札幌交響楽団

第603回 定期演奏会(昼公演)

札幌コンサートホールKitara

[指揮]下野 竜也

[チェロ]宮田 大

[曲目]

スッペ:喜歌劇「ウィーンの朝・昼・晩」序曲

グルダ:チェロとブラスのための協奏曲

ブルックナー:交響曲第1番 ハ短調(ウィーン版)

 

札響のブルックナーを聴くのは2014年9月、児玉宏指揮6番以来、ちょうど3年ぶり。

この際も、kitaraに響くVn、金管が特に素晴らしかったように記憶していますが、この日も素晴らしい響きを聴くことができました。

 

スッペ、グルダはウィーンつながりでプログラミングしたとのこと。

ピアニスト、グルダの作品はもう一度聴きたいかというと微妙ですが、Vcソロの宮田さんは渾身の演奏。バンド風の作品に対して下野氏、オケメンバーも少し衣装を変えての演出に、お客さんの反応は後半よりこちらの方が上々。

宮田さんのアンコール、無伴奏3番ブーレはC線をブンブン鳴らしてのモダンな演奏。良い選曲でした。

 

後半、ブルックナー1番!ウィーン稿!は、たしか2015年8月、山響/飯森(コンマスは東響の田尻さん)以来。この際(山形テルサ)は12型で、コンパクトで室内楽的な響きを楽しめましたが、今回は14型(Cbは7)でヴィンヤード型ホールでの演奏ということもあり、後期交響曲寄りのスケールの大きい演奏に感じられました。

 

下野さんのテンポ設定は気持ち遅め。シュターツカペレ・ベルリン(2016年2月)や都響/小泉のリンツ稿での演奏よりやはり遅めです。

というのも、ウィーン稿は4楽章、練習番号SにLangsamer、XにLangsamとあるように、リンツ稿のように一気呵成に終結せず、雄大にC-Durが響いて曲が終わるように書かれているからだと思っています。

この稿でのCDはシャイー/ベルリン放送響のテンポ設定がすばらしく(最後のCbで弾かれるC音の密度!)、それこそ自身の臨終の際聴きたい演奏の一つです。

今回の演奏はその録音に肉薄する内容で、最後のC-Durに向かってXあたりからウルウルしてしまいました。

下野さんの個性が出ていたのは、4楽章KのSehr Langsam(非常にゆっくりと)の箇所。譜面の指示に反してこの楽章冒頭に近いテンポでの演奏。これはこれで面白く聴けました。

 

[札響について]

札響の演奏はサントリーでのシベリウス5~7番でも聴いていますが、今回、1楽章DからVa、Vc表の奏でる旋律、音色が非常に良かったです。

Cbは3年前と同様に芯がありつつ豊かな響きを奏でていていました(3年前のトップは元読響の星さんで、てっきり星さんのおかげなのかと思っていましたが、もともとポテンシャルがあったようです)。

ペットトップは音が当たっているのはもちろん、プラスα、トランペットがオケの中で示す方向性をしっかりと決めているように感じられ素晴らしい。

ホルントップも優秀。

Flは若干、転がってる感はありましたが、それ以外問題なし。

 

[kitaraについて]

都内だとサントリーに近いでしょうか。同じヴィンヤード型ですし。

 

来月、エリシュカも聴かせて頂きます。