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エゴン・シーレ「自画像」1911年 油彩、板 27.5x34.0cm ウィーンミュージアム蔵
1890ー1918


                  若すぎる死

日本橋高島屋で開催されているウィーン・ミュージアム所蔵『クリムト、シーレ ウィーン世紀末展』でシーレの作品を見ていて、、この画家が長生きしたら果たしてどのような作品を描き続けることが出来るのだろうと考えながら見たのですが、ピカソやマティスは若くして才能を開花しましたが、その後スタイルを変えて生き延びますが、果たしてこの画家がそれほど器用な生き方が出来たか。

シーレは1915年にエディット・ハルムストと結婚して、1918年に第49回分離派展で彼の作品が脚光を浴びるのですが、同年10月にスペイン風邪で妻を失い、その3日後に彼自身も同じ病により28歳の若さで亡くなります。

シーレの作品は赤裸々に自己を表現する痛々しさがあり、世紀末の苦痛が画面を支配していて、自分の命の短さを感じていたのでしょうか、ゴッホのように死に急いで作品を描いているように見えます。
夭折の天才の宿命で輝きは短い。それが作品をいっそう輝かせるのでしょう。

現在世界中で新インフルエンザが流行し始めていますが、同じ病原体ではないかと云われるスペイン風邪では世界中で6億人が感染して、5000万人が死亡したと云われ、当時の日本では、人口が5500万人で死者が48万人。現在の医学の方が遙かに進歩しているので、5000万人もの死者は出ないでしょうが、若いシーレやシーレの妻があっけなく死んでしまう程の脅威があり、いつ変異するかわからず油断は出来ません。