睦月の鼎談(甲) | 『高堂巓古 Officia Blog』
Sat, January 29, 2011

睦月の鼎談(甲)

テーマ:鼎談


人生、たまにはWEBで鼎談なんぞしたくなり候。




すまいるコーチ(すと表記):

日本プロテニス協会および米国プロテニス協会公認コーチ。ベーチェット病を克服。テニス選手はもちろんのこと、多くのアスリートから絶大な信頼を得ている。よくヘラヘラしているので、すまいるさんと呼ばれる。



宮下さん(宮と表記)

東芝ブレイブルーパス で活躍。そのポテンシャルの高さから野人の愛称で親しまれ、全日本にも選ばれる。引退後はチャットにはまっている。



草(草と表記):

NPO法人読書普及協会 瓦版編集長。協会ですまいるコーチと出会い、それがきっかけで日本プロテニス協会および米国プロテニス協会のコーチとなる。座右の銘は、宮田珠己さんの本の影響により「ものぐさだけど、前のめり」



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草:今日は、「本とカラダ」というテーマでお願いしますね。



宮:いやあ、楽しみです。



す:うちらにぴったりなテーマじゃないですかね。



草:ありがとうございます。カラダの本といえば、なんだか読んでいるだけで上半身がゆるむ本ってありませんか。昔、高岡英夫さんの『究極の身体』を読んだときがそうでした。※1



す:読むだけでゆるむ本かあ。紹介できる真面目な本はないですね(笑)。


宮:私はゆるむ本というのはあまり記憶にないのですが、ゆるむ読み方であれば、やったことがありますね。



草:どんな読み方をされているんですか!?(笑)



す:宮下くんがゆるみきって本を読んでいる姿を視てみたいなあ。冗談はさておき、定期的に読み返している本なら何冊かありますよ。中勘助さんの『銀の匙(さじ)』は好きで、ずっと読んでいます。それと最近買いなおしたのですけど、『無門関』や伊藤昇さんの『身体革命』、柳恵誌郎さんの『驚くべきテニス』とかですかね。ゆるむというよりは、軌道修正している感じです。



草:伊藤昇さんの本はシンプルなところが僕も好きです。伸びる とか、捻る とか、結局は宇宙も人もそこにいくのかもしれませんね。あと個人的に、『無門関』はゆるみます。職員室に置いてあって、毎朝、一則読んでから仕事しています。意味はちんぷんかんぷんなんですけどね(笑)。なぜか、やめられないんですよねえ。で、宮下さんは、どんな体勢で読書されているんですか。



『庭球四十八手』 宮:いや、読まずにめくるだけですよ。字を読まずに次から次へとページをただ漠然と眺め続けることにより、右脳 が刺激されて、カラダがゆるんでくるのではないでしょうか。最近は、パソコンの前に十数時間向かい続ける仕事をしていて、どうしても右眼優位の視方をしてしまいます。でも、この運動をすることで、左眼優位 の視方になるので、心身ともにリフレッシュしますね。最高です!



す:ほんと変態だよね(笑)。※2

草:どこを目指しているのかわからない(笑)。



す:高岡先生をはじめ、多くの方が「ゆるめる」ことについて本を出されていますけど、私が思うに本を読んでいくと、自然に心とカラダがゆるんでくるんですよ。そして、崩れていたバランスが軌道修正されて真ん中に戻ってくると思いますね。



草:なんだかカラダの中道みたいなお話ですね。



す:脱力すればよい訳じゃない。修正できる本と出会っていれば、歩いていても、本を読んでいるときも、食事をしているときも、無意識に修正できているんですよ。所作が綺麗な人は、きっと良い本を読んでいるか、良い出会いがあるんだろうなあ。



草:先日、北野武さんがピラミッドをつくった人は偉い!ってテレビでおっしゃっていたんですよ。ちゃんとそれで子孫に飯を食わせているんだからと言っていました。おもしろいなあと思いましたね。日本で古いカラダ本といえば、宮本武蔵 とか沢庵和尚あたりがありますが、あの人たちの本をアナトミートレイン等の解剖学本を片手に見ると、ものすごく理にかなっているんですよね。ああ、この人たちのカラダに対する直観に、僕たちは飯を食わせてもらっているのだなと感じました。



宮:沢庵和尚って、カラダのこと書いているんだ?



草:ええ。高岡先生はゆるめばOKという感じですが、沢庵和尚は伸びればOKという視点ですね。「神は伸なり」という表現をされています。※3個人的には、沢庵和尚のカラダ感覚の方がしっくりきます。プロのラグビー選手はどういうカラダ感覚に重点を置かれているのですか。




宮:ラグビーの場合、カラダ感覚の優れた選手ほど「のむ」・「うつ」・「かう」が徹底されているという傾向があります。やはりそんな選手達は無駄に筋肉がついていない感じです。※4 力の入れ方・抜き方、に関する指導はほとんどないですね。カラダ感覚については個人のセンスに委ねられているのが現状ですね。

『庭球四十八手』



す:日本のスポーツは、団体スポーツでも最終的には個々人に仕上げを任せていますよね。最近は、トレーナーはじめサポートは充実していますが、外国と比べると格段に違う。良い意味で個々人を尊重し、お互いの信頼感があるからなんですね。外国に行くと信頼感なんて全くないんです。一緒にプレーしていても、それはそれ。これはこれ。日本人では理解しにくいですけど……。 だから契約する時に、例えば野球でしたら、何 までと契約で決めてしまうんです。選手としては保護されているんで、安心してプレーに集中できますが、日本のように来季もプレーできる保証は全くありません。 もったいなあと思うのが、日本人は日本についてよく勉強していないんですね。例えば、沢庵和尚の『太阿記』 にしても、あれは立派な兵法ですよ。※5でも、ほとんどの日本人は知らない。ちょっと知っている人で、宮本武蔵の話に出てくる和尚さんくらいのもんです。すべてのスポーツにおいて、ほんの少しでも太阿記を学んでいたら、結果は全く変わっていたんじゃないかと思う試合が多いですね。

宮:そうですよね。日本人の潜在する身体能力、精神性 そしてチーム力、戦術は世界に誇れるものであるはずですよね。そんなところをスポーツで世界に発信していくことが、これからの最大の醍醐味かもしれない。


(乙に続く)




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(脚注)


1、高岡英夫:ゆる体操創始者。カラダに関する本を何冊も執筆。


2、自分の変態性を完全に無視した発言だと思われる。


3、沢庵和尚全集第五巻参照。


4、現役時代、カラダの使い方を変えて、無駄な筋肉をおとした経験をされている。


5、太阿:陰陽がうまれる前の情態。この情態にあることをよしとする書物。




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