「誰一人として争ってはならぬぞ!」憤慨した王が言い返しました。
「クリスマスの時期は平和と喜びの日だということをよもや知らないことはなかろう」

ところが、緑の騎士は馬鹿にするように爆笑し始めたのです。

「争うなんて誰が言った?俺はかぶとも剣も盾も持っていない。
とはいえ、お前たちの誰も俺と勝負する気がないのなら、
それは臆病者の集まりだってことだ!!」
(緑の騎士さん、かなり挑発してますね~)

この言葉で、騎士の中で最も若い、アーサーの甥っ子
騎士ガウェインがはじかれたように立ち上がりました。

「侮辱もいい加減にしろ!」彼は叫びました。
「挑戦を受けてたとうじゃないか。すぐにそちらの戦う条件を言え」

若いガウェインが剣を抜こうとするのを気づく風もなく、
緑の騎士は再び微笑んだ。

「ゲームというのはうだ。
この斧で俺を思い切り殴ってくれ。きっかり12ヶ月後に俺が反撃する」

あっけにとられたささやき声が広間を流れました。

ガウェインは尋ねました。「どこでおまえを見つけられるんだ?」
「それは長くつらい道のりになるだろう。。が、俺はいつも緑の礼拝堂にいる。
さあ、手柄を取るのだ」
緑の騎士は若いガウェインに自分の斧を差し出しながら、そう言うと、
テーブルの下にひざまずき、まな板の上の鯉のように、自らの首をあらわにしました。

ガウェインは、ためらうことなく緑の斧を両手でつかんで振り上げ、次の瞬間、力いっぱいその斧を騎士の首めがげて振り下ろしました。

男の首は、キャベツのように床に転がり落ちたのです。

他の騎士たちがぞっとして、その光景に見入っていたのに、ケイ卿は
「これがゲームの方法だ」と、緑の騎士の声を真似て言いました。
(さすが毒舌家ケイ卿)

けれども、その騎士は全く気を失うことなく、自分の頭を拾いあげ、馬の上に置いたのです。
まるで何事もなかったかのように。。

そして、馬の上の首が話し出しました。
「ガウェイン卿よ、お忘れなく。きっかり1年後のこの日に、緑のチャペルでリターンマッチをするため、おまえを待っているからな」

こういい残して、見知らぬ訪問者は再び吹雪の中を出発し、すぐに姿を消しました。

新年のアクシデントがこうして治まり、全ての者はまた陽気さを取り戻しましたが、
ガウェイン卿だけは、物思いにふけったまま、その目は男が立ち去る前に壁にかけていった
緑の斧に釘付けになっていました。

この、緑の騎士とのガウェインの信じがたい出来事以降、
アーサーの宮廷には招待客が押し寄せ、彼らの多くが円卓の騎士として、王に忠誠を誓い、仕えたいと申し出たのです。

その中にひとり、モードレッドという名の陰険な顔つきの男がいました。










賢者マーリンはアーサーにモードレッドには気をつけるよう忠告しました。
そう、いつの日か、最悪の裏切りで知られる過ちにより王位をあやぶまれることになる。。。

が、しかし、モードレッドが自分もガウェインと同じくオークニーのロット王の息子だと告げると、
マーリンの忠告を無視して、キャメロットにとどまることを許したのです。

モードレッドは不誠実で口がうまく、あまり親しみやすい性格ではありませんでした。
その代わり、その若者は全てのたくらみごとに通じていました。

アーサーが、彼の名前と何を望むのか尋ねたとき、モードレッドはこう答えたのです。

「陛下、3つのお願い事がございます。
わたしを1年間、宮廷に置いてください。陛下のどんな命令にも従います。
それ以外に、寝るところと食べものを与えてください。
そうすれば、わたしの名前を明かしたいと思います」

つづく