木々のアーチをくぐった瞬間
止んでいた雨が襲ってきた
わたしと、目の前で自転車を押していた高校生は
しかたなく傘を開いた
その瞬間、バラバラっと小気味好い音が雨を受けとめた
アーチを抜けると
わたしと少年は傘をたたんでそれぞれの路へと向かった
そう
雨かと思ったものは
わたしたちをからかうために
木々と風が手を組んだ粋ないたずら
少年とわたしが ほんのつかの間共有した大切な時間
Rasmus Faber feat. Frida - Hidden Thoughts
「さよなら」キツネは言う。
「最後に秘密にしてたことを教えてあげる。とっても単純なことだよ。
― 心じゃないと、よく見えないんだ。
一番大切なものは、目に見えないんだ。―
「人間はこの事実を忘れてしまった」キツネは言う。
「でも君は忘れちゃいけないよ。君がいつくしんだものに、ずっと責任を負わないといけないんだからね。君が世話をしているバラの花にね・・・」
『Le Petit Prince - 星の王子さま』
『人と思想-サン・テグジュペリ』(稲垣直樹著)によると
(わたしは、この19世紀と20世紀の狭間1900年に生まれた貴族出身の、
飛行機乗りで作家で、空に向かって飛び立ったまま
消息をたったサン・テグジュペリの人生に惹かれてやまないのです。
ヨーロッパの歴史を支配した時間の概念には2つあって、
「円環の時間」と「直線の時間」だと述べられています。
「円環の時間」とは、農耕の中で培われた時間。
-秋に種を蒔き、冬を経て春に収穫する-というように、一定期間を単位とする、繰り返しの時間の認識で
「直線の時間」とは、キリスト教の終末思想をもとに、始めがあれば終わりがあり、後戻りがきかないとする時間の認識です。
この「直線の時間」は19世紀以降の近代資本主義社会においては、さらに2つの意味が加わります。
つまり、進歩の概念。
常に「新しいもの」を求めて邁進していく、まさしく直線的な時間。
2つ目の意味は、時間の計量化。
産業が発達するとともに時間は計量され、管理され、金銭化される。
『星の王子さま』に話を戻すと、狐は王子に農耕的な「円環の時間」の大切さを教えるのです。
決まった日、決まった時間に同じことをする「慣習」ー 王子にとっては、薔薇の世話をすること ー によって
薔薇の花と絆を結び、特別なものとなるのです。
わたし達の多くは、好むと好まざるに関わらず、「直線の時間」に支配されていると思います。
ある朝、戦士のような出で立ちで、職場に向かう人々の群れを見て(自分もその一人)理不尽なものを感じたのです。
自分たちが作った仕事に振り回されている。。。
より「新しいもの」を求め、功利主義に踊らされて、自分で自分を忙しくしている。。
経済至上主義はもううんざりなんだよ!
ニュースキャスターが毎日アホのように繰り返している原稿。
「経済の回復のために」「経済効果を上げるために」
たしかに、わたしたちが稼ぐお金はどんどん減っている。
それは「長引く不況」のせいだからか?
いや、ちがう。
今の経済は円熟期を迎えただけ。
わたしたちが得る賃金が減ってゆくのは
「富の再分配」がうまく行われていないだけ。
ほんの一握りの人たちのところにとどまって、わたしたちのところに分配されないだけ。
労働している者が、潤うことができない時代。
今に限ったことではない。
為政者たちは、民衆のことなど「生かさず、殺さず」で
自分たちが潤うことだけに執着し、人民を全て殺してしまえば自分たちも困るので
適度にアメを与えて、ムチをふるって来た。
革命を起こして、人民の権利を確立した国と日本は違うかと言えばそうではない。
過酷な年貢の取り立てに加え、飢饉や疫病などで農民たちがバタバタと命を落としていった時代、
『一揆』という立派な手段で、「生きる権利」を主張してきたではないか。
わたしたちの生活が苦しくなっているのは、不況のせいだけではない。
一握りの支配層が、わたしたちの生活をないがしろにしてるから、ということに気がついてほしい。
後戻りすることは難しいのかもしれないけど、もう少しシンプルに
生きられたら、もっと人生を楽しめるのに、って思ったものです。
マルセル・プルーストの『失われた時を求めて』も、自由な記憶のよみがえりによって
限りなく増殖するイメージ、限りなく広がる日常的な行為の連鎖と飛躍をつくりだすことで
「円環的時間」による文学として、20世紀の哲学者に時間解釈に影響を与えたそうです。
Angus & Julia Stone - You're the one that I want
互いの手を握りしめてVの森を歩いたかけがえのない時間
あの時間を共有しただけで きみへの想いは永遠になる
あの大切な時間をふたたび共有することができるよう
脱出の準備をするため
しばしブログをお休みしたいと思います。
訪ねてくれたみなさま、
ありがとうございます!!
みなさまのブログには、
ときどき立ち寄らせていただきたいと思います
どうか、人生を思い切り楽しんでください。
失うものは何もないと思うから。