした表情で党本部の会見場を後にした。(坂本一之)

(msn産経ニュース)