NHKのニュースを見ていたら、障害者郵便を悪用したということで、ベスト電器の元部長らが逮捕されたそうだ。

この障害者団体は、ダイレクトメールを安く送れることについて広告もしていたようだ。「驚きのDM料金39.1円」とかいう広告である。

違法だと知らずに発注(うすうす気づいていた可能性はあるが)したとすれば、実はベスト電器の部長を立件するのが意外に難しいようだ。

ところでNHKのニュースでは、この事件に絡んで博報堂の子会社の幹部も取調べを受けたと流れていた。

ところが民放のニュースでは、まったくそのことに触れられない。今朝の朝日新聞でもそうだ。

同じ広告会社でも「新生企業」とかいう小さな会社の社長については報じられていたのに。

こういう弱いものいじめを見ると、どうしても不快感を感じてしまう。

前に述べた痴漢事件の被告が、レイプの被告よりひどい扱いを受けるとか、外国なら基準にひっかからないような酒気帯びの違反者(違反と犯罪は本当は違うそうだが)が、リンチで人を殺した相撲の親方や巨額脱税をしたタレントや出版社の社長なんかより社会的制裁が重かったり、どうも日本のマスコミや警察、検察が弱いものには強い印象が強い。

小沢さんについて同情してしまうのもそのためなのかもしれない。

実は、私は、同じ文脈で金正日にも同情してしまう変わり者である。

あの国だったら、いくらぼろくそに書いてもいいとか、根拠のない憶測報道をしてもいいとか、悪口しか言ってはいけないようになっている。

中国や韓国にはあれだけ遠慮して、ことばを選んで報じているし、アメリカにはいまだに頭が上がらないのに。あるいは、総連系のパチンコ屋には、厳しい税務調査さえろくにしないし、マスコミも大広告主のためか、その問題に触れることさえタブーになっているが、北朝鮮のことは言い放題だ。

悪い奴だから叩いていいのなら、もっと強くて悪い奴も叩かないと、日本人の気概が疑われてしまう。

私が金正日に同情するのは、本当に北朝鮮の中で、それだけ圧倒的な力をもっているように思えないからだ。

軍部を懐柔するのに、乏しい財政の中から、彼らの貢物をせっせと輸入したりしているようだ。

それどころかまったく力のない飾り物という説もある。

北朝鮮の場合、金正日よりラジカルな軍の幹部がいるのは間違いない。

外国で教育を受け、よその国がどの程度強いか知っている金正日は、むしろ軍の暴発を恐れているのではないか?38度線を超えて丸腰の市民を略奪すれば、好きなだけ食べ物もセックスも得られる。それを必死になって止めているのではないか?もちろん、そんなことをすれば、3日で国が倒れるのをしっているからだ。

日朝首脳会談で拉致を認め、中途半端な形といえ拉致を認めたのに、日本から援助を引き出すどころか袋叩きにあった、国のプライドも傷つけられた。その後、軍によけいに頭が上がらなくなる。

そうすると、テポドンだのノドンだの核実験だの軍部がやり放題にやる。

今度は、脳梗塞で体も精神力も衰えると、またミサイル実験だの、六カ国協議から脱退だのと軍部のヘゲモニーが強まる。

これが戦術的な崖っぷち外交なのかもしれないが、ものを知らない軍部の言いなりなのかもしれない。

戦前の日本だって似たような構図だった。

北朝鮮の軍部も外国の事情をこっちが想像する以上にわかっていないかもしれないし、山岳ゲリラ化すれば、ベトナム戦争のように勝てると思い込んでいるのかもしれない。

一方で、金正日もあるいは外国で教育を受けた息子たちも、どのくらい外国との間に国力の差があるのかも知っている。息子たちに、モスクワや中国でなく、ヨーロッパで教育をつけさせたのも、それをわからせるためかもしれない。

軍部は力のない息子を担ぎ出して、もっと好き放題やろうと思っているのかもしれないし、中国はその辺の事情がわかっているから金正日をかばっているのかもしれない。

息子たちがみんな後を継ぎたがらないのも、特に金正男がわざとバカを装っているのもそのためではないか?

後を継いで、軍の言いなりになって国がほろんで、チャウチェスクやホーネッカーのようになるより、親父のスイスの隠し資産を使って、リッチに暮らすほうがよほどいい。

私にはそう思えてならない。

もちろん、そうでない可能性も大きい。

ただ、金正日についても決め付けて特をすることがそんなにあるように思えない。

また、弱いものいじめをしているのは、国家の品格にかかわる問題だ。

アメリカと世界一を争っているころには、北朝鮮など相手にしていなかった。

そのころの気概のある国に戻ることはできるのだろうか?