伊那市議会 / 平成29年 9月定例会 一般質問 | 若さんのつれづれ日記 ~前伊那市議会議員 若林敏明 オフィシャルブログ~

○議長(黒河内浩君) それでは、休憩前に引き続き会議を再開いたします。
 若林敏明議員の質問に入ります。
 13番、若林敏明議員。
     (13番 若林敏明君登壇)


◆13番(若林敏明君) それでは、あらかじめ通告いたしました3点につきまして、市長の見解を伺いたいと思います。
 今回のテーマは、抜本的な松くい虫対策について、東京サテライトオフィスの開設、地域に暮らし続けるための交通手段の確保について、以上、3点なんですが、この3日間で、かなり多く議員が質問されておりまして、残ったところを落ち穂拾い的にですね、少しアドリブを入れて質問いたしますので、アドリブでお答えください。
 第一に抜本的な松くい虫対策であります。
 なかなかとまらない松くい虫被害です。平成18年に伊那へ入ってきて、ほんとは田原でとまるべきところだと思いますけれど、なかなかとめられなくて、今、高鳥谷山系が真っ赤、あるいは手良や美篶も赤くなってきているという状況が続いています。
 そもそも国レベルで行けば、昭和54年がピークということですので、全国的には、既にピークを越えておるんですね。長野県のピークが平成28年において、全国一の被害量になっておりますから、長野県が一番被害の最先端にあるかと思います。そしてしかも、この上伊那が一番被害量がふえている。逆に言うと、松本平や上小のようなところは、そんなに伸びていません。伸びていないというのは、もうピークを超えてしまっているわけです。ある意味、上伊那の北上と東進を、今、上伊那でとめているというのが現実だと思います。そして、まさに上伊那こそが、伊那のアカマツ、いわば、1つのブランドとして大事にしていこうという、50年の森林(もり)ビジョンにあるわけですが、とめるんだったら伊那でとめなければいけないというふうに思うわけですが、どのようにお考えでしょうか。
 次の4点を提起したいと思います。
 まず第一に、越年木をつくらないこと。つまり、発見して、その年に処理せずに年を越してしまうということですが、松くい虫被害は山火事と同じで、最先端部で消し切らないととまりません。ことし発見した被害木を処理せず越年させること、そこからまた広がってしまうわけです。タイムリミットは6月、松を枯らすのは、やはりマツノザイセンチュウですが、それらを運ぶのはオオマダラカミキリでありまして、それが羽化、脱出するのが、いわゆる繁殖期が毎年6月なわけです。その6月を迎える前に、被害木を処理しなければ、再び被害がふえてしまうということであります。このまま策を講じなければ、ことしの越年木、未処理木は何本になるのでしょうか。それを処理できるだけの補正予算を、今こそ、9月議会、あるいは12月補正で組むべきではないかと思うわけですが、市長の見解を伺いたいと思います。


○議長(黒河内浩君) 白鳥市長。


◎市長(白鳥孝君) この松枯れですけども、上伊那では、中川から北上を始めまして、つい数年前までは標高700メートルまでは大丈夫だと言われていたのが、800メートル、今、900メートルまで広がっております。あちらこちらが赤くなってくるわけですけども、非常に赤くなる、困るなと思って見ております。
 その中でも、伊那市では平成18年に松くい虫が確認されたわけであります。その後、熏蒸処理、それから伐倒駆除したり、また破砕処理をしたりということで、鋭意、取り組んでまいりました。当初は1,500万円とかいうお金を使ったりした時期もあります。それが年々ふえてまいりまして、平成28年度でありますが、4,400万円という多額なお金を計上しております。もちろん、これは市費だけではないんですが、国からのお金もいただきながら処理しておりますが、余りにも処理量が多くて対応し切れてないという状況であります。
 今年度の未処理木につきましては、来年度の早い時期に処理する予定でありますけれども、新たな松くい虫にかかった被害木、これも発生しますので、危険度、またそれから、最先端かどうかということも含めて、そうした総合的に判断して対応したいと思います。
 伊那市としては、樹種転換も推進しております。先ほど、伊那の松の話がありましたが、伊那のアカマツは、全国的にも有名な「伊那松」というブランド名で呼ばれています。この伊那松は、全国津々浦々まで知られている木でありますので、こうしたアカマツの保全もしつつ、またこうした木が松枯れにあわないように、守るべき松林、あるいは財としての区分、線引きをしながら、引き続いて松くい虫対策に取り組んでまいりたいというふうに思います。


○議長(黒河内浩君) 若林議員。


◆13番(若林敏明君) それで未処理木は何本あるんでしょうか。


○議長(黒河内浩君) 富山農林部長。


◎農林部長(富山裕一君) これまでの累積もございますので、処理要望があって処理できない未処理木は、約900本程度と考えております。


○議長(黒河内浩君) 若林議員。


◆13番(若林敏明君) 900本、去年の実績で行けば、2,600立米のところを、実際には1,300立米ということですから、約半分くらい残しているわけですね。それで去年の予算に行けば4,400万円、4,400万円で1,300立米を処理してるということですね。ということは、つまり、その倍は残しているわけですから、部長のほうから900本と言いましたけれど、仮に、単純に計算して1,300立米残ったとして、今の予算のちょうど倍、つまり、もう4,000万円が必要になるというふうに私は思います。ここが大事なところで、ことし新たに、この年度中に4,000万円を補正で組んで、ことしの冬、処理しておけば、越年木はなくなるということなんです。つまり先端部の山火事は消せるんです。ことし消さなければ、また伸びてしまうわけです。
 先ほど、越年木のメカニズムを説明したとおりです。それで、もちろん市長も十分承知しているわけですけれど、来年、当初の処理をというふうにおっしゃいましたけど、ということであれば、やはりことしの年度中に補正を組み、早い段階で業者が準備しなければ6月の繁殖期に間に合わないのではないかと思うわけです。ぜひとも、9月補正とは言いませんけれど、12月補正には、越年木を1本も残さない覚悟で補正を組んでいただければ、多分、ここにいらっしゃる議員の皆さんは賛成していただけれるというふうに思うわけです。もう一度、そこのところ、ことし、この年度で、きちんと越年木をなくせるかどうか、なくす決意があるかどうかを確認したいと思います。市長、いかがでしょうか。


○議長(黒河内浩君) 白鳥市長。


◎市長(白鳥孝君) 理屈の上ではそうだと思いますが、実は目視で松くいにかかってるかどうかという判断は、非常に難しいわけであります。黄色くなったり、赤くなったり、そこまで来ると私たちの目でもわかるんですが、まだまだ青々とした緑でもかかってる木もあります。そうしたことを、まず判断するような技術の開発も必要だという取り組みを、実はしております。
 あと、この倍のお金をかければという話もありますが、国からの交付金、これを使ってやっておりますので、もし、これを使わないということになると、全額市単でやるということになります。
 さらに、もう一つ、私自身が心配しているのは、松くい虫、マツノザイセンチュウを運ぶ、マツノマダラカミキリ、これが飛翔する距離というのは500メートルぐらいというふうに言われておりますので、最先端をやっても、それから後方ですね、500メートルのところにあれば、また先に行ってしまうということになりますので、ここら辺が非常に、この松くい虫対策の難しいところだというふうに考えております。
 今まで、何十年もかかって、皆さんが必死になって取り組んできても、とまらないということを、そういう実例を、この伊那市で何とかということでやってはまいりましたけども、今のところ、決定的な松くい虫対策というのができていないというのが現状であります。


○議長(黒河内浩君) 若林議員。


◆13番(若林敏明君) いや、それで、こちらが質問してるのは、市単でお金がかかるからという理由でしょうか。つまり、越年木をなくすということは不可能だと考えておるんでしょうか。それとも、ことしきちんと越年木をなくすだけの補正を組もうと考えているのでしょうか。


○議長(黒河内浩君) 白鳥市長。


◎市長(白鳥孝君) 私の言ったことを総合して考えていただければ、なかなか難しいという結論になろうかと思います。お金をかけてやるということだけであれば、それはできるんでしょうけども、実はそれだけでは、この松枯れというのは対処できないものですから、そこら辺が非常に難しいということであります。


○議長(黒河内浩君) 若林議員。


◆13番(若林敏明君) もちろん、越年木が全て問題を解決するわけではありません。しかし、ことしの5月に開かれた伊那市の松くい虫対策の中でもそのことは報告されていて、最も重要な課題として越年木を残さないということが必要であると書かれているわけです。そうして、また実際に、それが繰り返されているわけです。ことし、きちんと消しておけば、火を消したところから始まるのではないでしょうか。山火事が広がってる最中に火を消さずに処理するということはあり得ないと思うんです。松くい虫もそうで、ことしお金をかけて、倍額になるかと思うんですけれど、きちんとかけて消してしまうと、最先端部の進むことを一気に抑えると、そこから対策が始まるのではないかと思うわけです。ぜひとも、まだチャンスが、12月と3月と補正があるわけですから、この年度内にきちんとお金を積んでいただきたいと思うわけです。
 加えて、市単ではと先ほどおっしゃっておりましたけど、それこそ、ふるさと納税があるのではないかと思うわけです。ふるさとの山や川、自然環境を守ってほしいということに使ってほしいという、ふるさと納税額があるわけですから、一定の額をそこから拠出することを、やぶさかではないのではないかと思うわけです。
 2つ目の提案です。第2に、処理の優先順位、トリアージを実施すること提案いたします。
 申請のあった枯損木は、まずドリルで穴をあけ、樹脂をとり、ザイセンチュウの有無を確認し処理します。これまでにザイセンチュウが発見された木でも、放置されたままあれば完全に枯れてしまい、ザイセンチュウは生き続けられないということです。処理を急がなければならないのは、まだ生きていてザイセンチュウが増殖している木であります。したがって、処理木には優先順位、トリアージをつけて効率的に発注すべきであります。トリアージは、災害時の生存者を確認するときに色分けをして、生き残れる人を早く見きわめて手当てをするという仕組みです。まさに、松枯れにおいても、申請した者を順に処理するというのではなくて、トリアージを実施すべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。


○議長(黒河内浩君) 富山農林部長。


◎農林部長(富山裕一君) 今、おっしゃるように、処理を急がなければならない木は、確かにまだ赤くならない、なおかつ、マツノザイセンチュウが入った木でありまして、それを目指してやっております。マツノザイセンチュウの調査は、感染木等に職員がドリルで穴をあけまして検体をとり、地域振興局林務課へ調査を依頼します。林務課では簡易検査しかできませんので詳細検査はできません。林務課では塩尻市にある林業センターへ検体を送付して詳細な検査を行います。こういったことから、結果が出るまでに時間を要するものがあります。こういったことから、全て感染木を検査することは困難であると考えております。ただ、明らかに、今、冒頭申したような、早期の松枯れを疑う木がありますので、そのような木から処理するよう優先順位をつけて処理してまいります。


○議長(黒河内浩君) 若林議員。


◆13番(若林敏明君) その優先順位なんですけれど、災害時でのトリアージで行けば色分けします。具体的に、赤とか白とか黄色とか黒とか、同じように処理木に対して年度分け、つまり、繁殖期の6月を境にして、毎年、きちっと色を変えていく、そのことでわかりやすくなって処理しやすくなるというふうに思います。そして、あわせてきちんとそのことを記録していくことによって、越年木を少しでも減らしていくという努力はできるのではないかと思いますが、その優先順位のつけ方について、どのように考えていますでしょうか。


○議長(黒河内浩君) 白鳥市長。


◎市長(白鳥孝君) いい提案だと思います。ただ、現場に入って、何百本、何千本という中で、それをトリアージしていくというのは、極めて困難かなと。もっと別ないい方法があれば、そうしたものに頼っていくという手もあろうかと思います。後ほど、ドローンに関しても出てまいりますけども、信州大学と一緒に、さまざまな取り組みをしている中でも、松枯れを機械的な目で判断できないかというような研究もされているようですので、そうしたことが確立されれば、マンパワーではなくて、短時間で確実に、しかも、どこの山の、どの木が、どのレベルなのかというところまでわかるようになれば、今の提案については、かなり効果が出るのかなという気がいたします。


○議長(黒河内浩君) 若林議員。


◆13番(若林敏明君) それは、いい提案だと思いますが、それは、来年使えないわけですから、とりあえずできることは、色分けしてきちんとトリアージを始めてもらいたいというふうに思うわけです。
 3つ目の提案は、発注内容と発注事業者の拡大であります。
 対策事業は、ただ切る作業ばかりではなくて、先ほど、部長もおっしゃったとおり、まず、マダラカミキリのモニタリングポストがあって、モニタリングをしているわけです。マツノマダラカミキリが飛んでくるかどうかは、まず発見することが第一段階です。
 次に、枯損木の発見。次に、地権者の確認と承認。次に、申請手続。次に、作業道などの整備。次に、伐採。次に、破砕、薫蒸処理。
 現在担当市職員は1人です。きのうの報告で、臨時職員を1人つけたということの発表がありましたけれど、年度当初の発注業者は、数年前まで1社だったんですが、今、4社までふやしています。今、示した事業内容を民間事業者や地元自治体組織に積極的に発注して、強力で迅速に実行できるような体制をとるべきだと考えています。要は、住民と行政が力を合わせて総力戦だというふうに思いますが、発注事業の内容を分散させることと、事業者を拡大することにつきまして、御意見を伺いたいと思います。


○議長(黒河内浩君) 富山農林部長。


◎農林部長(富山裕一君) 今、御指摘がありましたとおり、松くい虫対策に市として従事する職員は1名ですが、必要に応じての職員がサポートしているという状況であります。また処理業者もふやしたところであります。また、富県地区については、地元3団体にも処理委託を行いまして、迅速を図っているという状況であります。
 今、御指摘の松くい虫被害の調査から処理まで、一括委託することも可能であると考えますけども、費用がかかってしまうのではないかという恐れがあります。そのため、今までの処理量を実施することが困難となり、逆に被害の拡大が進んでしまう恐れもあるというふうに考えております。ただ、早期発見や迅速な処理までの行程で、地元や事業体との連携を強化し、効果を上げていくことが必要でありますので、そのあたりの連携を密にして、効果的な対応に努めてまいりたいというふうに思います。


○議長(黒河内浩君) 若林議員。


◆13番(若林敏明君) ことし、業者は4業者だったと思うんですが、それをふやすということがあり得るのか、どうなんでしょうか。


○議長(黒河内浩君) 富山農林部長。


◎農林部長(富山裕一君) 現在、竜東と竜西に分けまして、破砕と薫蒸に分けて対応しております。現時点では、入札方法を変えるということは考えておりませんが、柔軟に、より迅速な処理が進むような方法を検討してまいりたいと思います。


○議長(黒河内浩君) 若林議員。


◆13番(若林敏明君) ぜひとも、次の発注の際には、事業者及び地元の団体への発注を柔軟に考えて、できるだけ分散させて、総力戦で取り組んでいただきたいというふうに思うわけです。
 次の質問をしたいと思います。
 4つ目にはドローンの活用であります。既に、プランの中では、ドローンの実証実験の中には、松枯れのピンポイントの消毒、空中散布の案が出ております。現在、検討されているのが被害木に対するピンポイント薬剤散布ですけれど、課題もあり、あるいは時間はかかるわけですから、重要なのは、元凶であるオオマダラカミキリの飛来を早期に発見することではないでしょうか。モニタリングポストの密度をもっと上げて、ドローンにより定期的に監視する実証実験を新たに提案したいと思いますが、いかがでしょうか。


○議長(黒河内浩君) 白鳥市長。


◎市長(白鳥孝君) なかなか難しい問題ではありますけれども、やっぱり課題解決のために地域の大学が立ち上がってくださってるということは、事実あります。信州大学でもドローンによって樹種の確定だとか特定、それから、樹種別の材積量、それから樹高、あるいはその直径、体積、いろんなものを識別できるようなソフトの開発がされてまいりまして、それに加えて、先ほど少し触れましたけれども、ドローンによってアカマツが松枯れにかかっているかどうか、こんなことの研究も始まっているようでありますので、スピードを上げていただきながら進めていきたいと。また、かかっているものが特定できれば、それを択伐すると、残ったものに対しては罹患しないように、例えば、ドローンによってピンポイントで薬剤散布ということも可能かと思います。山全体をするのではなくて、全くピンポイントでやっていくということができれば、皆さんが心配しているところもかなり軽減できると。
 もう一つは、先日もお話しさせてもらいましたが、やはり各地区で、いろんな自治体がこうした課題を抱えつつ悩んでおります。やはり、私は、このことについて県がやっぱり方針を出していただくのが一番いいだろうと、そうした方向で、私たちが、それぞれの自治体が個別に悩むでのはなくて、対処できるような方向を決めてもらえれば大変ありがたいというふうに思います。


○議長(黒河内浩君) 若林議員。


◆13番(若林敏明君) やはり、行政だけに頼るのではなくて、地域でやっぱり対策を考えていくという姿勢は大事だというふうに私も思います。いずれにせよ、私は、松枯れを探すよりも、元凶であるオオマダラカミキリの飛来をもっと注目すべきではないかということを思って提案しているわけです。松枯れについては、以上で終わりたいと思います。
 2つ目の大きな課題は、東京サテライトオフィスの開設についてであります。
 サテライトオフィスというのは、私の勝手につけた仮称でございますが、伊那市としての東京事務所のことであります。
 昨年12月議会、一般質問で取り上げたテーマでありまして、来年3月まで、ジオパークの全国本部の事務局を派遣しているということで、それを兼ねて、伊那の東京事務所という扱いに、昨年12月からなっているわけです。改めてお聞きしたいのは、これまで東京に拠点を持つ必要性を確認した上で、新たに、伊那の東京事務所、(仮称)東京サテライトオフィスということで、設置を提案したいと思うわけです。
 4点、お聞きしたいと思いますけれど、第一に、2年間の東京事務所の蓄積を生かすということであります。
 先ほど述べましたように、ジオパーク事務局派遣を契機に開設された伊那市東京事務所ですけれど、職員が常駐することによって、いわゆる遠隔地をホームページをのぞくだけではなかなか得がたいもの、官民、それぞれの多くの人脈ができたと、貴重な情報収集もできたと聞いております。実際、私も行ってみて、担当者と話をしましたけれど、やはり、人と人のかかわりの中で生まれること、インターネットだけでは得られないことが随分あるんだということを伺ってきました。今後の市政に大いに役立つものと、私は期待しています。2年間の東京事務所の蓄積を無駄にしないためにも、間をあけずに、引き続き東京に拠点を構えて、専門職員を配置すべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。


○議長(黒河内浩君) 白鳥市長。


◎市長(白鳥孝君) 昨年8月からでありますが、来年3月末まで、東京事務所の所長という立場で、職員を1名出向させております。これは、背景はといいますと、日本ジオパークネットワークというのがあります、JGN、この理事長が糸魚川の市長さんで、私が去年から副理事長という立場になりました。副理事長になると、その所属の市から、町から、あるいは村から職員を派遣するというルールがありまして、それで職員1名、日本ジオパークネットワークの事務局、これは神田にありますけども、こちらに派遣を、出向させてもらってます。
 ただ、この仕事だけで、1日全ておしまいということではありませんので、おおむねですね、大体半分は伊那市の仕事もしてほしいということでお願いして、また了解をもらっております。これは、ジオパークに関する業務のほかに、東京に職員がいるということ、非常にプラスになります。例えば、国、これは国土交通省から林野庁、あるいは農林水産省、経産省、そうした霞ヶ関の国との関係、それから大学とも、いろいろタッグを組んでやっておりますので、大学との仲立ちと言いますか、具体的な話を持ち込んだり、また、向こうの考えをお聞きしたりというようなこと。
 さらには、中央、公共団体、日本各地から来ておりますので、そうした皆さんとの連携、特に、企業誘致についても、非常に情報収集を積極的にもらっております。この職員が行ってることによって、こうしたいろんな組織との連携と、それから人脈づくり、これが大いに進んで成果が出ていると。ただ、このジオパークの業務、私が副理事長が終わった時点で職員の出向は終了となりますので、職員1名分の配置をするような業務量ではないという考えではおります。
 効果的に事業を推進するには、やはりトップセールスは有効でありますが、こうした職員がいることによって、気がつかないような情報収集ができていることも確かであります。


○議長(黒河内浩君) 若林議員。


◆13番(若林敏明君) それで、言ってる意味がよくわからないんですが、東京事務所としての機能を、引き続き、東京に拠点を構えることがあるのでしょうか、ないのでしょうか。仕事量は1名分に満たないということですけれど、職員を配置するおつもりなのでしょうか、ないのでしょうか。来年のことも考えておかないと、あと半年しかないわけですから、そろそろはっきりさせていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。


○議長(黒河内浩君) 白鳥市長。


◎市長(白鳥孝君) そのことは、後の質問に出てくると思って、お答えしなかったんですけども。


○議長(黒河内浩君) 若林議員。


◆13番(若林敏明君) その続きをお話しさせていただきます。
 2つ目の提案は、もし、拠点をつくるとしてお話ししたいと思いますけれど、新宿を生かさない手はないということであります。御承知のとおり、伊那市を唯一の友好都市としている新宿区との関係を生かすということであります。
 言うまでもなく、伊那市にとっては新宿は特別な存在であります。伊那市にとって地理的に東京の入り口であると同時に、高遠藩の江戸屋敷であったということから、新宿区との交流がますます深まっているわけです。この歴史的事実こそ、他市町村ではあり得ない深い関係、特別な関係だというふうに思うわけです。そいれを生かさない手はない。
 特に、新宿駅南東口広場には、伊那市が友好のあかしとして贈ったタカトオコヒガンザクラが2本植えられております。しかも、隣接する場所に、新宿区の観光情報センターが設置されております。甲州街道のちょうど真下なんですが、伊那市の観光動画も流していただいてると。また、行ってみると、外国人観光客も非常に多く訪れており、そこを拠点として、伊那市の首都圏における足がかりとすることを提案したいと思いますが、いかがでしょうか。


○議長(黒河内浩君) 白鳥市長。


◎市長(白鳥孝君) 友好都市であります新宿区、こことの交流は、年々深まっております。JA上伊那と連携しながらやっている農産物の新宿区内の店舗への販売、伊勢丹とかタカノフルーツパーラー、それから柿傳、また、早稲田の商店街も関係していたり、新宿東商店街の皆さんにもつながりが大分ふえてきております。
 そうした中で、ことしから新宿区の小中学生の食材に、上伊那といいますか、伊那市の農産物を使ってもらうおうということで始まっております。ブロッコリー、それから、そろそろリンゴ、そしてお米、卒業式シーズンには、伊那の花ということでお送りしながら、さらに、このつながりを密にしていこうという考えであります。
 一方、新宿駅の東南口、新宿御苑に一番近いところでありますが、そこに友好のあかしとして、タカトオコヒガンザクラ2本、昨年、植えました。ことしの3月頭にはきれいな花が咲いて、もう既に、新宿区の新名所として皆さんが知っております。そうした隣にあります新宿区観光情報センター、ここについては、伊那市の物を優先して置かせていただいて、また、ポスター等の掲示、それからテレビ画面によって、伊那市のプロモーションビデオも流してもらったりということで、大変感謝しておるわけであります。
 今、御提案の、この場所に、伊那市の職員を常駐してという話でありますが、これはあくまで新宿区の持ち物でありますので、伊那市のほうからこうした話を決めるということもできませんので、可能かどうか、また実際に、そこに1人工、1人分の工数が必要がどうかということも考えなければならないというふうに思います。
 先ほど申し上げましたように、情報収集については、極めて重要な部分も確認ができましたので、この置く、置かないは別にして、そうした効果はあるということは言えるかと思います。


○議長(黒河内浩君) 若林議員。


◆13番(若林敏明君) 理解ができなかったんですが、要するに、拠点としてどうかということを私は提案したわけですけれど、相手のあること、もちろん新宿区に確認しなければならないことですけれど、新宿区に確認したらどうですか。いかがですか。


○議長(黒河内浩君) 白鳥市長。


◎市長(白鳥孝君) 本来の目的は、新宿区の観光情報を発信する場所でありますので、そこにうちの職員を置いて、伊那市の観光、あるいは情報の拠点にさせてくれということは、なかなか私は言いにくいかなというふうに思います。


○議長(黒河内浩君) 若林議員。


◆13番(若林敏明君) 市長らしくない、弱気の発言ですけれど、そんなことを言わずに、ほんとに新宿区との特別な関係は大事なんで、頼むところは頼んだらいいと思うんです。実際、確かにコヒガンザクラがすばらしく、いいロケーションにあるわけで、ほんとにあれを生かさないことはないし、また、南東口が新宿区にとっても新しいスポットになることは決して悪いことではないと、ウィンウィンの関係だろうと思いますので、ぜひ、検討していただきたいと思います。
 3つ目に、在京の伊那市、ゆかりの人脈を市政に生かすということであります。
 12月の市長答弁の中にも在京の人脈を生かしていきたいというような発言だったわけです。多くのふるさと大使を初め、各界で活躍されている伊那市ゆかりの人々との交流を形骸化させずに、市政に生かしていくためにも、それをマネジメントする人材を登用することを提案したいと思います。在京にいて、拠点を構えて、そこに、その在京のふるさと大使や、そのゆかりの人たちとの接点を見出せるということだというふうに私は考えておりますが、いかがでしょうか。


○議長(黒河内浩君) 白鳥市長。


◎市長(白鳥孝君) 提案の内容も、よく理解できます。実は、伊那市はかつて伊那市の大使館というものを東京に持っておりました。これは、東京電音の久保村大使、お亡くなりになってしまったんですが、そこの事務所を無償でお借りして、大使という、女性を置きながらやった経過があります。そこを伊那市にかかわりのある皆さんに利用してもらったり、情報の収集ということでやったんですが、正直に言いますと、それほど利用がなかったというか、こちらで考えたほどの効果が出なかったと、伊那市の大使館がありますよっていうことで済んでしまったような経過もありますので、その効果の検証も含めて、また、その当時と今では状況が変わっておりますので、そんな点検をしたいというふうに思います。


○議長(黒河内浩君) 若林議員。


◆13番(若林敏明君) そういうかつてのことも検証しながら、ぜひとも、せっかく多くの人脈をつくっているので、生かす方向で取り組んでもらいと思うわけです。
 4つ目、問1、2、3が実現した暁に出てくる問題なので、積極的に取り組んでくれないと、余り意味のない質問なわけですけれど、財源の確保という点であります。
 私は、第四の提案として、都市とふるさと二拠点の交流という意味づけで、東京サテライトオフィスの運営や事業の経費をふるさと納税による基金、仮称ですが、都市とふるさと交流基金を新設してはどうかというふうに思うわけです。
 これは単なる一般会計ではなくて、あえて、ふるさと納税から出したいと思うわけです。それはなぜかというと、ふるさと納税の多くが在京者であるということであります。ふるさと納税をしてくれた皆さんが、積極的に伊那市とかかわれる、そして、いわば、第二のふるさととして、伊那の応援団になってもらえる、つまり、そうしたアフターケア、アフターフォローをする拠点というふうに考えています。その意味で、ふるさと納税を使った基金の造成、都市とふるさと交流基金を提案したいと思いますが、いかがでしょうか。


○議長(黒河内浩君) 白鳥市長。


◎市長(白鳥孝君) 提案としては、非常にいいかなと思う反面、例えば、ふるさと信州伊那の会、あるいは、高遠会、東京長谷人会、こうしたゆかりの皆さん、同郷の会の皆さんもおありです。ただ、こうした皆さん、参加していらっしゃるのが、大体、御高齢の方ばかりになってまいりまして、年金暮らしの方もおるわけでありので、そうした方も含めて、若い皆さん、また、働き盛りの皆さんの出身の方々、そうした皆さんも掘り起こしていかないと、そうした御提案の姿にはなっていかないのかなと思いますので、ちょっと私も知恵を出して、そうした取り組みの可能性、また、成果の予測というものもしてみたいと思います。


○議長(黒河内浩君) 若林議員。


◆13番(若林敏明君) では、もう少し検討するというふうに答弁したと書いておきます。
 3つ目の質問をしたいと思います。
 地域に暮らし続けるために交通手段の確保であります。
 先ごろ、開催されました市民と議会の意見交換会でも、たびたび重要課題として浮き彫りになったのは足の確保だということです。足の確保こそが暮らしやすさの目安、これは私が議員になって23年でありますけれど、初めて議員になったときのテーマでもありました。それは、とりもなおさず、私のところ新山は、非常に足の確保が切実な問題でありまして、平均乗車人数が5人を切って、廃止の危機があったわけです。そんなこんなで、改めて、今回の市民の議会の意見交換会の中で、たびたび、足の確保が不安だという話が出てきています。健康、医療、福祉、あるいは買い物弱者、あるいは教育、あるいは観光、いろんな面におきましても、この足の確保ということがベースになる、伊那市をこれから考える上で、とても大事な要素であるということを確認したわけです。
 何回も質問もしておりますけど、あえて質問したいのは、まず1点目として、市民の足の確保について、それを公共と考えるのか、つまり、行政の関与すべきことであると考えているのかをお尋ねします。


○議長(黒河内浩君) 白鳥市長。


◎市長(白鳥孝君) 高齢者を初めとする市民の皆さんの交通手段の確保というのは、行政とバス等の事業者、タクシー事業者、また、福祉の有償運送事業者など、いろんな皆さんの共同によって実施すべきものというふうに考えております。
 現在、国におきましては、生活の機能の集約化によって、今後も持続可能で活力あるコンパクトなまちづくり、いわゆる、コンパクトシティというものを目指して促進しております。その実現に向けては、地域公共交通網の整備、これは必須条件であって、そうした面から言いますと、公的な責任としての役割は大変重いという認識でございます。


○議長(黒河内浩君) 若林議員。


◆13番(若林敏明君) 今の回答は二重丸でありまして、私が、これからしゃべろうとしたネタが全部そこに入ってしまったんですけど、実際、行政の関与は当然のことながら必要だろうと思います。安心して暮らし続けるための条件として、やはり、足の確保ということが大きい。新山においても、かつて、平均乗車利用者が5人を切ったときに、その路線の、さらに1キロ先にいたおばあちゃんが、毎回、雪道を歩いてきて通院してたことを発見して、1キロ先まで路線をふやしたことで、そのおばあちゃんが毎週乗ってくれたと。毎週、そのおばあさんが、たった1人乗るだけで、平均0.5ふえるんですね。つまり、たった1人のためにやった、ある意味では、非常に高いコストの路線変更ではありますけれど、そのことによって、路線全体が残る、公共が残る、つまり公共というものは、単に施すだけではなくて、その行為によって、市民が行政を信頼し利用する、その双方の関係の中で生まれるもの、暮らしやすい社会ができるんだろうというふうに思うわけです。そういう意味で、今、市長が答弁された公共の役割と民間の役割、そして、また地域ボランティアの3者の共同した体系的な交通システムの構築が大変重要だろうというふうに思うわけです。
 さて、その体系的な公共交通体制を整える上で、1つ大きな踏み絵といいましょうか、争点があるわけです。これも何回も聞いているわけですけれど、費用の負担の公平性をどう見るかという観点であります。
 現在、走ってる都市部の市街地循環バスは1周150円、どこで乗っても150円、地域の循環バスもどこで乗っても一律310円、しかし、例えば、路線バスで行けば、一番遠いところは板山だと思うんですが、バス片道で1,230円、往復で2,460円もかかるわけです。非常に大きな経済的な格差になっています。行政が足の確保を支援するとして、どう考えるか、行政負担を一律として考えていくのか、それとも、周辺部の人も含めて、市民の負担を一律と考えていくのか、市長の見解を伺いたいと思います。


○議長(黒河内浩君) 白鳥市長。


◎市長(白鳥孝君) 新山地区で地域の皆さんが取り組んで、使い勝手のよいバス路線を考えたということは、私は非常に画期的だと思います。そうした取り組みが、富県、東春近、あるいは藤澤のほうまで波及していく、地域の皆さんが考え、そして、答えを出しながら、また、利用を上げていこうという取り組み、こうしたものが伊那市内全体に広がっていくことを、まず、期待したいと思います。
 また、バス、あるいはタクシーなどの交通手段に関しまして、移動距離に応じて運賃が高くなっていく、これは運送コストと言いますか、運行コストの面から、ある程度の範囲においてはやむを得ないということであります。特に、民間事業者が自主運行をしている路線があります。ジェイアールにしても、伊那バスにしても独自で運行している路線、これは一律の運賃とすることは難しいというふうに考えるわけであります。
 ただ、伊那市では、運賃負担の軽減のために、これは、伊那市地域公共交通協議会ですが、ここで伊那市が運行する路線の運賃負担の上限、これを310円になるように、距離制の運賃を採用している藤澤線では乗車券の補助、乗車補助券を配付している例もあります。伊那市が運行する路線バス、あるいは乗り合いタクシーというのは、民間事業者の自主運行の路線と競合しない範囲で、基本的に一律運賃を採用することによって、利用者にわかりやすい運賃体系となるよう取り組んでいるのが現状であります。


○議長(黒河内浩君) 若林議員。


◆13番(若林敏明君) まさに、そこを私も問いたいところですけれど、確かに全てのものを一律ということは難しいかと思います。しかし、先ほど例にとりました市街で行けば150円かかるところを、板山からは1,230円かかる、この格差は、やはり大き過ぎるのではないかと思うわけです。やっぱりどこに暮らしていても、一定の範囲内で自分の希望するところに行けるような仕組みをつくるということが行政に課せられてるのではないかと思うわけで、先ほどの藤澤線の例もあるということですから、例えば、310円は1つの上限として考えていく、これからそれを1つの基準として、極力、差が生まれないような仕組みをつくっていく、行政の支援の仕組みをつくっていくということが必要ではないかと思うわけですが、いかがでしょうか。


○議長(黒河内浩君) 飯島企画部長。


◎企画部長(飯島智君) その辺はバランスだと思うんですけれども、やはり、この運行の財源自体、市民の皆さんの税金をいただいて運行しているということの中では、そこの公平性をどう見るかということもありまして、一方では空気を運んでいるだとか、応益負担の原則というものもありますので、全て一律というわけにはいけません。そこは、議員さん、おっしゃるとおりでありますので、そこのバランスを、今後、運行の状況等も勘案する中で、今、総合的な見直しを進めている最中でありますので、また、そういった視点からも検討してまいりたいと存じます。


○議長(黒河内浩君) 若林議員。


◆13番(若林敏明君) まさに、私もそこを言いたいところですけど、もちろん、空気を運んでいるバス路線をただにしろとは言いません。やはり、先ほど公共のところで触れましたとおり、安くする必要があるんだけれど、利用しなければ意味がないわけです。そう意味では、住民と行政との信頼関係、安くする利便性を図るがために、それを大いに使うという、その期待するというか信頼するということがとても大事だろうというふうに思います。ぜひとも、そこのところを勘案して、どこに住んでいても行きたいところに行けるようになる、つまり、ノーマライゼーションという考え方だと思うんですけれど、地域福祉を考えた上での、人が人らしく生きていくための基本的な考え方だというふうに思いますので、ぜひ、そんな視点で追及していただきたいというふうに思います。
 少し時間があるので、ちょっとしゃべりたいと思いますけど、先ほど、かつて新山線が1回廃止の危機にあったということですが、2回目の危機が3年前にあったわけです。やはり、平均乗車数が5人を切ってしまって、地域の皆さんは非常に危惧しました。そこで、まず、みんなで乗ってみようということで、実際に循環バスの路線を点検しました。そして幾つか改善したわけです。つまり、便利さと値段と、もう一つは、やはりおもしろさだというふうに思いました。つまり、利用している皆さんは、単に、目的を果たすために乗ってるだけではなくて、乗ること自体が楽しいんですね。そこでコミュニケーションを図っているということが、非常に大きく印象深く残りました。
 加えて、今回、路線を変えた中では、思いもかけず街場の人たち、あるいは違う地区の人たちが新山へ遊びにくるんですね。それはハッチョウトンボだったり、キノコだったりとかしますけど、そういう特別なものではなかったです。実は、フキだったんです。来た人に、フキがあるからただでとれるよと言うと、もう大喜びなわけですね。自分たちでは余り考えてもいなかったことで、他地区の人たちが新山の里を歩くと言いましょうか、カントリーウォークだと思うんですけれど、新しい資源を発見させてくださったと、そういう意味で、便利さと安さとおもしろさと、やっぱりその3点を追求すること、追求するためには、当然、一番肝心な地元の住民が、そこを発見しなければならないというふうに考えます。
 これからの各路線、循環路線なんかも再評価されていくと思いますけど、ただ、数字だけにとらわれずに、そこら辺のところを改善する余地は、十分まだまだあるというふうに私は思うわけで、あえて申し述べておきたいと思います。
 時間を残しましたけれど、質問を終わります。


○議長(黒河内浩君) 以上をもちまして、若林敏明議員の質問が終了しました。