近くにあるベトナムの小児病院に行って来た。
ホーチミン市内には結構子供専用の病院がありその門の前では風船やお菓子、おもちゃなどを売る屋台がひしめきあっている。子供病院は風船が目印と覚えてほしい。
とにかくすごい数の屋台である。さすが両津勘吉の国、商魂たくましいことこの上ない。

特に今日は予防接種の日なので来員数がいつもより多い。生後間もない赤ちゃんを抱いたお母さんの群れでごったがえしている。みなさん順番待ちである。(この炎天下の順番待ちのほうが幼児の体にはすこぶる悪いと思うのは私だけであろうか?)


ともあれベトナム戦争以前はベトナムの家族構成は日本の戦前と同じようように「子沢山」であった。私の通訳のタン君も7人兄弟だし、ご存知ひげは8男でさらに弟がいるから9人兄弟である。生めよ増やせよ!であったらしい。

この時代は、いい薬も医療制度もなく日本でもそうであったが5歳までは「神のもの」といってまだ「人間界のもの」ではなかった。

特に病気の媒介となる蚊やネズミの数が日本よりはるかに多いベトナムでは小児麻痺やはしか、デング熱などで生まれてから5歳に達することが至難のわざとされていたのだ。

しかし約30年前から生後まもなくの子供に対する予防接種が義務化されてこの死亡率がめっきり減ったのだ。



このこと自体は歓迎されることであるが困ったことに中国を見習っての「一人っ子」の家庭が増えてきた。特に都心部ではいい学校に行かそうとすると教育費が高いのでなおさら2人目に待ったがかかる。

私の目からもわすかここ10年でホーチミン市内では「太った子供」が多く見られるようになった。ベトナムに来た当初は「子供 イコール ガリガリ君」が私の中の方程式であったがプールなどで見かける子供はまるまると太った見事な肥満児が多くなった。そしてその外観だけでなく性格も確実に生意気になった。
それはそうであろう10人分の食事と愛情を一身に受けて育った結果の産物であるからしかたがない。(特にゴルフ場で練習する子供たち!)

私が生まれたころの日本もそうであったのであろうが少子化になると子供たちはどうも「贅沢成れ」して態度も傲慢になる。
昔のベトナムの子供たちは思わず両手で抱きしめて「守ってあげたい」と思うほど手足が華奢で態度も下目使いでおどおどしていた。あのころが懐かしい・・・

医学の発達のよしあしを考える日であった。