第4回目となった4月のわかやまコメルは、旬を迎えた「トマト」で「無添加」のソースをつくりレシピを皆で共有しました。

 

1時間目は「無添加とは」「トマトの栄養」についての授業を行い、そこから美味しいソースをつくる方法を論理的に導きだしました。

 

 

無添加とは

特定の物質が使用されていないことを表す表現であり、何が無添加であるというような規定はない。法律に特に定められているわけではないのでグレーゾーンでもある。


食品添加物

食品製造の際に添加する物質のこと。


・食品の製造や加工のために必要な製造用剤
【例】豆腐を固める凝固剤(にがり)、小麦粉から麺を作る時に加える鹹水、ビールなどの濾過の際に使用する活性炭など

 

・食品の風味や外観、色合いを良くするための甘味料、着色料、香料など

 

・食品の腐敗、変質を遅らせて保存性を良くする保存料、酸化防止剤など

 

・食品の栄養成分を強化する栄養強化剤

 

そもそも無添加とは

着色料が入っていない食品Aがあったとしてその一方で防腐剤が入っていない食品Bがあったとします。これはどちらも「無添加食品」になります。無添加と聞くと添加物が一切排除されたものと思いがちですが、決して無添加とは全ての添加物が一切入っていないという意味ではありません。


添加物による健康への影響

添加物全てが悪いわけではなく、添加物がなければ作れない食品も存在します。添加物それぞれによる特徴をよくとらえて自分に合った食生活をおくることが必要。

 

<例>
リン酸塩は体内のミネラル(カルシウムなど)と結合し対外に排出される効果をもっています。
リン酸塩はハムやソーセージ、ツナ缶などの水産加工品、インスタント麺やインスタントコーヒー、清涼飲料水など多岐にわたり使われています。現代においてはそれら全てを「食べない」食生活は難しい状況にあるので、手作りの料理に工夫を重ねることが必要になります。

 

 

 

トマトの特筆すべき栄養

抗酸化成分が豊富はトマトですが、もっとも注目されている栄養がリコピンです。

トマトの鮮やかな赤色はリコピンによるもので、強力な抗酸化作用が老化防止に役立ついわれています。

 

リコピンはカルテノイドの一種で、有害な活性酸素の働きを抑える強い抗酸化作用があります。その働きはβ‐カロテンの2倍、ビタミンE100倍もあります。優れた抗酸化作用を有しており、活性酸素が原因と考えられる様々な疾病の予防作用が期待されています。 脂溶性であることから油とともに摂取すると吸収性が高まります。

 

そして効能や効果としては、血中のコレステロールの酸化を予防して血栓を防ぎ、血流を改善する働きや肥満予防にも有効な成分です。

 

リコピンは体内に吸収されにくく、油や牛乳と一緒に摂取することで吸収が向上することが知られています。 トマトを加熱することでリコピンが体内へ吸収蓄積されやすくなることが近年の研究でわかるようになりました。 これは、加熱によりトマトの細胞が壊されてリコピンが細胞の外に取り出され、リコピンの構造が体内に吸収されやすい形(トランス体からシス体)に変化することによるためと考えられます。 トマトに含まれるリコピンを効率的に吸収蓄積するために、トマトの加熱調理やトマト加工品の利用がお勧めと言われています

 

トマトに含まれるリコピンは、調理などで与えられる熱には強く、すぐには分解されませんが構造が変化(トランス体からシス体へ変化)することが知られています。

 

 

 

βカロテンとは、緑黄色野菜を中心に、野菜全般に含まれる赤橙色の色素のことを言います。主に小腸から吸収され、必要に応じて体内でビタミンAに変化します。 体内ではβカロテン自身の働き、ビタミンAとしての働き、他のビタミンの効果を促進する働きを持ち、野菜から摂取する栄養素の代表格とも言えるほどに有名かつ有能な物質です。

 

βカロテンは高い抗酸化作用をもつことが特徴です。 加齢による様々な症状は、体内に蓄積された活性酸素が細胞に損傷を与えることで発生します。身体の老化と体内の酸化は深く関わっており、βカロテンの抗酸化作用によって活性酸素の影響を抑えることで、身体全体の老化現象を食い止めることができます。

 

ビタミンAの推奨量は定められており、βカロテンから変換されるものと別にレバーなどに含まれる動物性の「レチノール」が存在します。レチノール由来のビタミンAは過剰摂取によって身体に悪影響が出ることが知られており、推奨摂取量の上限と下限が定められています。

 

しかし、βカロテンは体内に蓄積された後必要に応じてビタミンAに変換されるため、βカロテンそのものの過剰摂取を気にする必要はありません。

 

βカロテンは熱にも水にも強い栄養素です。加熱調理しても栄養価は失われず、むしろ体内に吸収されやすくなります。生のまま食べるほうが吸収効率は悪いので、煮る茹でるなどおいしく調理して食べましょう。 人参の場合、生で食べると含有量の8%程度しか吸収されませんが、煮た場合は30%程度が吸収されると考えられています。

 

βカロテンは脂溶性の栄養素です。油に溶けるため、野菜炒めなどの油をつかった調理方法で効率よく摂取することができます。人参であれば、油で炒めることで、含有量5070%βカロテンが吸収されるようになります。

脂肪はβカロテンの吸収に不可欠です。極端なダイエットで脂肪を落としてしまうことは、

βカロテンの吸収を妨げることに繋がります。

 

 

 

トマトの酸味はクエン酸によるものです。疲労回復に優れた効能がある栄養で、その含有量は野菜類の中でトップを誇ります。

 

トマトに含まれるクエン酸の量はミニトマトが最も多く、野菜類ではダントツのトップとなります。これは大玉や中玉に比べ皮の量が多いからです。クエン酸が疲労回復に効くと言われるのは、エネルギーを生成するためです。クエン酸はTCAサイクル(クエン酸回路)と呼ばれる、体内でエネルギーを生産をする働きを活発にし、脂肪や乳酸を分解してエネルギーを生み出します。

 

 

 

トマトにはうま味成分のグルタミン酸やアスパラギン酸も含まれています。同じくうま味成分のイノシン酸との相性が良く、肉や魚などと一緒に調理する煮込み料理や、肉料理の隠し味として加えるのもおすすめです。

 

グルタミン酸は種やゼリー状になっているところに沢山含まれているため生のままソースにするときも丸ごと使うのがおススメです。

 

しかし、この種の部分が酸っぱいと感じる部分でもあります。

この旨味は加熱することでアップするのですが酸っぱさも際立ちます。これを緩和するにはゼリー状の種の部分を取り除くと酸味が緩和できます。また、アルカリ性の食材とあわせることで甘味を引き出すこともできます。例えば海草や野菜、果物、などでトマトを煮込むと甘味がたちます。

砂糖を入れてしまうと、砂糖は酸性食品なので甘味をつけることができても、トマト本来の甘味を引き出すことにはなりません。

オリーブオイルやワインもアルカリ性なので甘味を引き出します。

 

例えばオリーブオイル、タマネギ、トマトをじっくり炒め赤ワインを入れるととっても甘いソースが出来上がります。

 

 

 

難しくなりましたが、以上のことをふまえて無添加のトマトソースを2時間目に皆でつくりました。トマトの長所が活かされた、この時期にしか味わえない特別なソースに仕上がりました。

基本のソースとなるので、ここからアレンジしオリジナルのトマトソースとして皆さんで活用して頂ければと思います。