「辰巳芳子さんの緊急提言 今頼るのは、食物の力」by クロワッサン（No.808)

最新刊より一つ前の号になりますが、クロワッサン(No.808, 7月10日号・マガジンハウス)の表紙は、辰巳辰子先生。





「辰巳芳子さんの緊急提言　今頼るのは、食物の力」という特集です。

辰巳先生の言葉から、いくつか引用して、紹介します。

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「今、何を食べたらいいですか？３月１１日の震災以降、各方面からしきりに聞かれる質問が、これです。でも、どうしてこの質問なのか、私には不思議でなりません。今これを食べればすむ、という話ではございません。」

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「三陸で牡蠣を作ってきた知人もいる。その息子さんが、屋根にしがみついたまま津波で流された。水が引いたあと瓦礫の中を３０キロ、歩いて帰ってきたというのだ。

神経がまいってもおかしくない状況の中、冷静な判断力と体力は、まさに代々の食べ物で培われてきたもの。それは、『持ち力』とか『持ち前』と言っていいものです。そのことに、誰もが気づかなくてはなりません。

『今、何を食べたらいいか』という質問が、いかに愚かか、おわかりでしょう？そのとき食べたって、すぐには役に立たない。」

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「あらためて申し上げます。食べ物は生死を分けるのです。日々の暮らしの中でも、知らず知らずに生死を分けていることを、皆、知らない、気づかない。意識しない。」

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「日々、何を食べているかで、生きてゆきやすい人間か、生きてゆきにくい人間かに分かれている。忘れないでください」

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「しきりにみなさんは、子どもの頭がよい、悪いと気にされるけれど、それよりも、神経系統の出来方が、実は食べ物で左右されているのです」

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「食文化は、築きあげてきたものの具現化であります。怠慢に流れてはいけません。食材を選ぶ、どう調理するか、どう食べるか築いていってほしい。手がかかっても子供に教えてほしい。

この時代だからこそ、せねばならぬことをする気概、覚悟がないと、この国はいいほうに向いていきません。」

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「人は、食べるべきものを食べてこそ、信ずる心が育ちます。信頼がなければ、愛も育ちません。

皆さんも日々、手を動かし、舌で味を確かめ、繰り返し試し、分析し、練習をしていただきたい。自分を愛し、まわりの人を愛するため。

そうして初めて、いざというとき生きやすいほうに勘が働き、動ける人になれるのだと思います。」

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震災を機会に、エネルギー問題、空気、水、食べ物、そして自分の生き方について、見つめ直している方も多いと思います。

食べることの大事さを、あらためて認識しなければなりませんね。