栄養素の話⑪です。

前回:機能性成分の基礎知識

今回は栄養素ではありませんが、「水分」の話です。

以前このブログでも、

熱中症の話を少ししたことがあります。

時期が少し遅くなりましたが、実は、

冬からできる夏場のパフォーマンスアップもあります。

役割をしっかり覚えて、水分で体を作っていきましょう。

 

体内における水の役割

カラダの約60%を占める水は、

生命維持において最も重要な成分で、

ランナーにとって特に重要です。

水は酸素運搬栄養素の吸収体温調節など、

ありとあらゆる生命活動に関わり、

欠乏するとカラダは様々なダメージを受けます。

 

成人が一日に必要とする水分量は約2.5ℓで、

体内での生成や飲食により補われています。

一方で、同量の水分が尿や汗などによって体外に排出され、通常はその均衡が保たれています。

・水分を10%失うと・・・カラダの機能に障害が出始める

・水分を20%失うと・・・ショック状態を起こす

  →場合によっては死に至ることもある

 

★ランナーは「水」が命

長時間のランニングでは、

カラダから大量の水分が失われます。

特に、高温下でのランニングは大量の汗をかくため、

カラダの水分喪失は大きくなります。

体内の水分は、生理学的にも重要な役割を担っています。

①.血液循環

②.汗による体温調節

③.老廃物を尿として排出する

④.腸からの栄養吸収

つまり、人間のカラダが正常に機能していくためには、

水分が必要になる訳です。

 

日頃から積極的に水を飲み、

カラダに十分な水分を蓄えておくと、

体内では正常な新陳代謝が行われ、

老廃物もスムーズに排泄されます。

その結果、体調が維持できるのです。

 

レース前はもちろん、

日常生活でも積極的に水を飲むことが大切で、

これを「ウォーターローディング」と言います。

〜ウォーターローディングの手順〜

最初は1日1.5ℓの水をこまめに飲むことから始めます。

(1回250ml以下)

〜ウォーターローディングの効果〜

体調を維持するほかに、夏場でも高い運動能力を保てる

疲労が残りにくいなどがあります。

 

水分補給にはノンカロリーの水、できれば、

水道水よりもミネラル(カルシウム・マグネシウムなど)が豊富なミネラルウォーターが望ましいです。

スポーツドリンクやジュースなどは、

 糖分が多いため少量にしましょう。

 

4つの主な働き

①.汗をかくことで体温を調節する

カラダを動かすと、

体内にエネルギーとともにが生まれ、体温が上昇します。

上がりすぎた体温は、汗などにより体内の水分を排出し、

熱を逃がして下げるため、体温は一定に保たれます。

熱中症は、水分不足による体温の上昇が原因です。

 

②.栄養素を運び、消化・吸収を助ける

栄養素やホルモンを運ぶ血液の主成分は水であり、

栄養素の消化・吸収はいずれも

水に溶けた状態で行われます。

十分な水分を摂ることは、

栄養素の運搬と消化・吸収を助けることに繋がります。

 

③.排泄によって体内の水分量を調節する

飲料水などで摂った水分は腸から吸収され、

血液などの「体液」になって全身を絶えず循環しており、

カラダの酸素や栄養分を細胞に届け、

老廃物を尿として排泄する役割を担っています。

体内の水分量は呼気(吐く息)尿便による排出で

一定に保たれます。

尿量は汗をかくと少なくなり

水分を多く摂ると増えるなどと調整されています。

 

④.体内の老廃物を体外へ排出する

水はカラダの中に溜まった

毒素や老廃物を体外に排出する働きがあります。

毒素や老廃物は血液で運ばれ、

最終的に尿や汗によって排出されます。

これを円滑にするのが水の役割です。

 

ランニング時の適切な水分補給

ランニング時はスポーツドリンクや麦茶などを

こまめに補給しましょう。

〜ランニングにおける水分補給のポイント〜

①.走る前にも十分な水分補給を行う

運動中の脱水を防ぐためにも、

運動前から十分な水分補給を心がけましょう。

目安として、走り始める30分程前までに、

250〜300mlの水分が理想です。

 

②.ノドが渇く前にこまめに少しずつ飲む

水分を一度に吸収できる量には限界があります。

また、ノドが渇いてから一気飲みしても、

既に脱水は進行しています。

特に距離が長くなるほど、「水が飲みたい」と

感じる前から、こまめな水分補給を徹底しましょう。

 

気象条件や体調にもよりますが、目安として、

15〜30分ごとコップ1〜2杯程度が理想です。

こまめに水分補給ができるように、

ペットボトルやスクイズボトルを携帯したり、

途中で購入できるように小銭を持って走りましょう。

 

③.ランニング中は最適なスポーツドリンクを

日常生活での水分補給は、水で十分です。

しかしランニング時は、単に水を飲むよりも、

塩分糖質を一緒に補給することが大切です。

汗には塩分が含まれており、

水分とともに体内の塩分を失っています。

失った水分と塩分が補給できるように

ドリンクを選びましょう。

 

また、ランニング中は糖質がエネルギー源となるため、

水分・塩分と同時に糖質の補給が大切です。

エネルギー以外にも、

糖質には腸管内での水分吸収を促進する作用があります。

 

上記の点を踏まえ、

オススメしたい飲料は「ハイポトニック飲料」です。

ハイポトニック飲料は、胃から腸への水分移行が速く、

速やかに吸収されます。

糖濃度2.5%程度がオススメなので、

糖濃度5〜6%のスポーツドリンクは、

水で半分程度に薄めると、

ハイポトニック飲料に近いものができます。

 

④.ランニング時の水分補給に

  お茶や清涼飲料水は向いていない

お茶にはカフェイン入りのものが多く、

利尿作用があるため水分排出が多くなる可能性があります。

お茶を飲む場合は、

ノンカフェインミネラルが多い麦茶などを

選ぶようにしましょう。

 

また、清涼飲料水は糖分が多いため、

カラダへの水分吸収を妨げてしまいます。

それ以外にも、カロリーオーバーが高いため

太る原因になりやすいものが多くあります。

そのため、継続的に飲むのは注意が必要です。

 

⑤.適度に冷やしておく

運動時のドリンクは、

常温よりも冷やした状態が望ましいです。

温度が5〜15℃だと吸収が速いことは

科学的に証明されており、体温を下げる効果もあります。

 

⑥.ランニング前後の体重測定で発汗量を知る

適切な水分補給を判断するには、

ランニング前後の体重測定によってある程度判断できます。

走った後の体重の減少量は、

発汗量にほとんど等しくなります。

ランニング後の体重減少が

ランニング前の2%未満であれば、

水分補給量は適量と判断しても良いでしょう。

体重減少が2%を上回っている場合は、

脱水症状と考え、水分補給を徹底しましょう。

練習日誌などに、練習メニューだけでなく、

運動前後の体重を記録しておくと良いでしょう。

 

ランニング中の上手な水分補給

①.ランニングコース途中にある自動販売機を活用

小銭を持って走り、

水分補給のタイミングとなる30分前後に、

走行ルート沿いの自動販売機などで水分補給を行います。

この方法だと、

重いペットボトルを身に着けて走る必要がなくなります。

②.ボトルポーチを使う

ボトルポーチがあれば、

腰あたりにペットボトルを着けて走ることができるため、

いつでも水分補給ができます。

慣れれば立ち止まることなく水分補給ができるため、

レースでの水分補給の練習にもなります。

③.水飲み場があるランニングコースを走る

公園などにはコースには、水飲み場があることも多いです。

近くに水飲み場があると、小銭やペットボトルを持つ必要がなくなるため、身軽に走れるメリットがあります。

 

死に至る危険を持つ熱中症

熱中症は脱水によって起こりますが、

以下の3つの症状があります。

①.熱射病

②.熱疲労

③.熱けいれん

運動中に熱中症になったとき、熱射病を疲れと勘違いして、「休めば治る」と判断する場合があります。

しかし、休んでいる間に脱水が進行し、

最悪の場合、死に至るケースがあります。

熱けいれんが起こる原因は、

塩分を摂らずに水だけを飲んでいるためです。

 

脱水は生死の境をさまようことに繋がり、

一度経験すると、脱水のレベルが低くても

症状を繰り返し起こすようになります。

また、気温が高くなくても熱中症は起こるため、

ランニング時には常に注意が必要です。

 

渇きを感じてからの給水では遅い

熱中症を防ぐためにも、ランナーは運動中の給水を強く意識する必要があります。

 

〜給水の大原則〜

「ノドが渇いたと感じる前に、定期的に水分摂取すること」

ノドの渇きを知らせる口渇感は、

「運動開始の30分前後に必ず起こる」という

単純なものではなく、

体内の水分量を感知するセンサーが反応して起こります。

そのため、口渇感を感じたときは既に、

体内での水分量が不足し始めていることを意味します。

こうしたサインを無視して運動を続けると、

カラダは極力水を使わないように、

各臓器や器官に働きかけます。

 

運動中に体内で最も使われる水分は「汗」なので、

カラダは汗をなるべく出さないようにします。

汗を出さないためには、運動量を少なくするか、

休ませるのが手っ取り早い対処法です。

言い換えると、パフォーマンスを落とす事になります。

 

更に、給水の頻度環境条件によっては、

脱水症や熱中症などが起こります。

ランニング時には、

必ず適切な給水を心がけることが大切です。

 

チェックは練習後の尿で確認

練習後、1時間ほどで尿意を感じ始めます。

その時、色の薄い尿をある程度排尿できていれば、

練習中の水分補給は成功と言えます。

反対に、2時間以上の練習中に尿意がなく、

食後しばらく経ってから排尿する場合や、

練習後の尿の色が濃く、少ない場合は、

練習前と練習中(練習後)の水分摂取量が

少ないと判断できます。

 

軟水と硬水について

水の硬度はミネラル含有量の違い

水の硬度とは、水の中に含まれるミネラル分・カルシウム・マグネシウムの合計量を数値化したものです。

WHO(世界保健機構)の基準では、

120mg/ℓ以上のものを硬水、

120mg/ℓ未満のものを軟水として分類しています。

また、101mg/ℓ〜300mg/ℓまでの水を中硬水として、

軟水や硬水とは区別することがあります。

日本では生活用水の80%が硬度80以下の軟水で、

水道水なども軟水に分類されます。

 

硬水と軟水の好みは人によって異なりますが、

日本人は普段飲み慣れている軟水が好みと

感じる人が多いようです。

 

軟水と硬水を使い分ける

 

成  分

軟水

〇メリット

・コーヒーや紅茶、出汁などの香りや味が引き立つ

・含有ミネラルが少ないため、胃腸の負担が少ない

疲労回復に向いている

×デメリット

・ミネラル(カルシウム・マグネシウムなど)が

 少ない

 →スポーツ時は塩分やミネラルと一緒に補給する

  (梅干し・レモン・バナナなど)

硬水

〇メリット

・ミネラル(カルシウムマグネシウムなど)が多い

 →運動後のミネラル補給に優れている

・肉などの出汁が出やすくなる

・糖尿病の予防

×デメリット

・日本人は飲み慣れていない/含有ミネラルが多い

 →胃腸に負担をかけやすい

 運動後の水分補給は数回に分けてこまめに摂る

・ミネラルによって

 タンニンカフェインが溶けにくい

 →コーヒーや紅茶には不向き

 

運動時にオススメの水・飲み方

上記で記載したように、カルシウムとマグネシウムを

多く含む硬水は、運動後の水分補給に適しています。

しかし、

いきなり大量に飲むとお腹を壊す可能性があります。

まずは、今飲んでいる水から少しずつ硬水に

変えていくのが良いでしょう。

飲み続けても体調に問題がなければ、

硬水での水分補給を続けてみましょう。

 

硬水を飲むことでカルシウムやマグネシウムを摂取でき、

足の攣り筋痙攣などのトラブル防止に繋がります。

「運動中などにお腹を壊すのが心配」という人は、

運動前や運動中に軟水を飲み、

運動後に硬水に切り替えるのがオススメです。

練習中などに、

すぐトイレへ行けないことが多いときも同様です。

 

ミネラルウォーターの硬度

国内で販売されているミネラルウォーターは、

飲みやすさを考慮した軟水のものが多い傾向です。

 

ヒトが生きていくために欠かせない水分ですが、

重要な役割を担っています。

なぜなら、ヒトは水分で構成され、

正しく機能するのにも水分が必要だからです。

 

運動する人はもちろん、

普通に生活するだけでも水は大切です。

正しい知識を覚え、正しい水分補給をする。

食事のバランスと同様に、

日常的に意識して取り入れてみましょう(^_^)

第12回:サプリメントの特徴・正しい摂取方法

 


 

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