今回は陶磁器ではなく

 

福島の代表的な漆器についてご紹介します。

 

まずは「漆」についてご紹介します。

 

 

 

そもそも漆とは

 

ウルシ科のウルシの木から採取した樹液のことで、

 

ウルシの木は主に東南アジア、中国、朝鮮、日本に

 

分布している落葉喬木ですが

 

その成分や品質は生育している場所によって様々です。

 

 

 

 

 

 

毎年、6月から10月位にかけて

 

漆の木の樹皮にキズをつけると

 

乳白色の「漆」となる樹液が染み出てきて

 

専門の職人が

 

一本一本、漆の木にキズをつけて漆を掻いていますが

 

一本の漆の木から1シーズンで採れる

 

漆の量は150g位にしかならず

 

昔から大変貴重なものだといわれています。

 

 

 

漆の木から採った漆を生漆(きうるし)と呼び、

 

ゴミを濾過してそのまま使ったり、生漆を塗料化して使ったり

 

接着剤としても利用されてます。

 

 

 

漆器の歴史は

 

9000年ほど前の縄文時代前期、北海道垣ノ島遺跡で(函館市)

 

島遺跡から出土された朱漆を使った装飾品が出土されたことで、

 

日本が漆の発祥であるという説が有力です。

 

 

 

16世紀後半にはヨーロッパ人が

 

日本の漆器を大量に自国へ持ち帰ったことから

 

漆器のことを「japan」と呼ばれていました。

 

 

 

漆の魅力は

 

使うごとに変化する質感で

 

使い込むごとに表面に美しいツヤが生じ

 

色もだんだんと変わっていくことから

 

漆器は使い手が育てていく物ともいえますね。

 

 

 

他にも日本の古典的な美しさも魅力で

 

金粉などを用いて漆器に模様をつける

 

「蒔絵」という技法では、

 

季節を感じさせる花々や

 

お椀の蓋裏などにさりげなく装飾が施されることもあり

 

こうした四季の変化と季節感を表す表現方法は、

 

日本の古典的な美意識に通じていますね。

 

 

 


 

 

 

ではここから福島の漆器をご紹介します。

 

 

 

会津塗

 

本格的に漆工芸が始まったのは

 

1590年に豊臣秀吉の命令により

 

会津の領主となった蒲生氏郷公が、

 

産業として漆工芸を奨励したことから始まりました。

 

 

 

氏郷公は、前の領地であった滋賀県から

 

木地師

(“ろくろ”を使って碗や盆などの木工品を加工する人)

 

塗師

(江戸時代以前の塗芸家の呼称で特に漆を塗る人)

 

呼び寄せて、先端技術を伝承させました。

 

 


これによって会津塗の技術は、

 

飛躍的な進歩を遂げて

 

漆の栽培から加飾までを一貫して手がける

 

一大産地となりました。

 

 


400年以上、守られてきた伝統と技術のほかに

 

常に最新技術を積極的に取り入れてきた会津漆器は、

 

現在まで成長を続けています。

 

 

 

会津塗の特徴は

 

朴(ほお)、栃(とちのき)、欅(けやき)等を

 

木地として日用品漆器を生産して

 

多彩な加飾法があって

 

渋味のある「鉄錆塗」

 

もみ殻をまいて模様を出す「金虫喰塗」

 

木目の美しい「木地呂塗」

 

美しい塗肌の「花塗」などが特徴です。

 

 

 

鉄錆塗

 

 

 

金虫喰塗

 

 

 

 

福島では

 

「漆の香りのする街づくり」をめざして、

 

公共的な建物以外にも

 

ホテルや料亭などの民間の施設に

 

積極的に漆製品を使おうという動きが広まっています。

 

 


後継者不足ではありますが、

 

伝統工芸技術に根ざした会津塗を、

 

さらに発展させようとする若手工芸家の活動が目立っています。

 

 

 

日本発祥といわれているものが

 

ますます発展していくのが楽しみですね。

 

 

 

以上、福島の漆器紹介でした。