電話でタミフル処方OK 厚労省、現場に周知徹底へ

2009年9月24日 提供:共同通信社



 新型インフルエンザ感染者の急増による医療機関の混乱を防ごうと、厚生労働省は「再診に限り、電話による診察のみで抗ウイルス薬の処方を認める」との新対策を、先月まで2度にわたって都道府県に伝えた。しかし、現場に行き届いていないことが20日までの同省の調査で判明、あらためて周知徹底を図る。

 対象となる患者は、慢性疾患があり定期的にかかりつけ医の診断を受けている人と、過去に発熱などの症状があり、同じ医師の診察を受けたことがある人。いずれも医師が薬の投与に問題がないと判断することが条件。

 処方せんは患者が希望する薬局に医師からファクスなどで送られる。患者には外出自粛を求め、家族らがタミフルなどの薬を受け取る。患者本人は医療機関に足を運ぶ必要がなくなる。

 医師法20条は、医師が薬剤を処方する際、原則として患者に直接会って診察しなければならないと定めているが、厚労省は「過去に直接診察を受けた患者に限っての措置なので、この規定には該当しない」と判断。5月と8月にそれぞれ、この方式を認める通知を都道府県に出した。

 しかし同省が今月になって取りまとめた調査では、自治体側から医療機関に周知されているのは27道府県にとどまっていることが判明。同省は「医療現場からの問い合わせも多く、きちんと情報が伝わっていない」として、現在再改定を検討中の「国内対応の運用指針」に通知内容を盛り込むなどして徹底を図る。

 7月に感染が急拡大した英イングランドでは、感染が疑われる人が医師の診察を受けずに電話やインターネットによる自己申告を通じて抗ウイルス剤を入手できるシステムを導入。その後、感染のペースが落ちたという。

 運用指針の再改定をめぐっては、医療機関の負担軽減に向け、集団発生の把握中止を明記することや、ワクチン接種の優先順位を盛り込むかどうかについても調整している。