乃木坂46 5期生写真集の意味 | 平山朝治のブログ

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乃木坂5期生写真集『あの頃、乃木坂にいた』通常版表紙の一部

 

乃木坂5期生写真集のタイトルと表紙が公開された。『あの頃、乃木坂にいた』は、写真集発売発表時の紹介文「何気ない日常を切り取った“いつもの帰り道“からはじまり、初めての修学旅行という特別な時間を通じての絆の深まりなど、多面的な魅力をおさめました。」をふまえ、あの頃の同級生の写真集といった意味が込められているようだ*が、「コロナ禍もあり、実生活で修学旅行を体験できなかった一部メンバーにとっては初めての修学旅行!」ということから、コロナ禍の2020~21年ころにこういうことをしたかった、というニュアンスで「あの頃」とされているのだろう(引用は『乃木坂46 5期生写真集 2024年2月20日(火)発売決定!』より)。

* 通常版表紙について写真集公式アカウントでは「タイトルのように、成長したメンバーが見返したときに5期生との日々や思い出が蘇るような1枚です」と説明されており、これによれば、将来乃木坂を卒業した5期生がこの写真集を眺めたという文脈を前提したタイトルということになり、タイトルの表面的意味をそのまま受け取ればそのような解釈が得られるだろう。しかし未来を先取りしてそこから現在を見るような解釈を、提案した人は本来意図していただろうか?

 

このようなことから、

 

あの頃、5期生のメンバー全員が乃木坂にいたなら、こんな風だっただろう

 

という、非現実仮定法の意味がタイトルには込められていることになる。非現実仮定法では現実とは異なる過去にも現在にも過去形が使われる(日本語では過去形と過去完了形を区別しない)ことから、中高生だった過去と、もう中高生ではないメンバーの多い乃木坂5期生という現在とを混在させることができる。

 

ここで、コロナ禍のころ中学生だったメンバーは高校生、高校生だったメンバーの多くも卒業しているので、「乃木坂にいた」の乃木坂は、架空の中高一貫校を意味しており、そのことを表すために同じ制服をみな着ていることになり、同級生のイメージは「あの頃」ならぬオーディション合格後の乃木坂5期生に由来している。

 

このように考えると、5期生全員が中学生か高校生だったのは、最年少の小川彩が中一、最年長の池田瑛紗 と中西アルノが高三だった2020年度に限られ、あの頃とは2020年度ということになる。

 

コロナ禍で通常の学校生活を送れなかった5期生たちが、乃木坂という架空の中高一貫校で見果てぬ夢を実現した、という内容の写真集であり、偶然とはいえ11人のメンバー全員が2020年度=あの頃、中一〜高三だったということで、通例のフィクションにはないリアリティがこの写真集にはみられるようだ。