1/31号 「メディカルスクールは先送り」鈴木・文科副大臣

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2010年01月31日

 「今年からいよいよ新設のクライテリア(基準)の議論をする。いろいろな手順があり、マニフェストを作るときにも、若干の議論があった。これは決まったことなので紹介するが、メディカルスクールはアイデアとしては否定するわけではないが、その議論は少し先送りにし、医学部6年制という既存の枠組みの中で考える」

 1月30日に東京都内で開始された、第61回NPO法人医療制度研究会「民主党が考える医療政策」で、こう発言したのは鈴木寛・文部科学副大臣。4年制のメディカルスクールについては、四病院団体協議会メディカルスクール検討委員会などから創設を求める声が出ていました(「メディカルスクール創立を四病協が提言 - 日本精神科病院協会副会長・山崎学氏に聞く」を参照)。

 2010年度の医学部定員は、2009年度比360人増(「過去最大を更新、2010年度医学部定員は8846人」を参照)。民主党はマニフェストで「大学医学部定員を1.5倍にする」と掲げています。鈴木副大臣の発言は、「既存の医学部の定員増と医学部新設の両方を検討する」という意味です。

 「文科省、厚労省、総務省は当然のこととして、大学関係者、高校の進路指導の先生や、患者さん、メディアなど、すべての関係者にテーブルに座っていただく」と鈴木副大臣。

 1979年の琉球大学以降、医学部の新設は凍結されています。民主党政策集INDEX2009には、「既存医学部の増員、看護学科等を持ち、かつ、病院を有する大学の医学部設置等を行います。医師養成・協力機関等に十分な財政的支援を行うとともに、奨学金を充実させます」と記載されています。今後、どんな議論が転換され、どこの大学が医学部新設に手を挙げるかなど、注目されるところです。

 もっとも、果たして「1.5倍」という数字が妥当かという議論はあります。同じく30日のシンポジストの一人、梅村聡・民主党参議院議員は、「マニフェストの中で、医療界に最も評判が悪かったのは、医学部定員を1.5倍に増やすということだった」と明かしました。「政策的に医師を増やすことは必要だが、1.5という数字については若干議論がある」とした上で、梅村議員は次のように述べました。

 「今の医療提供体制や医師の養成課程をそのままで、つまり条件をすべてフィックスした上でどのくらい必要かと聞かれれば、医師の36時間連続勤務などの問題を考えると、私としては1.5倍は必要だと思う。ただ専門医制度が今のままでいいのか、総合医(かかりつけ医)はどう考えるかなどの問題がある。この辺りは医療界の先生方から意見を出していただき、患者さんの意見も踏まえ、オーソライズされたものが出てきた中で、この1.5という数字を検討しなければならない。

 また医師の仕事の範囲をどう考えるかという問題もある。日本の成長戦略を考える上で、研究医はこれから必要。公衆衛生を政策に生かすためにも、この分野の医師が必要。医師という範囲を臨床に限るのか、もう少し広げるのか、この議論を同時にしなければ1.5という数字はソリッドなものにならない」

 さらに鈴木副大臣は、医学部定員を増やしても臨床現場で活躍するようになるには、10年近くかかることから、「この10年間をしのぐためには、当然、医師の偏在の問題に直ちに手をつけなければならない。コメディカルとの役割分担の話もやらないといけない。10年後にはこれらの問題が恐らく解決しているだろう。逆に言えば解決していなければ、“終わっている”」とコメント。

 つまり、医師不足対策として、短期的には医師の偏在、コメディカルとの役割分担、中期的には医学部定員増を行いますが、これらの議論は同時並行的に進められていくことになります。


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