日本人の体温が下がった理由 | 橋本三奈子のSalt Revolution(わじまの塩に魅せられて)

日本人の体温が下がった理由

日本人の体温は、この50年でおおむね1℃下がったと見られているそうです。


石原結實先生の「体温を上げるとあなたは必ずやせる」(マキノ出版、平成22年1月)では、日本人の体温が下がった理由として、9点があげられています。


昨日は

●塩分の控えすぎ

をご紹介しました。


今日は、残りの8点について、簡単に説明していきます。


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●運動不足


体の中で、最も熱を産生している器官が「筋肉(骨格筋)」です。人間の体温の平均40%以上は、筋肉で作られています。筋肉での熱産生は、安静時でも20%で、労働・運動時は80%近くになることもあります。


また、その筋肉の約70%は下半身にあります。ですから、体の筋肉、とくに下半身の筋肉を使う運動や労働が少ないほど、筋肉が衰え、産熱量がへり、低体温に陥りやすくなるわけです。


●水分のとりすぎ


水分もとりすぎると有害になります。このことを、漢方では2000年も前から「水毒」という言葉で表しています。水毒とは、体に余分な古い水分がたまった状態をいいます。


体に余分な水分があれば、体は冷えます。ダイエットになるから、健康にいいからと多量にとっている水分が、かえって現代人の低体温の一因になっているのです。


体をあたためると、体の余分な水分の排出が促されます。


●食べ過ぎ


体熱を産生する最も大きな器官は筋肉です。多くの食物をとると、それを消化するために、血液が胃腸に集まり、最大の産熱器官である筋肉への血流量が少なくなります。その結果、体温が低下するのです。


肥満やメタボリックシンドロームは、食べすぎによる摂取エネルギーの過剰より、「食べ過ぎによる低体温→代謝の低下→肥満・内臓脂肪蓄積」というプロセスの方がむしろ大きく関係しています。


●体を冷やす食品のとりすぎ


漢方では、「体を温める食品」を「酸性食品」、「体を冷やす食品」を「陰性食品」と呼び、2000年前から厳然と区別しています。


「青、白、緑の食品」や「南方系のもの」「夏にとれたもの」「ふわっとした軟らかいもの」などは体を冷やし、「赤、黒、橙色のもの」や「北方系のもの」「冬にとれたもの」「硬く引き締まったもの」などは体を温めます。


●ストレス


さまざまな活動をする日中は、ストレスに対抗できるよう、血管を収縮させて血圧を上げ、緊張状態をつくる交感神経が優位(働きが優勢)になります。夜間は、血管を拡張させて血圧を下げ、心身をリラックスさせる副交感神経が優位になります。


多くの現代人は、ストレス過多の生活を長く続けています。すると、交感神経が優位になりすぎ、血管が収縮した時間帯が長く続くので、全身の血流が悪くなります。その結果として、低体温を招いているのです。


●化学物質のとりすぎ


私たちの身のまわりにあるほとんどの化学物質―化学薬品や食品添加物などには、体を冷やす作用があります。


薬品のなかにも、甲状腺ホルモン剤やビタミンE剤など、ごく少数は体を温めるものがありますが、それらは例外的で、ほとんどは体を冷やします。なかでも、解熱鎮痛剤、ステロイド剤、抗ガン剤は体を冷やす作用が強い薬です。


これらの化学物質は、もともと人体内や自然界に存在しない、あるいは薬剤ほど多量に存在しないものなので、とると体にとってのストレスになり、交感神経が緊張して、血管が収縮し、血流が悪くなります。


そのため、結果的に体を冷やすことになるのです。


●シャワーですませる入浴習慣


入浴の目的や意義は、汚れを落とすことだけではありません。湯にゆっくりつかって、体温を高め、血流や代謝を促すところに、心身にもたらす大きな効果があるのです。


体が芯から温まる入浴と、温まらないシャワーとの違いが、1日、1週間、1ヶ月、1年、10年と積み重なると、体温の基本レベル、ひいては健康に雲泥の差が出ます。


●夏の冷房


高温多湿の日本の夏を過ごす私たちの体は、夏には基礎代謝を下げて体熱産生を抑制し、体表の血管を拡張して熱を発散するようにできています。これは、冷房機器のない時代には、必要で大切な機能でした。


いまは、自宅もオフィスも、電車やバス、タクシーでも、デパートや映画館でも、冷房がいやというほど利いています。この環境の下で、いまも体を冷やす陰性食品や冷たいものをとり続けているのですから、低体温になるのも当然です。

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いかがでしたか?ご自分に当てはまりそうなことありましたか?


次回は、低体温が引き起こす体の不調について、説明しますね。