Lesson 78 『躯との対話』その1 | 『高堂巓古 Officia Blog』
Mon, December 20, 2010

Lesson 78 『躯との対話』その1

テーマ:軀(中級編)

前略、



 カラダは躯(からだ)とあらわしたい。そろそろ躯を自分の解釈で視ていきたいとおもう。過去の記事を時折読み返すと、無駄が多く視るに絶えない。でも、そのときはそのときで一所懸命書いていたのだろうから、想い出としてとっておくことにする。やはり文も躯も毎日稽古しなければ、無駄がでる。今の文を視て、また恥ずかしくなるときがくるとおもうが、この場をおかりして、筆をとらせていただくことにした。お付き合いいただける方は、いずれ銀座にでも呑みにいきませう。



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 さて、今月号の月刊草 で、いつも粗末に扱われている下半身が上半身に反乱を起こし、最後は臍(へそ)が仲裁してまるくおさまったという江戸の作品をご紹介したが、やはり躯は上下に分けて視た方がおもしろい。上半身の要は頭骨であり、下半身の要は骨盤である。もっと細かく言えば、頭骨の にある蝶形骨と骨盤の奥にある仙骨 と言ってもよい。




 無論、上下は異なる役目を持つ。上は伸びて なければならず、下は上が伸びるためにしっかりと支えてなければならない。上虚下実である。ところが、現代人は上半身で下半身を支えているケースが多い。重心というものは、意識の擱(お)き処で意外と決まるものである。江戸時代であれば、武士でなくても肚に意識を擱いていた。筆と同じである。筆を机の何処に擱くかで、うまれる作品の善し悪しが決まる。日本語に於いては、


森崎英五朗社長 は肚ができているドキドキ


という例文があった場合、メタボという罵りではなく、褒め言葉であろう。しかしながら、江戸からわずか二百年で、日本人の意識は頭へとうつった。意識が頭にうつると、重心があがり、つまらない知識勝負になる。当然、腕にも力がはいり、繊細な動きもできないから、たしかな職人も減っていってしまった。このような文化は欧米的で、日本人が行うにはつまらないものではないだろうか。肌感覚 よりも視た目の方が重視されてしまっている。鰻寿司でも食べて、頭のひとつやふたつを冷やしていただきたい。



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 では、今まで私は何を語りたかったのかというと、それはお読みいただいた皆様にお任せしたい。まず言いたいことを主張して、その理由を後から述べるというのは野暮なアメリカ的論理である。日本人であれば、言いたいことをまず秘する。私は別に世阿弥の奥義を語ろうとしているのではない。どちらかというと、ただ焦(じ)らしたいだけである。




 裡(うち)が深ければ深いほど、躯というのは軽くなる。銀座の或る女主人 は、洒落ていること・ユーモアがあること・軽やかに浮くことの三つが美に繋がるとおっしゃっていたが、おそらく軽やかさというのは、躯からくる。


まず仙骨で語れ


私はそのようにしていくことで、軽やかさがでてくるのではないかとおもっている。現代風に言うのであれば、或る種のチャラさとしてもよい。仙骨は口を持たぬから、仙骨で語る者は静寂 である。易学の古書を読むと、臍が無を意味する0、或るいは中心を意味する5であり、仙骨がものの始まりを意味する1とされている。私はこの解釈が好きである。



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 たしかに上半身と下半身は矛盾している。百メートル走に於いて、私はハイハイ でダックスフンドに勝てる人を視たことがまだない。あの脚が短いダックスフンドにも勝てないのである。よっぽど四つ脚動物の方が、脊柱をやわらかくつかえている。四つ脚動物には、上半身と下半身の矛盾はない。だが、矛盾あるところに、動きがある。水を火にかければ、水は動き湯に近づく。上半身と下半身の真ん中には、仙骨がある。これをどのように丸めてズラすかが、浮き世の歩き方につながっているのかもしれない。



 肉や服でまだ着飾っているうちは、偽物であろう。易学に、「人は易簡であることによって宇宙の根本原理を体得することができ、それによって天地とならぶ地位を獲得する」とある。ましてや知識で着飾ろうなんて姿勢は、視るに絶えない。真顔で仙骨と対話することである。そうすれば、きっと上から「へえ、そう」と相づちをうってくれる声がきこえてくるに違いない。




ご退屈さまでした。




々。






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