前回の研究遍歴のなかで出てきたボディーワーク。そしてその後に出てくるのが、今のレッスン手法の基盤の一つにもなっているミックスボイスです。

今回はミックスボイスへの気付きと体の動きから声帯の使い方へと研究課題が移っていた経緯について書こうと思います。

 

ミックスボイスへの目覚めを作った3つの出来事

その一つ目は

前回の研究遍歴の後半に書きましたが、アレクサンダーテクニークのワークをやっていた時に偶然にもミックスボイスの状態に喉が変化して、22歳くらいまではたまに出ていた、おかしな高音感覚が偶然よみがえった事です。

誤解が無いよう書いておきますが、アレクサンダーテクニーク自体はミックスボイスと直接関係がある訳ではなく、僕の場合は何年か発声の勉強していた事と、楽な体の使い方がうまく結びついた事で、高音を出した時に喉がミックスボイスの状態になってくれて思い出した、という事でアレクサンダーテクニーク自体が直接ミックスボイスと関係あるものではありません。(無論アレクサンダーテクニークが素晴らしい学問であり色々な作業に有効なボディーワークである事は間違いありません。)

 

ミックスボイスへの目覚めを作った3つの出来事

その二つ目は、
ニューヨークのライブバーで見たすごい歌唱です。
ニューヨークへは歌唱とアレクサンダーテクニークの為の留学でいきました。その時にライブハウスやライブバーなどにも歌や演奏を聴きに行っていたのですが、とあるライブバーに、当時マライヤキャリーにも教えているというボイストレーナーの女性がプライベートで飲みにきていて、気分がいいとちょくちょくオープンマイクに上がって歌いだす、という話を現地で知り合ったミュージシャンに教えてもらいました。ニューヨークでは、普通のライブバーでもワールド級のミュージシャンが普通に演奏している事がよくあり、そのお店では2回目にして期待した通りに彼女の歌を聴く事ができました。そこで聴いたのが、歌唱中のフェイクに3オクターブに渡るポルタメント奏法を何度も入れて、まさに歌いまくるってこういう事だ、という歌でした。プライベートで酔っ払って気持ちよくなって歌っているせいもあり、そのような歌い方になったのだと思いますが、えげつないほど自由な声の使い方を見せつけられて衝撃を受けました。

(今の僕のミックスボイスのレッスンメソッドで使っているポルタメント練習はこの日に受けた感覚からきています。)

ニューヨークでは、現地で評判の良いヴォイストレーナーを探してレッスンお願いして、数人からか受ける事ができましたが、レッスンの内容やアドバイスからはさほどの発見も成果もなく、教えている内容そのものにも新しさは感じませんでした。しかし本場のJazzやR&Bシンガーの歌っている声を聴くことで、色々と気がつく事が多く、極め付けがライブバーで聴いた女性ボイストレーナーの歌でした。(ちなみにそのトレーナーのレッスンは受けられませんでした。)
レッスンそのものから得られてことよりも、実際にトレーナーが歌っている声や、現地のシンガーの歌や発声を聴いて見て理解するという事から、大きなミックスボイスの大きな気付きが得られました。
ライブバーやオフブロードウェイで間近で聴く素晴らしい歌声から得た感覚を、持ち帰り真似しながら分析しながら練習する、というスタイルが自分の歌を大きく変えました。勿論それまでに培った発声研究という土台があったからこそ、そのスタイルが有効になったのだと思いますが、見て聴いて想像して受け取る。これは言葉の何十倍もの情報量を与えてくれました。不確かな説明の何倍も真実に近いアドバイスになりました。
それによって、素晴らしい歌唱ができるシンガーの喉の使い方にはある共通点がある事に気がつきました。それこそが、常にミックスボイス状態なのだ、と言っても過言ではない喉の状態なのでした。


長くなってしまったので、目覚めの三つ目の出来事は、また次の回に書こうと思います。