2020年 12/30【401】very good 難易度4


神童として活躍しながら青年期に精神を病んでしまった天才ピアニスト。
そんな彼の全てを理解し支えてくれる女性に出会い、普通の生活が、またステージで演奏が、できるようになるまで。

映画《シャイン》のモデルとなった実在ピアニスト、デイビッド・ヘルフゴット衝撃の半生!


彼が精神を病んでしまった理由は幾つかある。

ユダヤ人に対する偏見。
『資産』に対するプライド。
父親の歪んだ愛情。
父親のそのまた父親から続く歪んだ親子関係。
そしてきっと、彼本人のもともと生まれ持った『繊細すぎる』感受性。

ピアニストの半生に関する本は何冊か読んできたけれど、トップレベルのピアニストとなるには、ピアノを愛する気持ちはもちろんだがそれ以上に、莫大な資金、両親の献身的サポート、そして人並み以上の練習と繊細な心が必要なんだと、ここでも改めて感じることになった。


そして人間て、こんな簡単に壊れるものなのかと驚く。
いや、簡単に壊れてるわけではないのかもしれない。
彼にとってはそのくらいの強烈などうしようもない絶望だったのだろう。
そして繊細すぎるが故に、壊れやすかったのもあるのかもしれない。

しかし何時間も脇目も振らずに練習でき、繊細さを表現でき、トップレベルのピアニストとなれたのも、その繊細さ故なのかもしれない。


精神を病んでしまった後の後遺症。
突然の発作は自分自身で理解すらできないうえ、それはその先何十年と生涯付きまとう。
壊れはガラスは決して元には戻らないのだ。


幸いにも彼の全てを理解してくれる一人の女性ギリアンと出会えたことで、彼は『自分』を、『自分なりの幸せ』を、長い長い時間をかけて見付けていく。
目標までは途方もなく遠い道のりだが、一歩一歩確実に。

ギリアンの無償の『愛』とピアノを純粋に愛するデイビッドの物語。
見方によっては、発達障害の物語、精神病の発症と克服の物語、と言ってもいいだろう。

全てを受け入れるというギリアンの愛は言うまでもなく、デイビッド本人に『ピアノを弾きたい』という強い意志があったこと。
それが彼が立ち直るための原動力になったことは間違いない。


過去は過去。起こったことはしょうがない。今を意識し明るく楽しく生きればいいんだ

「父親」なんかにしがみついていちゃダメだよ、そんなの壊して自由になるんだ!


彼は…彼だけでなく私も皆も…この先あらゆる面で悲劇と勝利のあいだを往復し、挑戦を繰り返す日々を送ることになるだろう。

でも負けたとしても大したことじゃない。
また挑戦できるチャンスがある。
それってきっと、素晴らしいことだ。


彼は10歳にしてショパンの《英雄ポロネーズ》を弾いたそうな。ふぅ~。

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