ゆらぎのある絵が好きだな、と思う。

ゆらぎを表現したい。と思う。

動かないでそこに在り続けるものはない。

この世にある全てのものが動いている。

息づいていたり、息づくものの波動を受けたり、光によってゆらいだり。

どんなに巨大な岩も長い年月を経て風化するように。

街角のポスターのイエローインクが消えて、マゼンタが消えて最後にシアンが残るように。

そこに同じ状態で在り続けるものはないから。

ゆらいでいるものに心が揺さぶられる。

音楽のように音階が移る時、音がふるえる時に心がゆらぐ。

音の間の小さな吐息に心がふるえる。

言葉も書く人の心のふるえが伝わるものが好きだ。

だから、ひとつとして同じものがない和紙の繊維の上を

水を含んだ墨が自在に泳いでゆく水墨画に魅力を感じるのかもしれない。

にじむ紙も、にじまない紙も、墨のなりゆきに任せて、次の筆を置いてゆく

常に変化し続けて、ひとところにおさまらない。

創作の中に人生の、時間の、流れを見るような気がする。





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