公明党は4日、国会内で財政・金融部会を開き、赤字国債の発行を認める公債特例法案と、法人税の実効税率を5%引き下げる所得税法改正案に関する党内論議を開始した。だが、両法案を含む11年度予算関連法案を巡
っては、山口那津男代表ら幹部が相次いで反対方針を表明し、すでに流れは決しつつある。民主党は公明党の主張を取り込むことで何とか成立にこぎつけたい考えだが、法案修正の幅は狭まる一方だ。【岡崎大輔、横田愛】

 「恒久法という観点から、修正の余地があるのかどうか。かなり厳しい」。公明党の井上義久幹事長は4日の記者会見で、恒久財源確保のめどが立たないことを理由に、子ども手当法案に反対する意向を示した。

 井上氏は公債特例法案についても「(11年度予算案は)財政再建の道筋が示されていない。赤字国債の発行権限を政府に与えられない」と反対を表明。税制改正関連法案も「極めて場当たり的で、財源あさり」と切り捨
てた。

 3日夜には山口代表がCS放送の番組で「予算関連法案には賛成できないのか」と問われ、「それが筋だ」と明言した。山口氏は民主党との修正協議に含みを残しているものの、4日の財政・金融部会でも反対意見が大勢
を占め、実際にはハードルは高い。

 従来の公明党には、党の政策を実現させるため法案への賛否をぎりぎりまで留保する傾向があった。今回、幹部が早々と反対を表明したのは、与野党の攻防が大詰めを迎える年度末に「混乱の責任を押し付けられたらかな
わない」(幹部)という計算も働いている。

 それでも民主党は公明党に期待を寄せる。安住淳国対委員長は4日の会見で「『大幅修正』の具体的な中身をぜひ教示いただきたい」と述べ、法案修正のための幹事長会談などを呼びかける考えを示した。だが、公明党幹
部は「『事実上、修正は無理』と言っているのに勘違いしている」とにべもない。

 「これからも丁寧に議論を進めていきたい」。4日夜、記者団から今後の国会運営を問われた菅直人首相は言葉少なに語った。

毎日新聞 2011年2月5日 東京朝刊

http://mainichi.jp/select/seiji/news/20110205ddm005010003000c.html

※これを受けて、小沢一郎は2月解散を早々に予告した。