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ティツィアーノ・ヴェチェッリオ「ダナエと黄金の雨」1553年頃 129x180cm プラド美術館蔵
1476/89~1576(イタリア、ヴェネツィア派)


              愛を待ち望むダナエと黄金を望む老婆

レンブラント『ダナエ』クリムト『ダナエ』を二回にわたって取り上げましたがティツィアーノもダナエをテーマに数点の作品を描いています。

ティツィアーノはこの作品とほとんど同じ構図とポーズでただ右側の老婆ではなく天使が描かれている作品も描いています。

ティツィアーノの作品を何点か画集で見ていて、ヌードの作品を多く描いていて、16世紀というこの時代でこれほどリアルに全裸の女性をいくら神話の世界を描いたと言えども、世間の抵抗はなかったのでしょうか。
マネの「オランピア」「草上の食卓」が発表された当時は19世紀だったにもかかわらず、激しい批判にさらされた。
ルネッサンス の時代の方が近代より遙かにダイナミックで開放的だったのでしょうか。

感じ方はそれぞれ違うと思うのですが、ティツィアーノのヌードの方がマネのヌードより仕草や女性の肌の質感などは遙かにエロティックだと思うのですが。

ティツィアーノのダナエではゼウスが黄金の雨になり舞い降りてくるところを描いていますが、傍らで老婆が前掛けを広げて黄金の雨を取ろうとしています。
ティツィアーノは若い美しい女性と醜い老婆を同じ画面で描くことで、愛を待ち望むダナエと黄金を望む老婆の姿を対比して描いている。年輪の残酷さを残酷さをこの場面で感じます。


https://blogs.yahoo.co.jp/IMG/ybi/1/d2/43/haru21012000/folder/236287/img_236287_59763016_4?1253603772.jpg
アントニオ・アッレグル通称コレッジョ「ダナエ」1530年頃 161x193cm ローマ、ボルゲーゼ美術館蔵
1489年頃~1534


ほぼ同時代の画家でコレッジョも多くのヌード作品を描いていますが、彼の描く女性は現実の女性と言うより作られた美しさというか人形のようなぎこちなさを感じます。
しかし、この作品「ダナエ」では手前のキューピットは何をしているのか良く分かりませんが、
ベットの上の青年(少年)のキューピットはゼウスの愛を受けようとシーツをずらしています。
コレッジョの女性はそれほどエロティズムは感じまねんが、描かれている場面はティツィアーノより大胆で刺激的です。

レンブラントクリムト、ティツィアーノ、コレッジョ、の描いた「ダナエ」を見てきましたが、画家それぞれ時代背景もあるのでしょうが、同じテーマを描いてもこれだけ表現が違う、画家は偉大な作品を残してくれて、私たちはこうやって見ることが出来る、偉大な画家、それに偉大な御先祖様に感謝です。