被災地復旧は特例加算で 大塚前厚労副大臣 「再建への課題 被災地の医療・介護」
共同通信社 10月21日(金) 配信


 2012年度は診療報酬と介護報酬が同時に改定される。東日本大震災で大きな損害を受けた被災地の医療や介護をどう立て直すのか。菅政権で厚生労働副大臣として医療、介護行政を担当した民主党の大塚耕平参院議員に聞いた。

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 ―被災地の医療、介護機関は大きなダメージを受けた。国としてどう対応するべきか。

 「壊れた施設の再建は国の補助金などで対応するが、問題はスタッフが戻るかどうかだ。特に医師らの流出が深刻だと聞いている。放射能の影響と、医療機関の採算割れが大きな原因。少なくとも採算割れの懸念は何とかできるはずだ」

 ―具体的には。

 「津波や原発の被害を受けた沿岸部を中心に一定期間、診療報酬に特例で加算する方法もある。被災地にとどまってくれるインセンティブになる。加算によって患者の負担が増えないよう、そこに国の補助金を入れるべきだ。災害復興には何年もかかるのだから、一時的な措置では対応しきれない。これは、基本的には介護報酬でも同じだ」

 ―診療報酬の配分を決める中央社会保険医療協議会(中医協)では「被災地対応は、診療報酬ではなく補助金でやるべきだ」との声が支配的。

 「医療財源の本体である診療報酬には手を付けず、一般財源から出す補助金だけで対応するというのは無理があるし、財務当局の理解も得にくいだろう」

 ―特定地域への診療報酬加算は過疎地などにも応用できるのか。

 「診療報酬が全国一律であった結果、医師が都市部に偏在することになっている。限界に来ている過疎地医療を救う手だてになるかもしれない」

※診療報酬と介護報酬 

 診療報酬は2年おき、介護報酬は3年おきに改定するため、2012年度は6年ぶりの同時改定。民主党政権は診療報酬の増額改定と、介護従事者の賃金アップを掲げており、今回の同時改定でも焦点の一つとなる。被災地の医療や介護サービスの再興費用の捻出も大きな課題だが、国の財政難を背景に、報酬本体に組み込むか補助金や基金として別建てにするかなど議論が分かれている。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2011/10/21/