小麦粉 | ラーメンを作る

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うまいラーメンを自分で作る。
番外編で、信州上田(地元です…)のあんかけ焼きそばとかもつくりたいなぁ。

小麦粉、麺を作る上での主要材料です。当然、もっとも麺の質に影響を与える素材と言えるのですが、かん水と同じく調べる程に奥が深いので、今の段階で自分が把握している情報をまとめておきます。

▼強力粉の成分(可食部100gあたり)
エネルギー 366kcal
水分 14.5
タンパク質 11.7
脂質 1.8
炭水化物 71.6
食物繊維 2.7
灰分 0.4
上記以外に無機質やビタミンが微量含まれます。
http://www.seifun.or.jp/kisochishiki/tokucyou.html

今までは、粉のパッケージに記されていたタンパク量や灰分しか気にしていませんでした。また、小麦の香りというのは国産小麦なら良い、外国産なら悪い、という根拠のない、山岡士郎に怒鳴られそうな意味不明な観念がありましたが、小麦の香りはふすま近辺のいわゆる「灰分」がもたらすもの。小麦の種類よりは灰分量が重要なのです。

また、実際に小麦粉の主成分はでんぷん(炭水化物)です。麺の固さにタンパク量がどうのこうの、グルテンがどうのこうの、という前に70%近くを占めるでんぷんの質が最も麺質を左右するのは冷静に考えれば明かなのですが、その事が指摘されることは少ないようです。また、このでんぷんの質というのがやっかいで現在の小麦粉業界では数値化はできていません。というか、将来的にもできないと思います。こればかりは、実際に麺を作って、食べてみないと、食感の微妙な違いはわかりません。だからこそ、小麦粉のブレンドによって無限の麺質があるのです。

では、数値化されている部分、つまりタンパク量と灰分について考えてみたいと思います。

タンパク質…一般的には小麦粉の8~13%程度でしょうか。これが歯ごたえ、いわゆるコシをつくるグルテンの元となります。サクッとした食感をもとめる天ぷらでは粉や水を冷やしグルテンを出さないようにするようです。また、もっちりとしたお麩はグルテンそのものとも言えます。つまり食感に強く影響を及ぼすもの、ととらえてよいのではないでしょうか。
では、食感に影響がある、ということはどういうことでしょうか。具体的に考えていくと、ベクトルも分かります。まず、片方のベクトル。タンパク量が多い場合はもっちりもちもちの食感です。ん、好ましいんではないの? と思いますよね。しかし、これがたとえばつけ麺店で極太の麺を冷水で締めて提供する店だったらどうでしょうか? おそらく、しっかり茹でてもかなり固い食感になってしまうと思われます。逆に、温かいつゆであれば、つるつるもっちりとした食感が好まれるのではないでしょうか。
最終的には、どのような麺を、どのように提供するか。自分で食べてみて一番美味しい麺、それを振る舞うのが麺打ちの最終目標だと思います。もちろん、かなわぬ目標ですがw。

灰分…私は当初、この意味が分かりませんでした。しばらく麺打ちを続けるうちに、いわゆる小麦の風味というのが何なのかドツボにはまった時期があります。そんなとき、新そばの季節にそば屋で田舎そばを食べたときに気づいたわけです。挽きぐるみのそばの方が風味が強い。つまり、灰分といわれる、皮まで一緒に挽き込んだ割合が高ければ、風味も強いのではないか。はい、その通りです。灰分が高ければ、黒っぽいブチが見られる事もあります。食感が悪くなるという人もいます。しかし、小麦粉の味を追求する場合には、重要な数値、それが灰分です。
生姜やタマネギ、大根や人参、すべて同じです。皮の周辺に、その野菜のもつ香りが強く残っているようです。
灰分補足(2011-12-13追加)
麺の酸化による変色は小麦粒の皮部周辺に多く分布する酸化関連物質によるところが大きい。そのため、低灰分の小麦粉の方が変色が少ない。また、薄力粉より強力粉の方が酵素活性が大きいのが普通。《手打ちラーメン作りの材料》

そして、数値化が困難、というか無理なものが粉の質です。タンパクの質もあるはずですが、やはり小麦粉の成分の大部分をしめるでんぷん、これ重要。

でんぷんの質…麺作りにおいて、タンパク質量や灰分量に振り回されたあと、結局行き着いたのがこれです。小麦粉の7割以上を締める炭水化物、つまりでんぷんです。このでんぷんの質がタンパク質による歯ごたえや灰分による風味と同じように麺の味を左右します。結果、タンパク量や灰分を語る前に、小麦粉の種類、そしてそれの持つ個性を考えるのが一番重要なのかも知れません。それぞれの小麦による特徴を把握して、自分なりのレシピをつくる、これがラーメンの麺作りにおける醍醐味なのではないでしょうか。

強力粉と薄力粉…一般には強力粉~薄力粉というように、タンパク量によって区別する事が多いですが、タンパク量以外にも両者には違いがあるようです。
・強力粉…タンパク量が多い硬質小麦が原料となる。硬質小麦は小麦粒が硬いため、製粉後の粒子が荒くなる。また、小麦粉砕時にデンプン粒が破砕され、その損傷部分から水分を吸収しやすくなるので、酵素の影響を受けやすい。
・薄力粉…タンパク量が少ない軟質小麦が原料となる。軟質小麦は製粉後の粒子が細かく、デンプン粒の損傷も少ない為、強力粉に比べると吸水しにくい。

ちなみに、経験からいうと、タンパク量の多い国産小麦は、なんかうどんぽい仕上がりになります。外国産の小麦も含めて、スーパーで手に入る安い粉をはじめ、数種類をブレンドするといかにもな中華麺が作りやすいかとおもわれますので、ご家庭でなされる場合は参考にしてくださいませ。それがなぜ中華麺ぽいのか、それは研究中ですw

タンパク量や灰分量、小麦の種類やブレンドの比率、無限にあるわけですが、いろいろ考えると楽しくってしょうがない私は、やはりラーメン病ですねw

◎参考サイト
手づくりうどん、そば講座
製麺の工程(生うどんつちや)
これがさぬきうどんの小麦粉(吉原食糧株式会社)
小麦粉の種類と調合(男の趣肴)

◎更新履歴
2011-12-13 「灰分補足」「強力粉と薄力粉」を追加、一部修正

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