題しらず

在原元方

立ちかへりあはれとぞ思ふよそにても人に心をおきつ白浪

 

〈古今和歌集  巻第十一  恋歌一    474〉

 

 

++++【古今和歌集(片桐洋一著、笠間文庫)の訳】++++

 

くりかえし、しみじみとあなたのことが思われる。

遠く隔たっていてもあなたに対してあの白浪が寄せるように

我が心を寄せているのですから。

 

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□□□□□□□【和歌コードで読み解いた新訳】□□□□□□□

 

 

(※『和歌コード』とは、直訳では出てこない言葉の裏に隠された解釈のこと。

この和歌に込められた作者の意図をより深く読み取った

しじまにこのオリジナル訳です。)

 

 

題詞;テーマは伏せておきます

 

作者;在原元方

 

 

また年が改まりましたね。

 

素晴らしく立派な人物でいらっしゃったあなたに

 

もう会えないので、

 

何度も悲しく、寂しい気持ちになりますよ。

 

あなた(清和天皇)は31歳の若さで遠いところ(天国)へと

 

旅立たれました。

 

あなたがどんなに遠くに行こうと、

 

私が四十歳になって白髪とシワが現れても、

 

お慕い申し上げていたあなたのことを心に留めて

 

泣いているのです。

 

 

 

 

 

□□□□□□□【和歌コード訳の解説】□□□□□□□

 

一つ前の歌に続いてのテーマです。

清和天皇が若くして亡くなられた時に

詠まれたものでしょうか。

 

たちかへり;繰り返し。再び

年たちかへる;年が改まる。新年を迎える

あはれ;愛しい。悲しい。寂しい。

よそ;四十路

よそ;遠い所(天国)

おく;霜が降りる。泣いている

しらなみ;白髪とシワ

しらく;白くなる

なみ;しわ