古川真人 著
ラッコは、主人公の70代女性のタツコのこと
携帯の音声認識システムで、「タッコ」と言ったら、「ラッコ」と認識された
一人暮らしのタツコは、加齢とともに視力の衰えがはなはだしい
そんな彼女のことを思ってか、姪っ子やら、姪の子どもやらが、定期的に彼女の家に集う
買い出しをしてあげたり、夕飯を作って一緒に食べたり
この日も、なんとも賑やかな夕べだ
全編容赦のない方言ベース
でも、なじみのある九州の方言だから、イントネーションまでが伝わり、ライブ感を肌で感じたw
本書(73p)の三分の二程度が、「 」無し、ほぼ改行無しで進む
同じシーンに、登場人物が6人以上いるのに、「 」無しのため、誰が話しているのか混乱する
さらに、その会話中に、タツコの妄想というか、想念というか、記憶の手繰り寄せというか、そういう類いも含まれてくる
気を緩めると、読者の混乱は広がる
お盆やお正月に、おばあちゃんの家に集まるいろんな世代の親族
そこで、繰り広げられる会話やなつかしい雰囲気に似ている
ポンポン話題は飛躍し、馬鹿笑いは起きる
がやがや、カチャカチャといろんな音がしてくる
ほんのりとした幸せを感じる
こちらの作品は、第161回芥川賞候補作品だった
それにしても、芥川賞系は、じんわりとした味わいは感じるが、なんとも読みにくい!