ここ数年の新入社員を見ていて思うのは、叱られたことがない子

どちらかといえば叱られてばかりだったという子

に二極化しているということです。


どちらが職場で生き残っているのか。

圧倒的に「叱られてきた子」が多いです。


「叱られたことがない」人は、一見とても穏やかで、協調性があり、社会適応が良いように見えます。


でも、その裏側には

「誰からも嫌われてはいけない」

「一度しか関わらないような相手であっても好かれたい」

という極端な思考が隠れていることが少なくありません。


私がいる企業は

「電話でお客さんから罵倒される」

という、いわゆる苦情対応が主な業務という社員が一定割合おり、叱られてきたことのない人は、毎日「否定の嵐」に晒されることになります。


それは、今まで味わったことのない恐怖であり、脅威だろうと思います。


そのため、

「怒鳴られるのが怖い」

「怒られるのが怖い」

という理由で休職する社員が後を絶ちません。


一方「叱られてきた子」は強いです。

「別に私が怒られているわけじゃないし。お客さんは会社に対して怒っているんだから」

とか

部活で先輩に毎日激怒されてきたことを思えば全然どうってことないですよ」

など、相手の怒りを上手くかわす術を持っています。


ただ、ここで勘違いしないでいただきたいのは、どんな子どもでも叱りつけて良い、というわけではないということです。


子どもによって全く特性が異なります。

◆いくら叱っても全く堪えないタイプ(これはこれで困るのですが・・・)

◆時々ガツンと叱ると分かってくれるタイプ

◆ちょっとでも叱られると、何日もその体験を引きずり、自分はダメな人間だ・・・とまで思いつめてしまうタイプ


どのタイプに対しても、叱った後の振り返りも大切です。


◆人格を否定していないか。

◆感情任せに怒っていないか。

◆悪かった部分だけを叱ったか(ついでに過去のエピソードまで付け足して叱らなかったか)。

◆伝えたいことが伝わったか(全く反省していないとか、反省しすぎていたら、対応する必要があります)

 

一方で、褒めるのは良いこと、と思う人は多いと思います。

確かにメリットもたくさんあります。

自己肯定感が高まりやすくなりますし、自分はいても良い存在なのだという安心感にも繋がります。


ただ、「築一褒める」という育児をして、褒められることに慣れてしまうと、褒められないと何もしない人間になってしまうことがありますで、これまた要注意です。


特に職場では

「褒められることをしたつもりなのに褒められなかった」

などということは普通にあります。むしろ、そうそう褒められません。


褒められないと「承認された」と思えない人は、職場では、他罰的になったり、逆に自己肯定感が著しく低下する・・・ということが起こりやすくなります。

 

結局のところ、褒めるのもほどほどに、叱るのもほどほどに、に留めるのが無難なのだと思いますし、「ほどほど」の部分は個々によって相当異なるのだ、という前提に立つことが一番大事だと思います。

 

ここで、あるケースを1つ。

ある男性Cさん(現在22歳)は、両親から叱られずに育ちました。

悪いことをすると、ママがしっかり手を握ってくれて、

「◯◯するのはやめようね」

と笑顔で言ってくれたそうです。

黙って頷くと、

「Cくんは素直だね。偉いね」

と褒めてくれたそうです。


経済的にも裕福で、欲しいものは何でも買ってもらえました。

唯一思い通りに行かなかったのは勉強面でした。

両親は子どもに医師を目指してほしかったようですが、子どもはもともと勉強が好きではなかったのです。


受験をして私立小学校に入学し、小学校低学年くらいまでは何とか勉強についていけたものの、次第についていけなくなり、中学受験に失敗して不登校になりました。


唯一合格した中学校が、たまたまエスカレーター式の中学校だったことから、何とか同じ系列の高校に行けることになりましたが、2年、3年次はほぼ不登校もしくは保健室登校でした。


何になりたいのかもわからず、とりあえず入れそうな大学に入学しましたが、2年通ったところで勉強についていけなくなり退学。


今は単発のバイトをしながら模索中の毎日で、親に勧められてカウンセリングに辿り着いた、という方です。


叱られなかったことと贅沢な暮らしは、この男性にとって

何をしても許される

というメッセージになっていました。


母親に対してとても執着があり、母親に気に入られたい一心で勉強を頑張ったそうですが、思うように勉強ができなくなると、自分の満たされない思いは祖父母への暴力という形で表出されました。


母親が仕事で忙しかったため、勉強を頑張ることで母親の気を引きたかったものの、成績は下がる一方だったとのこと、母親が仕事に行き、祖父母の家に預けられる度に祖父母に暴力をふるい、暴言を吐いていたそうです。


大人になった今も、ストレスがかかると、叫びたい衝動や、誰かを殴りたい衝動に駆られるそうで、そういう自分が怖いと話しています。


 

叱らない育児

褒める育児

 

そういう育児をしている時、子どもは満たされているように見えるでしょう。

そんな子どもを見た親は、

「やっぱりこの育て方でいいんだ!」

という思い込みを強めてしまうかもしれません。


でも、問題が現れてくるのは何年か先になることが多いのです。


問題が出てきたときにすぐに自分の

「思い込み育児」

に気づければよいのですが、

「この育て方でいいはずなのに」

と固執してしまうと、さらに大きな問題に発展していくことがあります。

 

叱らないで褒める。

一見、子どもも親も笑顔でいられる魔法のような育児方法に思えます。

でも、育児はそんなに単純な言葉で言い表せるものではないのです。


叱らないで褒める育児をする!

と決める前に、目の前のお子さんをよ〜く見てください。


育児本通りに対応すればよい子どもなんて一人もいません。


みんなちょっとずつ違うので、関わり方にも一人一人工夫が必要なのです。

 

子育てだけは、

「今が良ければいい」

として対応するのはちょっと危険です。


今も大事ですが、大人になった時に遭遇するであろう色々なことに対処できる能力、要は生きる力を身につけさせてあげることが一番大事だと思います。


理不尽なことに出くわしたとき、この子はどう対処するのだろう。


パワハラ上司に出くわしたら、この子はどうなるのだろう。


世の中にはハードルがいっぱいあります。

理不尽な人、理不尽な事態にたくさん遭遇します。


「叱らずに褒める」だけでは、少なくともハードルを越える力までは十分に養えないと思います。

 

子どもの特性を見極め、子どもの将来像を想像しながらの試行錯誤育児が大切だと思います。


今の子どもと向き合いつつ、10年後の姿をもイメージしながら関わっていくこと、それを意識していければ、そこそこ良い育児になっているのではないかと私は思います照れ


子どもとの向き合い方がわからないお母さん、お父さんは、カウンセラーなどの第三者かつ専門家を頼って下さい。


親自身が子どもの頃、親から愛情を注いでもらえなかったとしたら、目の前にいる子どもの状態を的確に判断できていない可能性があります。


子育てに不安を感じたら、是非専門家を頼って下さい。


ちなみに、最近ひとり親家庭のお母さんのカウンセリングをする機会が増えました。

ただ、金銭的に余裕がないことが多く、カウンセリングを定期的に受けることが難しい方も少なくありません。


私のオンラインカウンセリングも、ひとり親家庭を対象に、一回50分 3,000円のカウンセリングメニューを追加しました飛び出すハート

相場の半額もしくは半額未満です照れ

是非ご利用頂けましたら幸いですニコニコ