~致知 2012年11月号 高野登さんの言葉~


「どうしたらホスピタリティの感性が伸びますか?」という質問に対して
 僕は「自分の行動パターンを少し変えてみるといいよ」と言っているんです。
 例えば、最近は水を飲む時に、直接ペットボトルに口をつけますね。しかし、古来日本では容器に直接口をつけて飲むという文化はなかったわけです。必ずコップに注いでから飲むという美しい所作がありました。
 だからリッツ・カールトンでは誰が見ていなくても、必ずコップに注いでから飲むことを徹底したんです。裏方にいても必ずコップに移してから水を飲むホテルマンと、何も考えず直接ペットボトルに口をつけて飲むホテルマンとでは、三年経った時、明らかに違いが出てきます。一年じゃわからない。でも五年経ったら追いつけないほどの開きになる。
 あるいは、背広は一日一緒に働いてくれたパートナーであり、大切な戦闘服ですから、ブラシをかけて、”きょうもご苦労さま”と声を掛けて洋服ダンスに掛ける。靴も、毎日でなくても磨いて、木型を入れて下駄箱にしまう。そういうことを意識している人と、靴を脱ぎ散らかして、何も考えずにまた翌日はいてくる人とでは、全く違う存在になるんですね。
 そんな小さなことであっても、行動パターンを変えて自分の習慣にしてしまうと、今度は人の靴や背広に目がいくようになる。つまり今迄なかった視点が生まれるのです。」