NTTドコモと大日本印刷は4日、電子書籍事業で提携し、11月をめどに配信事業を始めると正式発表した。両社は共同事業会社を設立。書籍、雑誌、コミックなどを電子書籍端末や高機能携帯電話(スマートフォン)向けに配信する。まずドコモの専用端末など8機種に配信し、将来は他の通信会社の端末向けにも広げる。海外市場も開拓する方針だ
<8/5日本経済新聞>

両社はまず共同でコンテンツの配信・課金を一括で担う「電子書店」をつくる。大日本印刷が調達した約10万点を手始めに配信し、今後賛同する出版社や端末メーカーを募る。既に講談社、小学館、NEC、韓国サムスン電子などが賛同している

同日開いた記者会見でドコモの辻村清行副社長は「新しい読書文化をつくりたい」と話し、書店で紙と電子書籍の両方を販売促進する手法や、日本のマンガやアニメなどを海外向けに配信する計画も明らかにした

同社の試算では、国内電子書籍市場は5年後に5000億~6000億円の市場になるとみている。大日本印刷の高波光一副社長は「業界トップ同士の連携でサービスの利便性を格段に高めることができる」と強調した

電子書籍事業をめぐってはKDDI、ソニー、凸版印刷、朝日新聞社が共同出資会社を設立。ソフトバンクも米アップルの多機能端末「iPad(アイパッド)」を使って電子書籍の配信を進めるなど通信3社が独自路線を歩んでおり、端末や課金方式などをめぐって今後競争が激化する見通しだ
インターネット検索で国内最大手のヤフーは27日、同分野で世界最大手の米グーグルと提携すると発表した。年内にも検索サービスの基本技術となる「検索エンジン」を、従来の米ヤフー製からグーグル製に切り替える。米ヤフーは、米マイクロソフト(MS)と検索分野で提携している。グーグルは「MS・ヤフー連合」から日本のヤフーを奪う格好になり、日本のネット市場での存在感を一気に高める

ヤフーは、グーグルの検索エンジンを核に独自サービスを開発して日本のネット利用者に提供する。検索サービスと連動してネット広告を掲載するシステムでもグーグル製を採用する。ヤフーはグーグルに検索エンジンなどの利用料を支払う

国内のネット検索シェアはヤフーが53%、グーグルが37%。世界の主要国で圧倒的な検索シェアを握るグーグルにとって、日本と中国は首位に立てない数少ない市場だ。今回の提携によりグーグルの日本での検索シェアは実質9割を占めることになる

米ヤフーとソフトバンクの合弁会社として1996年に設立された日本のヤフーはこれまで、「本家」の米ヤフーが展開する最先端ネットサービスを日本にいち早く持ち込み、市場を席巻する手法で国内ネット最大手の地位を守ってきた

ただ、米ヤフーはグーグルの猛攻を受けて米検索市場で苦戦し、業績も低迷。日本のヤフーの時価総額は約2兆400億円で、米ヤフーの時価総額(約1兆7000億円)を上回る。同日発表した4~6月期決算でも日本のヤフーの純利益は216億円で、米ヤフー(約186億円)を上回るなど「親子逆転」も目立ち始めていた。

米ヤフーは09年7月、多額の投資が必要な検索エンジンの自社開発を事実上断念し、MS製に切り替えることで合意。このため日本のヤフーも、検索エンジンをどうするか検討を進めてきた。ヤフーの井上雅博社長は27日の記者会見で、MS製のエンジンについて「日本語対応の遅れがあった」と指摘。グーグル製の方が検索精度や速度に優れると判断したもようだ

米ヤフーは日本のヤフーに34.8%を出資している。検索技術が切り替わることで業務上の関係は薄まるが「米ヤフーとのそのほかの関係は変わらない」(井上社長)と強調した

一方、米ヤフーとの提携で世界検索シェアの巻き返しを図るMSにとっては誤算になる。同社幹部は27日、グーグルと日本のヤフーの提携について「痛手だが先行きは心配していない。当社の検索サービス『ビング』は順調に利用者が増えており、これまでの戦略を粛々と進める」と語った

検索サービスにおける市場独占の懸念についてヤフーの井上社長は「ネット上の見え方は(グーグルと)まったく違うものになる」と主張する。広告分野でもヤフーとグーグルは広告主や広告のデータを完全に分離して保持。営業面では引き続き競争関係を維持するという。「事前に公正取引委員会に相談しており、問題はないとの確認を得ている」と話した

公正取引委員会は両社の業務提携について、当面は静観する構え。今回は資本提携に踏み込んでおらず、企業結合審査とはとりあえず関係ないと判断しているためだ。ただ、国内の検索シェアが9割を超えることで市場支配力が高まり、ネット広告の料金をつり上げることなどがないかを注視する方針
NTTドコモは今年度末までに新たにスマートフォン(高機能携帯電話)7機種を投入する。看板モデルである英ソニー・エリクソンの「エクスペリア」の後継機を来春に発売するほか、電子書籍型端末の発売も検討している。また、個人が開発するスマートフォン向けのソフトを、既存の携帯電話に転用できるサービスを11月にも始める
<7/7日本経済新聞>

今秋から年末にかけて最新の有機EL(エレクトロ・ルミネッセンス)画面を搭載した韓国サムスン電子の「ギャラクシー」のほか、米アップルの多機能携帯端末「iPad(アイパッド)」のような電子書籍型端末などを投入する

2011年春にはスマートフォンの看板製品であるソニー・エリクソンの「エクスペリア」の後継機も発売する予定だ

また、企業などに限られていた「iモード」を使ったソフトへの参入規制を緩和する。個人の開発者が製作したスマートフォン用ソフトを、「iモード」を搭載した従来型の携帯電話向けにも配信できるようにする
全日本中学校長会が昨年、全国の中学校を抽出方式で調べたところ、生徒が携帯電話を使って起こしたトラブルの61.4%が「学校裏サイト」への書き込みだった。次いで「ネットいじめ」が40.9%、メールを不特定多数の相手に転送する「チェーンメール」が39.4%だった
<7/5日本経済新聞>

トラブルへの対応は「学校の指導」(81%)が多いが、警察などに相談したケースも12.4%。未解決のままになっているケースも4.1%あった。校長会は「学校だけでは解決が難しい問題も多い」と話している
家電量販店の携帯電話の販売台数に占めるスマートフォン(高機能携帯電話)の割合が週単位で2割を超えた。調査会社のBCN(東京・千代田)によると、6月21~27日に構成比は22.4%だった。パソコン並みの機能に加えて、ソフトバンクモバイルの「iPhone(アイフォーン)4」など新製品が相次いで登場、市場が拡大していることを改めて裏付けた
<7/1日本経済新聞>

BCNによると、アイフォーン4の6月24日発売を目前にした同月14~20日の構成比は、買い控えから8.9%にどどまっていた。月ベースで見ると6月は1日~28日の構成比が14.7%で、4、5月も10%台の後半で推移。1年前の4~6月と比べると、ほぼ2倍の水準となっている

今年の6月下旬にはKDDI(au)が同社初のスマートフォンを投入し、主要通信事業者(キャリア)の製品が出そろった