前回はオスグッドとジャンパー膝の概要について
触れてみました。
似ているスポーツ障害ではありますが、
大きな違いは痛みのある部位です(^_^)
では、どのようにオスグッドやジャンパー膝を
判断すればよいのでしょうか?
今回は、それぞれの症状・診断方法を書いていきます!!
〜オスグッドの症状〜
オスグッドの痛みは、骨端軟骨の剥離が原因です。
剥離することで、脛骨粗面に以下のような症状が現れます。
①.脛骨粗面の突出
②.脛骨粗面の発赤・熱感・疼痛
痛みは脛骨粗面に限局し、圧痛がメインです。
③.運動痛→休むことで軽減される
スポーツ動作全般で痛みが起きますが、
特に膝の屈伸動作時で痛みを訴えます。
運動痛が原因でスポーツの
パフォーマンスが低下することも考えられます。
★休むと痛みが軽減されるため、
スポーツ休止をためらうことが多く、
痛みを抱えながらもスポーツを続けている選手も
多いのが現状です。
〜ジャンパー膝の症状〜
ジャンパー膝の痛みは、膝蓋靱帯にあります。
①.膝蓋靱帯部分の圧痛・腫脹・熱感
痛みは膝蓋骨の上下に痛みがあり、
上が大腿四頭筋腱付着部炎、
下が膝蓋腱炎と分類できます。
左右差はありませんが、
1/3程が両側性の痛みを訴えています。
そのため、片膝だけの痛みであっても、
反対側もチェックが重要です。
痛みの段階
軽症:運動後に靱帯部に痛みがあるが、運動可能
中等症:運動開始時に痛みがあるが徐々に痛みが引いてくる
運動終了後に痛みが再発するが運動の継続は可能
重症:運動中に痛みが強く、動きに支障が出る
最重症:膝蓋靱帯の断裂
②.膝の屈曲痛
スクワット時に膝関節60〜80°屈曲で
痛みが出やすいです。
〜オスグッドの診断〜
レントゲン検査が最も有効で、
脛骨粗面に限局した骨端変形や骨片の遊離を認めます。
それ以外にも、
MRIでは膝蓋靱帯の肥厚や周囲の炎症性変化、
超音波では骨・腱の肥厚や血管新生を確認できます。
★オスグッドと成長痛の見極め
オスグッドはスポーツ起因の障害のため、
成長痛と所見が大きく異なります。
好発年齢
オスグッド→10〜16歳(小学生〜中学生)
成長痛→2〜14歳(特に3〜5歳)
原因
オスグッド→膝のオーバーユース
成長痛→原因不明
痛みの頻度
オスグッド→運動時のみ痛みがある
(重症になると安静時痛もある)
成長痛→不定期(夕方〜夜間痛が多い)
痛みの場所
オスグッド→脛骨粗面
成長痛→足全般(場所には個人差がある)
レントゲン所見
オスグッド→脛骨粗面の骨端変形・骨片の遊離
成長痛→異常がみられない
★偽オスグッド
オスグッドに似た痛みで、
痛みの原因が異なる偽オスグッドがあります。
オスグッドは、
骨盤の後傾が原因で膝蓋靱帯が牽引されて痛みが生じます。
一方偽オスグッドは、
骨盤の後傾が関係なく、膝自体の骨の位置が悪くなって
可動域制限を起こしています。
そのため、痛みの出方や身体所見が違うため、
治療方法も変わってきます。
チェック方法
①.痛みが出る動作の違い
オスグッドでは、
しゃがみ込みの途中で痛みが出ることが多いです。
しゃがみ込むときは大腿四頭筋で体重を支えるため、
脛骨粗面に負担がかかります。
偽オスグッドでは、
大腿四頭筋の収縮と痛みは関係ないため、
しゃがみ込みの途中で痛みはあまり出ません。
膝自体の可動域が悪くなっているため、
屈曲角度が大きいしゃがみ込みの最後で痛みが出てきます。
膝自体に問題があるので、
仰向けで踵をお尻に近づけるように
膝を曲げると痛みが出ます。
形としては、大腿四頭筋ストレッチに近い状態です。
②.股関節の屈曲可動域の違い
仰向けで膝を抱えて、太ももをお腹に近づけていきます。
オスグッドでは、痛みのある方、
もしくは痛みの強い方の可動域が狭くなります。
股関節の屈曲角度が狭くなると骨盤が後傾しやすくなり、
大腿四頭筋に負担がかかりやすくなります。
偽オスグッドでは、
痛みがある側の股関節可動域が大きくなります。
言い換えると、痛みがあるのに股関節の可動域は良好です。
③.膝蓋骨の位置の違い
オスグッドでは、
大腿四頭筋が膝蓋靱帯を上に引っ張るため、
膝蓋骨(膝のお皿)の位置が高くなります。
偽オスグッドは骨盤や大腿四頭筋の影響を受けないため、
膝蓋骨の位置が変わらない、
もしくは低くなっていることがあります。
〜ジャンパー膝の診断〜
症状の所見以外に、画像検査や運動検査が有効です。
画像検査
・レントゲン
→肥厚した膝蓋靱帯の影や、
場合によっては石灰化像が確認できます。
・MRI
→膝蓋靱帯内にハッキリとした影が見られ、
炎症と微細損傷が疑われます。
・超音波エコー検査
→膝蓋靱帯の肥大や血流増加が確認できます。
運動検査
・スクワット
→膝の屈曲60〜80°で痛みを感じます。
・片脚スクワット
→膝の屈曲約30°で痛みが誘発されます。
このように、
膝のスポーツ障害はご自身で判断することもできます。
しかし、診断方法を誤ると症状が悪化したり、
長引く可能性も十分に考えられるので注意が必要です。
ある程度専門的な判断をしてもらった後に、
リハビリの経過観察などで用いる分には
十分役立つと思います。
痛みや腫れが落ち着いてきたら、
スポーツへの復帰に向けてリハビリを開始していきます。
次回から、応急処置やリハビリについて話をしていきます。
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