Happy Halloween!(おそー)
みなさん、ハロウィンは楽しみましたか
さて、またまた面白い本の装丁をさせていただいたので
ご紹介させていただきます。
「ボスのモンスター・ブック」
帯は、なんと漫画家の浦沢直樹さん!
「ヒエロニムス・ボス」という画家をご存知でしょうか。
ルネサンス期、1940年ごろのはるか昔。
かのレオナルド・ダ・ヴィンチとほぼ同時期に
オランダ(ネーデルランド)で活躍した一人の奇才です。
「ボス」の描く世界は、超絶技巧でありながら
ファンタジーと怪奇性、アブノーマルに富んだ独自の様式を確立していて、
その独特な世界観を知ると
気づいてはいけなかったのかもしれない世界を知ってしまった
と思わされるほど。笑
ねっ
ヒエロニムス・ボスについては、
個人的に驚くような思い出がたくさんありまして、
20代に1人で行ったヨーロッパ旅行の時にボスの美術書に出会って、
大型本につきめちゃくちゃ重かったのですが
買って帰ってきて、その後も自分の持っている本の中で
度々見る(見てしまう)特別な本でした。
アムステルダムひとり旅で買ってきたBOSCHの本
なんでも、有名な心理学者ユングは「無意識の世界をあばく画家」と言ったそうで。
ボスの表現する道徳感に人間としての危うさと
美しさを感じずにはいられません。
独自の世界観と道徳観、宗教観によって
社会への風刺や批判を痛烈に表現した作品は
当時、国内はおろか諸外国まで人気を博したそうで、
現在までに様々な研究や解釈が進んでいるも
生涯の詳細は不明であり、
作品数も少なくその多くが木製のキャンバスに描かれていること、
年代的にも古いものであることから、(国外不出)
作品自体はなかなかお目にかかることができません。
人間の本性的な罪悪と世界に対する厭世観を、
悪魔的な怪奇性と幻想性に富んだ極めて個性的な様式を確立。
「謎の天才画家」「悪魔のクリエイター」
「美術史上の突然変異」「地獄と怪物の画家」
などと言われたようですが
ボスの描く、完璧に美しく描かれた
リアルでグロテスクな人間の様子を見ていると、
無意識、潜在意識を確認し、快楽への理性と本能、に気づかされるのです。
昨日までWEB上で無料配信されていて、
たくさんの方が話題にしていた
レオナルドデカプリオ「「地球が壊れる前に(Before The Flood)」を
ギリギリ観ることができたのですが、
そこでこのボスの「快楽の園」が地球のこと、
人間のことを考える「鍵」になる絵として
大きく取り上げられていることにとても驚きました。
そして締めくくりの部分で、
この快楽の園の木製の観音開きのキャンバスの裏には、
地球が描かれているということを初めて知りこちらにも驚きました。
そんな謎に包まれた奇才、ヒエロニムス・ボス。
画集を何度見ても、自分の感じる方向性はシリアスなものが多く
どうしてもリアルグロテスクな方向性に考えがちなのですが・・・
今回デザインさせていただいた
この「ボスのモンスター・ブック」スタジオ・ハードデラックス (編集)は
そんな堅いな頭をやわらかくほぐしてくれる自由で楽しい本になっています。
スタジオハードデラックスが編集しています。http://www.hard.co.jp/
この遊び感覚あふれる切り口はすごい!
笑えますw
ネーミングも5、6案の中から厳選されたもので絶妙ですし
吹き出しもほんとほっこり〜w 癒されます。
イラストレーター、アニメーター、デザイナーなどのための
アイデア集としておすすめしたい一冊でもあります。
代表作から抜き出した約90体の魅力的なモンスターを、
美術史の文脈にこだわらず、いわば自由に「キャラクター化」し、
その生態や特徴を生き生きと解説した「キャラクター・ブック」感覚の
「モンスター図鑑」。
今までボスの作品を知っている人は、新しい解釈に心踊るはずですし、
ボスを知らなかった方には非常に優しくたのしい導入書になっているとおもいます。
子供も喜びますよw ポケットモンスターに対抗して、ボスのモンスターでw
ポケットサイズの小さい本で、お値段も1,500円とお手軽です、
ぜひお買い求めください!