この記事は、若手ボイストレーナーや研究者の道を進んでいる若い先生方に参考にしてもらえたら大変うれしいです。

 

僕が研究者になろうと思ったのは、もうかれこれ30年前。ボイストレーニングという言葉もほとんど聞かなかった時代に、本屋で見つけた教則本の中にボイストレーニングという文字が入った本を見つけました。即購入し実践してみると、それまで受けたていた歌のレッスンとは全く違っていて、発声練習で歌が確実に上達しているという実感があり、とても感動しました。
それがきっかけで、もっと声を分かりたい。いつか本格的なボイストレーナーになる。と思う様になり、それ以来研究を続けています。
これ以上細かい話は自伝になってしまうので、別の機会にするとして、ここからはなるべく技術的な研究遍歴を書きます。

 

まずはじめに練習の対象になった技術が、呼吸法!
その時は腹式呼吸こそが歌の基本で、それを毎日練習していけばからなず上達し続け、プロフェッショナルになるだろう、と信じていました。もちろん呼吸法だけで全て変われるなんてことはありませんが、当時は割と信じていました。
当時有名だった上記の本の著者にすぐに入門しました。
その練習方向を簡単い言うと、腹圧をかけて息を声帯の下部に一気に送る様な練習(野球の素振りの様な練習)で、いわゆる腹で支えた声を出す感覚を体に染み込ませてから、発声し歌っていくというスタイルでした。
初めはかなりの進化を感じてのめり込みました。(今はよくわかるのですが、実はこれはかなりのリスクを伴います。)
そして、腹圧のかけ方を研究し、腹の力のいれ方や方向や色々な体の支え方を試しながら練習しました。


利点としては、かなり音圧があり、いわゆる身体で出す響く声という感覚がしっかり身につきました。

しかしその反面、一歩間違えると声門を打撃することにもなり、りきみ癖が身についてしまったり、声帯の動きを制限する様な習慣を無意識に付けてしまっていました。
その結果、高音域には音程がフラットする癖がつき、体の支えだけでは直せませんでした。
これではダメだと、気が付いてちゃんと方向転換できるまで、何年もかかってしまいました。
今振り返ると、当時無意識にたまに使えていたミックスヴォイスも(当時はよくわかっていませんでしたが)いつしか全く使えない喉になっていました。
 

しかしそれによってボイストレーニングというものと出会い、研究者としてとても良い経験になりましたが、逆にシンガーとしてはかなりの遠回りであったことは間違いなく、なんとかたまにくる歌の仕事もやっていましたが、大きな挫折感と致命傷を追ったことも間違いありません。

 

そして、発声の観点を方向転換し、次の研究方向が「共鳴」でした。
 

この続きは次回、ボイストレーニング研究遍歴2へ