EU離脱の投票結果は、イギリスのキャメロン首相が近く退陣することを表明するなど、
政治や経済・金融に限らず、今後、様々な影響・波紋が世界中に及ぶことでしょう。
今回の投票結果は、国民投票法を有する我が国にとっても、
いろいろと示唆に富むものだと思います。
言うまでもなく、国民投票は、直接民主主義の方法でありますが、
今回のように「離脱か残留か」という二者択一の投票を迫る場合、
その中間にある意見は、必然的に切り捨てられてしまいます。
例えば、
「EU基準の細かい規制の適用を緩和してもらえればEUに残留してもよい」
とか、逆に、
「南欧の金融基盤の弱い諸国への規制を強めない限りEUを離脱すべき」
といった条件付きの意見を持つ有権者は、投票に際して苦渋の決断を強いられたり、
あるいは、双方の陣営による宣伝や扇動によって判断が揺らいだりします。
実は、そうした中間的な意見や条件付き意見を汲み取って熟議を尽くし、
国としての方向性を慎重に決めるのが、議会(国会)であり、
こうした方法こそ、間接民主主義の妙味であると言えます。
国民投票のような直接民主主義のような方法で国の根本的な方針を決めるというのは、
ある意味、議会に任せておけない、つまり議会不信の裏返しなのかもしれません。
しかし、大事なことだからといって何でもかんでも国民投票で決め、
物事を二元論で割り切っていってしまうと、振り子のような国政運営になりかねません。
これに似たことは、つい最近、我が国でも経験しているところです。
例えば、単一論点の郵政解散で大勝利した小泉政権のわずか数年後に、
逆に、政権選択という論点で民主党政権が誕生しました。
こうした振れ幅の大きな国政は、結局、そのしわ寄せが
国民に跳ね返ってくる恐れがあるのではないかと心配します。