入国管理法の改正案について。

 

安倍総理が今国会の所信表明演説で改めて取り上げ実現に決意を示し、昨日、自民党法務部会で了承され、政府より今国会に提出される見込みです。

 

入管法改正案は、外国人労働者の方々の新たな在留資格についての法改正です。

 

移民になるのではないかという懸念がありますが、これは全くの誤解です。

 

人手不足の中で、一定期間外国人労働者の力を借りるというのが、今回の法案の趣旨です。

 

移民につながらないよう様々な防止策を打っており、これまでの外国人の在留資格制度の根幹が変わるものではありません。

 

本日は、その疑問点についてお答えしたいと思います。

 

 

【人手不足は深刻化】

平成30年8月の有効求人倍率は1.63倍と、昭和49年1月以来、約45年ぶりの高い水準にある一方、完全失業率は2.4パーセントと約25年ぶりの低い水準となり、就職を希望する人が全て働ける「完全雇用」とも言える状況です。

 

全国各地で、特に地方の中小事業者で、人手不足が深刻化しており、このままではアベノミクスによる経済成長が減速することもが懸念されます。

 

これまで、女性活躍、一億総活躍を掲げ、これまで諸事情で働くことが難しかった方々が働ける環境整備を行い、働ける方々に働いていただくことで人手不足解消を狙いましたが、それでも足りませんでした。

 

そこで、外国人労働者の力を借りる。移民にならない、一時的な労働力として日本に来てもらい、外国人労働者の方々には、稼いで帰国していただくというのが今回の制度です。

 

 

【日本人労働者への影響は?】

仮に、低賃金の外国人労働者を何の制約もなく受け入れる場合には、日本人の雇用が奪われる恐れがあります。しかし、今回の制度はそのような制度ではありません。

 

人手不足が深刻な業種・分野に限って、外国人材を受け入れるものです。

 

さらに、人手不足かどうかを判断するに当たっては、有効求人倍率や各業種における統計等の客観的な指標を用いて判断します。

 

加えて、受け入れる外国人労働者については、日本人と同等か同等以上の報酬を支払わなければならず、低賃金の外国人労働者を無制約に受け入れるものでは全くありません。

 

 

【「移民」の恐れがあるか】

「移民」と聞いて想定するのは、例えば、永住権を得てアメリカに移住するように、当初から、その国でずっと滞在することを前提に家族も含めて生活の根拠を移す者であり、自民党の特命委員会でも「移民とは、入国の時点でいわゆる永住権を有する者」と定義し、「就労目的の在留資格による受入れは「移民」には当たらない」と整理されています。

 

新たな制度は、深刻な人手不足の状況に対応するため、一定の専門性・技能を有する外国人材を受け入れるものであり、就労目的の在留資格です。

 

また、新たな制度で大部分を占める「特定技能1号」については、受け入れる在留期間は通算5年であり、期限を設けず受け入れるものではなく、移民には該当しません。

 

技能実習と合わせても日本への在留は最長10年間です。

そして、連続5年を超えると国籍取得要件を満たすので、5年を超える前に一旦帰国いただき、再来日してもらう制度となっています。

 

 

【「特定技能2号」に対する批判について】

また、「特定技能1号」の上のカテゴリーにあたる「特定技能2号」に対しては、在留期間の上限がなく家族帯同を認める点で、移民であるのではないかとの批判があります。

 

しかし、既にある専門的技術を持つ外国人の在留資格でも家族帯同は行われており、新設される「特定技能2号」は、専門的技術分野の在留資格と同水準以上の技能が求められる在留資格であり、我が国の在留資格制度の根幹は変わりません。

 

そして、「特定技能1号」で5年を経過後に自動的に「2号」になるわけではなく、高い技能試験に受かる必要があるものであり、なし崩し的に増えるというものでもありません。

 

1~3年ごとの在留更新許可が必要であり、その都度、在留資格に関する審査を受けなければなりません。

 

このように厳格な仕組みとなっています。

 

決して移民政策ではなく、労働力不足が懸念される一定期間外国人労働者の方々の力を借りるもので、人手不足が解消すれば、外国人労働者の受け入れを停止することができます。

 

明治維新以降、我が国の先人たちはアジア諸民族の独立と繁栄を目指し戦ってきました。

 

今回は、依然所得の低いアジアの人々に日本で稼いでもらい、技能水準もより上げてもらって帰国いただこうというものです。

 

これは、アジア各国で独立を目指した各国の志士たちを日本国内にかくまい、支えて鼓舞し、大東亜の繁栄を目指した我が国の先人たちの精神にも合致するものと思います。

 

しかしながら、よくわからない部分があるというご懸念はそのとおりだと思いますので、制度の説明を今後も丁寧にしていきたいと思います。