またまた中途半端でごめんなさい。そして、相変わらずの人物の多さでごめんなさいm(_ _)m


 そして、八ヶ岳からただいまです!いやー、はじめは班長とか、もうどうなっちゃうの!?と焦りましたが、何とか無事生還。

 班の人たちとあまり仲が良くなかったので寝る時は寂しいことになりましたが、それ以外はとりあえずボッチにならずに済みました。。。(←そう思ってるのは自分だけかも…?)


 まあ、そんな感じで、ゆるゆる陰陽語りその三です。よかったら読んでやってください。。。


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 6、陰陽の術、目にしたり


 智臣がなるべく大きな桶に水を張ったものを用意してほしいというので、暁成が慌てて用意した。
 「…全部下仕任せじゃないのね。」
 「そりゃあ、自分でできる範囲のことはするよ。」
 「門の開け閉めは自分でできないの?」
 「あれは瑠樺(るか)が近くにいたから…」
 「瑠樺?」
 珠緒の言葉に暁成がむっとして言い返していると、下仕の少女が近づいてきた。年の頃は暁成と同じかそれより下に見える。
 「…暁成様は私達を対等にみてくださるし、ご自身を甘やかすようなことをしない方ですよ。私がここにいられるのも、暁成様のおかげなのです。門の開閉くらい私達がしなくては。」
 にっこりと笑う彼女はとても脆そうで、少し所在無げに見えた。
 「おかげって…どういう事?」
 珠緒が不思議そうに訊いた。
 「私は孤児だったのです。小さい時に親を亡くして途方に暮れてこの辺りに迷い込み、野良犬に追われていたところを暁成様に助けていただいたのです。そして、ここに下仕として住まわせていただきました。私のような卑しい身分の者が、本来なら許されることではないのですが。」
 そう言うと少女が儚げに微笑した。その笑顔が僅かに憂えを帯びている。
 「それは、放っておけば風で吹き飛びそうなまだ小さい女の子を追い出すなんて、それこそ神罰が下る。当たり前のことをしただけなんだから、瑠樺が気にすることないんだ。」
 暁成が、な、そうだろう、と少女に笑いかけた。
 「…なるほど。そういうことね。」
 珠緒がにやりと笑いながら、やるわねぇ、と暁成を小突いた。
 「な!?はぁ!?何がだよ!?」
 「いくつの時?まだ小さかったって?」
 「…十の頃だったかなぁ…確か瑠樺は八つとか…」
 「うわー、そんな頃から下心が…」
 「違うわ!俺は本当に善意から…」
 「へー。どうだか。」
 「おいっ!」
 暁成と珠緒のやりとりを瑠樺が面白そうに、そしてどこか羨ましそうに見ていると智臣が犀角の粉を水に溶かし、準備できたよ、と言った。
 「じゃ、はじめるよ。」
 智臣が橋の欄干にひらりと飛び乗り、辺りを飛んでいた焔舞に桶を持って、と言った。その言葉に呼応するように焔舞が空中でくるりと回り、十くらいの少年の姿になった。智臣は彼に持たせた桶から水を掬い、枯れかけていた紅葉に振りかけていく。
 「ト ホ カミ エミ タメ」
 水を撒くたびに紅葉の色が少しづつ元に戻る。


 7、悔悟の連鎖―それぞれの回想録―


 ――誰?
 ――源暁成。
 ――助けてくれたの?
 ――…当たり前のことをしただけだ。


 ひ ふ み よ い む な や ここのたり ふるべ ゆらゆらと ふるべ


 深々と、真っ白い雪が空を舞っている。


 ――ねえ、それ――
 ―――もしかして、八握剣(やつかのつるぎ)?どうして……


 遠い昔の記憶。まだ、あの頃は周りに妖怪たちがいて。普通に話していた。
 妖怪とそうでないものの違いなんて、よくわからなかった。
 だけど、あの犬の瞳を見たとき、ああ、こいつは良くない妖怪だ、と直感で思った。
 だから、もっと幼い時に託されたあの刀を振るったんだ。


 ひ ふ み よ い む な や ここのたり ふるべ ゆらゆらと ふるべ


 ――なぁ、暁成。お前は天璽十種瑞宝(あまつしるしとくさのみづのたから)を知っているかい?

 ――…しらない。なあに、それ?
 ――私もよくは知らない。だが、私は昔それのひとつ、八握剣を振るえる人を、人の子を見たんだ。彼は私を最後の力を振り絞って助けてくれた。そして、妖怪に振るえるはずもないその剣を遺していった。
 ――どうして、最後の力って、何があったの?
 ――…人は欲に目が眩んで、いつでも道を違える。



 ――亡くなられた皇子様を蘇らせろって…人はいつでも無茶言うなぁ。勝躬(かつみ)。
 ――呪禁師は、他の医師たちとは違う。陰陽師が呪で死をもたらすなら、呪禁師は呪で生をもたらす。私たちは神に貸し与えられた術を用いる最後の頼みの綱なんだ。
 ――何でもかんでも押し付けられて、都合の良いように解釈されて、神に貸し与えられている、なんて誰も思っちゃいない。
 ――…ああ。長老の言うとおりだ。でもね、私は、八握剣を持っている。それが、他の瑞宝(みづのたから)と呼び合う、呼応し合うのを感じる。
 ――そして、見つけてしまった。死返玉(まかるがえしのたま)を持つ者を。
 ――…勝躬?
 ――長老。人は驕る生き物だ。私もそろそろ欲を満たしたい。
 ――勝躬!それは、お前は道を踏み外すってのか!皇子を救って英雄にでもなるって?そんな馬鹿なこと、お前が考えるわけ―
 ――そうだよ。長老、いや、狂花。私はもう狂ってしまった。
 ―――美しい狂い咲きの桜の木霊。お前はもう、私のように醜く狂った人間の相手をする必要はない。
 ――勝躬…お前…
 まだ顔に幼さを残す青年がほんの少し笑って、横に座る少女の頭をぽんと軽く叩いた。
 ――狂花…さようなら、だ…


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 読んでくださってありがとうございます!

 今回も脈絡のない感じになってしまいました。そして、やっぱり、意識していないのに、アレですよ。

 私の少年陰陽師好きが見え見えですよ…。

 今回、出すつもりのなかった布瑠の言、出しちゃいましたよ…。しかも、結構、鍵になる感じですよ。


 と、ここで全然関係ない自慢をします!(←どんな宣言?)

 カゲプロの缶バッチガチャで、コノハとクロハが揃いましたー!わー!

 コノハは自分で出して、クロハは友人が出してくれました!

 クロハはシークレットで、出ちゃったりしてね~あはは~、とか笑いながらガチャを回した結果、

 ほ、ほんとに出たーーー!?、という。

 ものすごくうれしい…幸せ…


 まあ、それは置いておいて(←自分で持ち出しといて…)

 ぎんぎつね、前から読もうと思っていて読んでなかったのですが、アニメ化を期に読み始めましたー!

 アニメより先に読みたい派なので(←そんな派があるのなら。)。

 そして、思っていた以上に面白かったです!

 アニメ化の影響による古本屋さんでの値上がりが悔しいのですが、まあ、それは今まで後回しにしていた自分の責任ですね…oh~…

 個人的にはハルちゃんがかわいすぎて大好きです!なんだかんだ言ってちゃんと我慢ができるという、あの健気さに心を打たれないわけがない!


 と、まあ、小説に関係ない話ばかりでしたが…

 ここまで読んでくださって、本当に感謝です!ありがとうございます(*^_^*)


 これからも遅い更新になることとは思いますが、どうか見捨てないでくださいm(_ _)m


 

 明日から合宿で八ヶ岳です。じゃんけんで負けて班長なるものをやるのですが、ぶっちゃけ…面倒です。

 それ以外は楽しみですが(*^_^*)


 今回はゆるゆる陰陽語りの第二弾です。前より話数が少ないし、変な引き方ですが、そこは大目にお願いします。。。


 このシリーズは釣鐘草初の(っていうほど書いてないけど…)時代物です。知識不足で色々おかしなところはあると思いますが、どうか温かい目で見守ってくださいお願いしますじゃないと辛いです。。。(←心の悲痛な叫びが…)


 というわけで、今回もよろしくお願いします!


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 4、典薬寮の鬼女、現る


 「暁成殿ー、薬を持ってきたぞー開けてくれー。」
 翌日、暁成が出仕から帰って来て四半刻もたたないうちに智臣がやってきた。
 「律儀なやつだな。律儀すぎてむしろ礼に欠いている気もするが…今日はまだ昼餉すら食べていない…。」
 暁成が邸にいた下仕の女性に西門を開け、最低限のもてなしをするよう頼んだ。邸の塀を乗り越えて入ってきた前日とは違い、智臣が門から邸に上がる。
 「へー、昨日も思ったけど、君の邸って広いなー。お父上は源済政様だっけ?播磨守も務めてらっしゃるんだよなー、すごいよなー。」
 寝殿の手前にある釣殿を歩きながら智臣が感心したようにうんうんと頷きながら言った。そうしてから、思い出したように袂を探り、小さな木箱を取り出した。何やら細かく美しい彫刻がなされている。
 「あ、で、これが昨日言ってた犀角―――」
 「智臣いぃー!出てらっしゃいっ!そこのお邸に逃げ込んだって無駄よ!勝手に高価な薬を持ち出すなって、いっつも言ってるでしょ!」
 智臣の言葉を遮るように牛車の止まる音が響き、西門の前に少女が現れた。見目は暁成や智臣と同じくらい。小袖に女物の袴という出で立ちは随分な軽装に見える。
 「げっ!典薬寮の鬼女(きじょ)!」
 「誰が鬼女かー!」
 少女がまさしく鬼の形相で叫んだ。
 「…暁成様、このお方が邸に上がりたいと…」
 西門で来客の相手をしていた下仕の女性がおろおろしながら暁成に訊ねる。
 「…あ、ああ、まあ、智臣の知人の方のようだし、お通しして良い。」
 空気に呑まれた暁成が頷いた。この少年、先日のこともだが、流されやすいようだ。
 「ええぇぇ!?暁成!どう考えても俺歓迎してないよ!?なんでそうなるの――」
 「その犀角は本当に貴重なものだと!どうしてあなた方、陰陽寮の人たちは考えなしに使ってしまうの!?」
 少女が足早に智臣のところへ来て、犀角を持った手を捻りあげた。
 「い、痛いっ、珠緒っ、やめ…」
 「大人しくそれを渡すか、さもなくばきっちり事情を説明なさい!」
 少女圧勝。呆気にとられる暁成の目の前で降参、全部話すから、と智臣が負けを認めた。それにしても、本当に痛そうだ。
 「…勝手に上がり込んでしまってごめんなさい。お見苦しいところをお見せしました。私は医生の和気珠緒(わけのたまお)と申します。」
 少女が智臣から手を放し、ぺこりと頭を下げた。


 5、陰陽生と医生の力関係


 「この智臣が高価な薬を持ち出す理由を隠し立てするので、はしたないことではありますが追ってきた次第です。」
 「ああ、そうですか。……ということは、悪いのは智臣ということで?」
 暁成がちらりと智臣を見た。
 「ちっ、違うよ!これは暁成の邸のためで……」
 「…つまり、俺のせいだ、と?」
 「あっ、暁成!そういうことじゃないだろ!」
 必死で弁明をする智臣の頭を珠緒が軽く引っ叩く。
 「あんたは、まず私に釈明をなさい!」
 こめかみに青筋を立てる珠緒に暁成は初めて女の怖さというものを目の当たりにした気がした。
 「…実は――」
 これまでの経緯を素直に語った智臣が素直に謝ったにも拘らずもう一度引っ叩かれたのは言うまでもない。
 「あんたってやつは!そういうことは全部上司に押し付けなさいよ!なんのために雑用やってんのよ!目上の方に速やかにご出動いただくためでしょ!」
 あ、そういうのはいいんだ。暁成には珠緒の怒りの基準がいまいちわからなかった。
 「はー、ま、そういうことなら仕方がないわね。この犀角は、智臣の責任ということで、彼の懐から出させるから。」
 「…ですよねー…。」
 「ったりまえでしょうが!てめぇの責任はてめぇが取れ!」
 最早口調までもが変化している。そして、この犀角はだいぶ高価だと聞いたことがあるが智臣は家の人にばれても大丈夫なのだろうか。暁成は急に心配になってきた。
 「…って言いたいところだけど、京のためにやったことなら父様なら許しちゃうわね。良いわよ、今回は。」
 珠緒が溜息を吐いて笑った。笑うと今までとは打って変わって花が綻んだような優しい印象になり、内心で暁成が驚く。
 「…いつもそうやって笑ってれば典薬寮の鬼女って言われなくなると思うけど…」
 「なんだとー!」
 智臣の余計なひと言でまた珠緒が怒りを顕わにした。
 「まあまあ、落ち着いて。ところで、さっき父様って言ってたけど、君のお父さんて?」
 智臣の様子から同年とみて間違いなさそうだったので、暁成が敬語を外す。
 「ああ、父は典薬助(てんやくのすけ)の和気相成(わけのあいなり)なの。なので、これくらいの量なら、ね?」
 あー、この子、結構すごい性格だー。
「じゃ、とりあえず鴆の毒を消すよ。」


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 ……何度見てもこの引きはおかしかった!ごめんなさいm(_ _)m


 そして、読んでくださった方ありがとうございました!!!


 本当にこんなぐだぐだ~っとした小説ですが、どうかこれからも見放さないでください。。。


 それでは、八ヶ岳行ってきます!(←唐突!)

 えー、今回は占いツクールさんで、私が個人で書きはじめたものを載せます。。。リレーの方は、友人に許可とらないとなので、今のところ載せる予定はなしですが…

 ゆる~く書きだした小説なので、タイトルからしてぐだぐだ~って感じですし、内容的に知識のなさがとても明確になってしまう感じの仕様ですが、どうかお付き合いくださると嬉しいです(*^_^*)


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 1、源暁成、あやかしを見る


 「暇すぎる。最近は大きな催しもないし、暇すぎる。」
 時は平安。朝の出仕を終えた貴族のやることと言ったら、昼餉、昼寝、夕餉。あとは時々催される歌合や花見などに参加する程度だ。
 つまり、早めの昼餉を終えた源暁成(みなもとのあきなり)は相当な暇を持て余していた。
 「…庭にでも出るか…。そういえば、そろそろ紅葉が色づくと庭師が言っていたし…」
 二十一ある源氏の流派の中でも暁成は宇多天皇の皇子を祖とする宇多源氏。家格は決して低くない。邸もそれなりに広いし、生活にも仕事にも不自由ない。因みに、暁成は雅楽寮(うたまいのつかさ)に出仕する横笛生だった。横笛師になるには十六という年齢的にもまだまだだが、彼の実力は並ではなかった。
 暁成は庭に出て、周りに誰もいないのを良いことに、暁成は行儀悪く池の橋の欄干に腰かけ、横笛の手入れを始めた。愛用の高麗笛(こまぶえ)は細身で繊細な美しさを持ち、手入れにも余念がない。
 彼がそれを取り落すなど、あるわけがなかった。
 池の辺に生えているのは先ほど彼が気にかけていた紅葉だ。実際のところ、庭師の言葉を聞いたのはだいぶ前だったようで、紅葉は色づくどころかすでに葉を散らせ始めている。
 笛の手入れを始めてからはそちらに集中していて、暁成はその紅葉のことなど全く気に留めていなかった。
 だから、気が付かなかった。
 「そこの方!危ない!伏せて!」
 突然、庭中に若い男の鋭く朗々とした声が響いた。暁成が驚いて顔を上げる。伏せろと言われてもここは欄干の上。伏せれば池に真っ逆さまだ。だが、そんなことを考える暇もなく、彼は眼前に迫ったそれを避けなくてはいけず、つまり、池に真っ逆さまに落ちる羽目となった。当然、笛はとうの昔に取り落としている。
 ――ザバンっ
 決して浅くはない池に壮大な水柱が立ち上がる。秋の水の冷たさが直衣越しに徐々に伝わり、暁成は初めて自分が池に落ちたことを知った。
 「…な……今…変な生き物が……」
 「行け!焔舞(えんぶ)!」
 朗々とした声の主は暁成と同じくらいの少年だった。その目線の先には先ほど暁成を驚愕させた鷺に似た、だが、明らかに羽毛やくちばしの色がおかしい鳥が悠然と舞っている。
 そして、行けと言われたのは空中を自在に舞う、小さく真っ赤な金魚だった。


 2、陰陽生、智臣


 ごほごほと咽ながらもなんとか岸に上がった暁成が目にしたのは、金魚が楽しげに飛び回りながら尾ひれから伸びていく炎で鳥を囲んでいく様だった。
 「…な…な…」
 生まれてこのかた暁成は『妖』などというものを見たことがない。そういうものを見る人は見鬼というものを持っていて、そうでない人があやかしと関わることなど、ほとんどないと暁成の父が語っていた。それを鵜呑みにして育ってきた暁成には到底理解し得ない状況だ。そして、そんなことを自分の邸で繰り広げられても困る。
「…け……その変な鳥ともどもうちから出てけっ!」
 つまり、これは暁成的には当然の言い分だ。だが、この心からの叫びのおかげで鳥の注目は暁成に向いてしまった。鳥が金魚の包囲を翼で両断し、突如、暁成に向かって急降下してきた。暁成が突然の事態に目を見開き、息を呑んだ。
 「ああっ、もう少しだったのに!」
 少年がちっ、と舌打ちをした。
 「オン マユラ キランデイ ソワカ!」
 少年が素早く唱えると、鳥が何かに弾かれたように後退し、地面に落ちた。
 「ノウマク サラバタタギャテイビャク サラバボッケイビャク サラバタ タラタ センダマカロシャダ ケン ギャキギャキ サラバビキンナン ウン タラタ カンマン」
 少年が印を結びながら低く鋭い声で唱えると鳥が一瞬にして燃え上がった。
 「―――人に危害を加えるなら、こうするしかないんだ。」
 少年が小さな声で呟いた。だが、暁成は鳥の様子にばかり気を取られて全く聞いていなかった。鳥は塵一つ残さず燃えつき、辺りは何事もなかったような静けさを取り戻した。だが、何かが違う。
 「…木とか…若干枯れかかってるんですけど…?」
 暁成が怒りで震える声を絞り出した。
 「あっ!そうだった…鴆(ちん)の毒、消さないと……だけど…薬、貰ってくる前に邸出ちゃったんだよねー…あはは…」
 少年が暁成に向き直りがばっと頭を下げた。
 「申し訳ない!こんなに甚大な被害を出しておきながら…。明日のこの時間にまた毒消しの犀角(さいかく)を持ってくるから、今日のことは他言しないでくれないかな?」
 少年が頭を下げたままちらちらと暁成の様子を窺う。一方の暁成は突然頭を下げられて気圧されたのか、こくこくと頷いた。
 「わ、わかったから。とりあえず人には言わない。で?君、名前は?俺は横笛生の源暁成。…とさっきのは…」
 「あ、俺は陰陽生(おんみょうのしょう)の藤原智臣(ふじわらのともおみ)。」


 3、見鬼、知れる


  「さっきは、陰陽博士の言付けを伝えに行く途中で、害のありそうな妖、まあ、鴆っていうんだけど、それを見つけたから、焔舞もいたし、退治したほうが良いかなと思って……まさか人様の邸で闘う羽目になるとは思ってなかったんだ…申し訳ない…。」
 何度も謝る智臣に、人に良くない妖を倒せたならこれくらい別に良い、といつの間にやら慰め役になっている暁成が言った。
 「しかし、妖なんて初めて見たなー。俺、見鬼とか無いのに。」
 「…えぇっ!?」
 何気ない暁成の言葉に智臣が頓狂な声を上げた。それに連動するかのように焔舞と呼ばれた金魚も忙しく智臣の頭上をあちこち飛び回った。
 「…なに?」
 「…いや、君、絶対見鬼あると思うけど…」
 「…はぁ!?」
 今度は暁成が頓狂な声をあげる。
 「さっきの妖も、見鬼のない人には見えなかったはずなんだよね。おまけに、君、焔舞のこと見えてるみたいだし。こいつ、式神のなかでも弱い方だから、ここまでわずかな霊力を認識するにはすごい修業をした人か、生まれつき見鬼がある人くらいなんだよね。」
 智臣の言葉に暁成が呆然とする。
 「…え…そんなこと…」
 その時、枯れかけてしまった紅葉の根元で小さな尻尾、狐のようなふわふわした尻尾が揺れて、すぐに消えた。それが目に入り、ふと、暁成はまだもっと幼かった頃のことを思い出した。
 ――暁成ー、また遊ぼうぜー!
 ――また来たよー、暁成。
 よく邸に来て遊んでくれたのは――到底人とは思えない容姿の者たちではなかっただろうか。
 「…忘れてた…なんで…」
 暁成の記憶の片隅に、薄らと残る会話。
 ――…暁成は高麗笛が好きなんだ。おれたちが見えてるってわかったら良くない。
 ――はぁー?なんでだよ?関係ないだろう?
 ――バカ!済政(なりまさ)は矜持が高いんだから、少しでも高い位につける陰陽寮に入れたがるに決まってるだろ!
 ――…そうかぁ…。なら、仕方がない…。あいつから妖を遠ざけないと…。
 「…そういうことか…。」
 突然遊びに来なくなった妖たち。誰に聞いても、子供の戯言としか思われず、いつしか自分でさえそう思い込んでいた。
 「…別に、父上だって雅楽好きだからそんな心配なかったと思うけどなぁ。」
 ぶつぶつと暁成が呟く。
 「なんかよくわからないけど、とにかく、暁成にはやっぱり見鬼があるんだね。」
 「…つまりは、そういうこと、かな。」
 暁成は突如色々なことがわかり、どっと疲れた顔で言った。


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 読んでくださってありがとうございました!

 こんな感じで、今回もまだまだ続きますが、割と細切れな感じで占いツクールさんに合わせての更新になると思います。ので、遅かったり、ほかのより速かったり、自分の都合で読んでくださる方に迷惑をおかけしますが、これからもどうぞよろしくお願いします!