すごいですねー毎日更新のこの連載、その62までやってきました!私頑張ってる!

 

とはいえコロナ禍もやや落ち着きつつある今日この頃、さすがに私も時間が足りなくなってきそうなところもあり、毎日更新は難しいかも!

デカメロンをお手本に、そして深草中将の百夜通いを念頭に、なんとかその100まで続けてみたい気はあるのですが、ちょっと更新ペースが落ちるかも~というのは先に言い訳しておきます!

 

そして、100までの間に源氏物語語りをしばらく使いたいので、西洋古典はほどほどのところで切り上げなくちゃ、と思いつつ・・

 

今日は、有名なボルジア家のルクレツィアではないほうのローマのルクレティアについて、といきたいところなのですがー、

 

そもそも「美女っぽい名前」からの着想でルクレツィア、あるいはルクレティアのお話になだれ込んでいるので、せっかくなのでちょっとイタリアのお名前事情など
 

日本ではいわゆる「キラキラネーム」というのが良くも悪くも話題になりますが、「あまりにも大仰な奇をてらった名前ってどうなの・・?」「でもせっかくだからキラキラした名前つけたいじゃん!」という名付けにおけるせめぎあいは、どこの国でも共通なんですよねー。

 

イタリア人の名前というのは、その多くがキリスト教、カトリックの聖人の名前から付けられています。

ものすごく大雑把に言うと聖人という人たちはたいていの場合殉教していて、それはつまりどういうことかというと、キリスト教が禁止されているのに信仰を貫いて殺された、とか、どこか異国の地に行って布教しようとして殺された、とか、要するにキリスト教のために(たいていの場合拷問その他のひどい方法で)命をささげた方々であることが多いです…キリスト教って基本的に武闘派なんですよね・・(もちろん、奇跡を起こしたり、功績が大きかった方々などもいますけど)

 

もうその殉教の仕方がいちいちえぐくて、世界の拷問大百科の趣もあるんですが、私が一番仰天したのは聖アガタ。

キリスト教を信じていたせいで権力者迫害されて、な、なんと、両の乳房を切り取られるという拷問を受けたという・・

そしてどういうわけか絵画の中に登場する聖アガタは、

ご丁寧にその切り取られた乳房をお皿に乗せて捧げ持っているという度肝を抜く展開。

も、持ってる・・何ならドヤ顔をしていらっしゃる・・

 

で、彼女の出身地であるシチリアのお菓子には「聖アガタのケーキ」という名前のお菓子があるんですけど、


まあまあのエグさですよね・・イタリア人のセンスよ!
アガタの名前を持つ女子たちはどんな気持ちでこのケーキを食べるんだろう・・
By Stefano Mortellaro from Catania, Italy - Flickr, CC BY 2.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=385059

 

まあそんな感じで驚愕の聖人たちはたくさんいるんですが、

その聖人たちにはそれぞれ「祝日」があって、1年365日、それぞれの「この日の聖人」というのがいるんですね~

お察しのように、殉教した日が祝日、ってなっている場合も多いので、当然ですが同じ日に数人の聖人の日が重なっている場合もありますが・・。

 

ともあれ、カトリックにおける聖人由来の名前を持っている人々には、自分の生まれた日である誕生日のほかに「Onomastico」と呼ばれる、「自分と同じ名前の聖人の祝日」というのがあって、その時も軽くお祝いをしたりするんですね。最近はその習慣もすたれてきているとは思いますが、基本的にはOnomasticoあり(つまり聖人由来の)名前の人が多数です。

なので、それ以外の名前が若干「キラキラネーム」的な雰囲気がないこともないような・・

とはいえ、聖人由来でない名前の人は、11月1日に「全聖人の日」という救済策があって、みんなまとめてその日にお祝いすることも可能ですのでご心配なく~

 

あっルクレツィアに全然行きついてない!

そのお話はまた明日以降に。