furuya

 当時家の外にあった、牛の首輪やかまど、リヤカーの換えの車輪が置いてある物置。

その奥にある道具棚のふたを開けると、長い間人に使われて、

テカテカになった樫の柄の、古いけれど良く研がれた鉈があった。

多分、祖父の代かそれ以前から使われていたんだと思う。

今度は、父の代になって父が研いで使った鉈。


 それを持ち出して使うと

「お前が使うと切れなくなるからダメだ。他のを使え。」

と父に言われた鉈。切れ味がよいのでよく持ち出して使った。


 道具箱の、下から4段目を開けると、必ずそこにその鉈が居た。

僕が使って出しっぱなしにしていたような気がした時もある。

でも、鉈は自分で歩いてカビくさい道具棚に収まっていた。

他の釘箱や鋸と一緒にそこに居た。

いつからそこにいる事にしたのか解らないけれど、何時もそこにいた。


今は兄の代になって改築されて、その物置も道具箱も無い。

あの鉈、どこにいちゃったかな。今もどこかにいるのかな。

時間があったら兄に尋ねてみよう。


…道具というと、僕はこの鉈を、何時も思い出す。


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