【ソウル=門間順平】北朝鮮による韓国・延坪島への砲撃で、韓国メディアの24日の報道などから攻撃の詳細が浮かび上がってきた。

 北朝鮮から最初の砲撃があったのは、23日午後2時34分。朝鮮日報によると、延坪島から北に約10キロ離れた茂島から、延坪島中央にそびえる山の南東部の中腹に位置する自走砲部隊などを狙った。韓国国防省によると、北朝鮮は21分間で150発余りを撃ち込んだ。

 このとき部隊員たちは、すぐに対応せず、一時避難。反撃を開始したのは、13分後の午後2時47分だった。

 朝鮮日報によると、韓国空軍は北朝鮮の砲撃が始まった直後の午後2時38分、韓国中西部・忠清南道の基地から、F16戦闘機、F15戦闘機計8機を現場周辺に緊急出撃させた。東亜日報は、北朝鮮側から砲弾を発射する兆候が見られたら、上空から打撃を加えるとの指示を受けていたと報じたが、実行に移されなかった。北朝鮮も現場上空に旧式のミグ23戦闘機を飛ばした。聯合ニュースによると空中戦一歩手前の状況だったという。

 韓国の反撃後、北朝鮮の砲撃はいったん停止。しかし、同3時12分から、北朝鮮が再び砲撃を始め、韓国側も激しく応戦。北朝鮮は茂島から、さらに2キロ離れたケモリ海岸の基地からも砲撃も始めた。同3時41分以後は、双方から新たな砲撃は行われていない。

 今回、北朝鮮は砲弾が放物線を描く「曲射砲」を使った。

 延坪島に展開する自走砲などや集落は、島の南側にあり、北朝鮮側からは、島の中央の山の向こうになる。砲弾が直線的に飛ぶ直射砲では、山越えの砲撃は困難だ。北朝鮮の攻撃には入念な準備の跡がうかがえる。



[ 2010年11月25日8時25分 ]