そして、書いてて気付いたことが…
タイトル、「雅楽寮にて妖事件発生中?」なのに…
まだ、雅楽寮の描写が一秒もない!!!
すみません。もう何の話かわからなくなってます。自分でも未知です。
ぼんやりとした筋はあるのですが、書きたいこと多すぎてうまくまとまらない現状がそこに。。。(←言い訳)
こんなですが、これからも小説載せていきますので、よろしくお願いします。。。
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13、生きる意味は自分に見出す
ただ、父がこんな自分を見てなんと言うだろうか、それがふと頭を過り、自己嫌悪に陥って眠る日々だった。
人の役に立てとは言わない。だが、自分の一番尊敬するものに恥じない生き方をしろ。
そういう父だった。
だから、勝躬は夜な夜な出歩いては妖怪を斬った。人を斬れない鈍らで、ひたすらに。人のため。人に仇なす妖怪を斬る。
父のように医術の心得があるわけではない。人の役に立つ呪い(まじない)を熟知しているのでもない。
ただ、これだけは、感覚で。体が勝手に動くのに任せて使うことができた。
斬ることに快感はない。ただ、斬るたび、自分が父に近付いている。溜まっていくその思いだけを大切に胸にしまっていった。
それだけで明日が見えた。
親がいないからといって養ってくれるほど、親切で余裕のあるものなど、貧しい農村にはいない。
十二にもなれば一人でも働く口はたくさんある。母が死に、父が死んだこの村で、自分は何ができるだろうか。何かしたいだろうか。繰り返す自問。
この村に生きる意味は、父の思いを継ぐことにある。それが彼の結論だった。
勝躬の中にはただそれだけしかなかった。勝躬が夜な夜な出歩く範囲は広がり、京の方まで妖怪を追っていくようになった。
そして、狂花と出会ったのだ。
「勝躬、お前は何のために妖怪を斬るのだ?世のため人のためか?」
狂花が訊いた。その目は真っ直ぐと勝躬の目を見据えている。夜の湖を思わせる深く、暗く、炯炯とした瞳に射ぬかれ、勝躬はまた自問する。
――自分が生きる意味は。どこに、何にあるのか。
「……俺は、親父の――」
父のように――
「お前の目に映る妖怪は、どんな悪事を仕出かしたのだ?見たのか?聞いたのか?お前は自分が何を斬っているのか、わかっているのか?」
狂花が静かに訊ねた。勝躬の目がゆっくりと瞠られた。
14、さあ、その手を取って――
――妖怪は、悪い。父は妖怪に屠られた。
――本当に。全ての妖怪が悪いのか。あの人間より悪なのか。
「お前の目は私怨で曇ってはいないか。勝躬、お前は親がいないのだろう。もしや、剣のせいなのではないか。」
狂花がずばりと言い当てた。勝躬がたじろぐ。
「…俺は、間違ってない。親父ならこうするはずだ。きっと、悪いものを滅しようと――」
「お前は父親になりたいのか?お前はお前ではなく、自分の父になりたいのか?真似事をしたって、お前はお前でしかないのに。」
勝躬が刃を狂花に向けた。
「違う!俺は親父に恥じないように!」
狂花は至って冷静に勝躬を見つめていた。
「それは違うだろう。お前の父は無益の殺生を好む性質だったのか?」
勝躬がはっと剣を引く。
「俺が…親父が助けた人間を…本気で殺そうとなんて…できるわけないじゃないか。」
それが勝躬の本心だった。世の中を善悪で別けるなら、勝躬の父が助けた村は、人間は、善だと思いたかった。
だから、勝躬は本当の善悪を見ようとしなかった。だから、悪としたのは妖怪だった。
「お前は真っ直ぐだ。一つしか信じることができないんだろう。だが、世の中を善悪、白黒ではっきり分けることなんてできない。お前自身を分けることさえできない。お前は人にとっては善でも、私たち妖怪にとっては悪。しかし、私に力を貸してくれるのなら、私にとっては善だ。人間も妖怪も同じように、感情があり、天性の性質がある。それらの一面だけ見て何かを決めることは難しい。」
狂花が噛んで含めるように言った。
「お前が私を手伝ってくれるのなら、お前にその剣の本当の使い方を教えてやろう。」
なあ、狂花は何の妖怪なんだ?
私は、妖怪というより、桜の木霊、精霊だ。
精霊と妖怪って違うのか?
全然違う。妖怪は怨み辛みの念の塊。精霊は物や植物の気の塊だ。
…似たようなものじゃないか?
違うと言ってるだろう。
「俺が、手伝うことは間違ってないよな?」
「俺がこれを使うことは、間違ってないよな?」
勝躬、それは八握剣というものだ。昔、さる神が天下るとき、天津神から十の神宝、天璽十種瑞宝、澳津鏡、辺津鏡、八握剣、生玉、死返玉、足玉、道反玉、蛇比礼、蜂比礼、品物比礼を授かった。
お前の持つ剣はその中の一つ、八握剣。
これらは、そのすべての浄化の力を使えば、死んだものを黄泉から引き上げることさえできる。
15、思い出せ、思い出せ、あの日のことと…
――暁成、この剣を託すのは、お前を守るためだ。私も、誰も、お前を守ることはできない。お前自身しか、お前を守ることはできない。
――…じぶん、しか…?
――魂の代償は魂。では、魄の代償は魄か。
――コンのだいしょう?ハクのだいしょう?
――お前にはまだ難しいだろうな。だが、いずれ思いだし、理解するだろう。
――…どうして?
――お前は、私のせいで命を落としかけるかもしれない。いや、きっとそうなる。私はその剣の前の主にな、その剣で自分に魄をくれと言った。
――ハクはつくれるの?どうしてほしかったの?
――その方を気にするのか?知識に貪欲とは先が楽しみだ。…魄を欲したのは、私の主たる桜が朽ちても、為し得たいことがあったからだ。そして、魄を作ることは―――
―――死んだ者を、剣で浄化して、魄だけにしてしまうことで、できる。
暁成がはっと目を覚ました。まだ日の出前で、辺りは薄闇に包まれている。長く夢を見ていた気がするが、その内容はあまり思い出せなかった。
ここ二、三日は色々なことがあって未だに整理がつかない。思い出したこともたくさんあった。だが、まだ、何かを忘れている気がする。
(そういえば、瑠樺をどうやって野良犬から助けたんだっけな…)
他にも曖昧なことはあったが、なんとなくそれが無性に気になった。
(ああ、あと、狂花とか言ってたっけ…。誰だっけ…なんか…)
――他言するなよ、暁成。
ふと、そんな声を思い出した。だが、その声の主がどうしても思い出せない。それが狂花と呼ばれる妖怪なのだろうか。小梢丸と夏苗丸は様をつけて呼んでいた。それも何かの手掛かりになるだろうか。
思えば、瑠樺が来た時も、霊力を帯びた玉石を携えていて、それが狙われていた。その玉がどういうものなのか、瑠樺自身も詳しくは知らなかったようだが、野良犬に追われて――
暁成の中で、何かが繋がった気がした。
(…あれ、じゃあ、あの犬は妖怪だったのか?それで、あれの価値をわかってて…)
そして。自分は。斬った。
(…俺…知ってる…。あの玉のことも――狂花のことも。)
暁成が目を見開く。その瞳に燦然とした輝きが生まれている。暁成は起き上って褥をたたみ、立ち上がった。
そのまま、暗い庭に出て、邸でたった一本の小振りな桜の木の前を一心不乱に手で掘り始めた。だが、それでは埒が明かず、納屋から鍬を持ってきて掘り返していく。
「…あった。」
16、魂振の証
鍬ががちりと音を立てて当ったのは、細長い櫃だった。
「――これが、八握剣。俺の――」
暁成の、魂振の証。
「それが、神宝か。」
「あまり大したことないのう。」
突然背後から声が聞こえた。
「わっ、小梢丸と夏苗丸!」
言葉とは裏腹に興味津々で暁成の手にある櫃を覗き込むのは二匹の小犬の妖怪だ。
「はやく開けてみ。ほれほれ。」
「俺が埋めたんだから、俺は中身わかってるんだよ。」
「でも、わしらはわからないのだ!」
「あたりまえだ!」
そんな言い合いをしながらも暁成が二匹のも見えるように櫃の蓋を取る。
少し錆びついた至って平凡な剣が収まっていた。唯一違うのは、鍔に玲瓏とした輝きを放つ小さな玉石がはめ込まれていることだろうか。
「…なんじゃー、ふつーじゃのー」
明らかな落胆をにじませて夏苗丸が言った。位置的に死角らしく、二匹は玉石には気付いていないらしい。
「それでも本物は本物だ。お前で試してみるか?」
暁成が少しむっとして、冗談交じりに言った。いや、半分は本気かもしれない。
「しかし、そんなに錆びてしまっては…」
小梢丸が難しい顔で唸る。暁成の冗談は聞かなかったことにして。
「わしが、砥石の付喪神を呼んで来てやろう!」
夏苗丸は新しい遊びを得たというようにはしゃいで言った。暁成が呆れる。
「…しかし、お前たち、よく俺がこんなことしてるってわかったな。まだ明け方でさえないのに。」
暁成が訝しむように訊いた。
「だって、わしらは狂花様が八握剣を受け継ぐ者を探してるって知っててここに来たのだぞ?」
「お前がいつこれを手に取るかずっと見ていたのだ。」
二匹が偉そうにすごいだろう、言った。
「何がすごいのかはよくわからなかったけど、要するに、俺がこれを使うときは狂花のためだと思って観察していた…と?」
「まあ、そんな感じだ。」
「おう。」
暁成が盛大な溜息を吐く。
「…悪いけど、それははずれだね。俺、今思い出して、慌てて探しに来ただけだから。」
「…へ?」
「……なん…」
「「なんじゃとーーー!?」」
17、まだなにか、忘れているのはどの記憶――
「おーい、お二人さんとも、いじけてないでよー鬱陶しいから。」
暁成が今朝の騒動を経て、剣を塗籠(ぬりごめ)の唐櫃へしまい込み、そのまま何事もなかったように出仕して行ったものだから二匹の妖怪たちは始めは唖然と、そして徐々に暁成へ怒りを募らせていったのだ。
というわけで、暁成が昼時に戻ってきたころにはすっかりいじけて狭い塗籠の中でぶすっとしていた。
「お前が悪いんじゃ。」
「そうだそうだ。今日は外で寝ておけ。」
暁成がまたまた溜息を吐く。ここ最近は呆れることが多い気がしてならない。胃がもてば良いが。
「やだよ。なんで俺が外で寝るんだよ。お前たちはもともと寝床あったんだろ。そっちへ行け。」
「狂花様のことも魂振のことも忘れていて、やっと思い出したのに、お前はそれでいいのか!」
「……お前、何をどこまで思い出したんだ?」
小梢丸が突然に神妙になって訊いた。
「それ言って、お前たちはわかるのか?」
逆に暁成が訊き返す。
「わしらが来たときは狂花様も居らず、お前は剣のつの字も口にしなかった。」
「じゃから、わしらはお前がそれ以前のことを思い出したなら、聞きたいと思ったのだ。」
二匹があまりに真剣な面持ちで言うので、暁成も真剣に考え込む。だが。
――他言は無用――
狂花と思われる妖怪の言葉が頭で静かに響いた。
「…ごめん。剣で妖怪を斬って、瑠樺を助けて、その後なぜか剣を桜の下に埋めたことしか…。」
「……そうか。まあ、ゆっくり思い出してゆけば良い。お前が魂振であることには変わらない。」
夏苗丸が語気を和らげ、諭すように言った。
「……ああ。ありがとう。」
暁成は自分がなぜ礼を言う展開になっているのか若干の疑問を覚えつつも小さく告げた。
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毎度のことながら、微妙な終り方。。。続きは現在書き途中です。
例のごとくのグダグダぶりに、プラスで現代に限りなく近い平安。いったいどうすれば平安オーラが出るんだ!?
誰かに教えてほしい(T_T)
それでも!こんなでも読んでくださった方、ほんっっっとうに、ありがとうございました。
あと、関係ないですが、あかあかの新グッズ、出るんですね!!!
ファイルとかタオルとか!
絶対ファイルは買います!買います買います買います買いま…((殴
ということで、テンション高いと思いきや、やってきた高校の時間割作成で精神ダウン気味です……できることがない私に何を選択しろというんだ!(←ダメすぎる…orz…)
こんな終わりですいません。。。