稼ぐためなら騙してOK?
昨今のニュースを見ていると、詐欺や犯罪行為に手を染めるひとが多いと感じます。
オレオレ詐欺などの特殊詐欺は、巧妙化し、被害額も大きくなってきています。
確かに日本は「失われた30年」と言われるように、経済がずっと停滞しています。
だからと言って、詐欺など犯罪行為で生計を立てようというのは違うのではないでしょうか。
最近は、「闇バイト」という言葉まで出来、一般の人が犯罪行為をバイト感覚で行うという現象が起きています。
オレオレ詐欺などは、本当に犯罪なわけですが、犯罪とまでは言えないが悪質なサービスはたくさんあります。
生命保険なんかは、その最たるもので、不安を煽って不要なものまで売りつける場合があります。
保険に関しては、素人はわからないですから、入る必要のないものまで入らされたという話は良く聞きます。
万が一に備えるという点では非常に良いのですが、その方に必要なものではなく、保険を売る人が儲かる物を売る。
必要のないものを売りつける訳ですから、押し売りと何らかわりありません。
将来は悪意のある人が介入できないように、「AI」が確率的にその方に合ったものを教えてくれる。
なんて世の中になるかもしれませんね。
資本主義の本質とは
「会社なんだから利益を出さないといけないんだから、多少は仕方ない」
なんて言う人がいますが、それは間違っています。
人が困っている事に対して助け合ったり、支え合ったりするのが資本主義です。
人間はパーフェクトな人なんていませんから、その方なりの得意で人助けをする。
人助けをした分の対価を貰う。
これが資本主義です。
騙すのは、楽して稼ぎたいからか、単に欲深い以外にありません。
騙すと稼げる?
私の業界の事でお話すると、騙すことでより大きく稼ぐことができます。
私は介護施設紹介という仕事で、その方に合った介護施設や高齢者住宅を紹介するという仕事をしています。
丁寧に入居者、相談者の話を聞き、心身の状態に合った施設を探していきます。
より満足度の高い施設や住宅を提案するのですが、実はそれをしない方が稼げるのです。
評判の良い施設やサービスが充実してしかもお手頃な価格であったなら、入居者には困りません。
ですから、私たちにお金を払って宣伝活動をしてもらう必要性が薄いということです。
ですが、介護度の重い方や医療処置を要する方の受け入れは、入院やご逝去によって空室が出やすい特徴があります。
退去率が高い場合は、自社での集客だけでは追い付かなくなる場合もあります。
入居者に合わせて手厚い介護をするために、多くの職員を雇っていますから、空室が少し出ただけで、
死活問題となります。
そこで私たちが入居のお手伝いをすることで、効率的に施設運営ができるという仕組みです。
ですが、集客に困っているのは回転率の高い施設ばかりではありません。
新しく建ったばかりの施設や、サービスは良いのだけど、立地が悪い、施設が必要以上に密集し、
ライバルが多い地域というのも存在します。
そういった場合には、より多くの方に知ってもらい効率的な入居に繋げる必要があるのです。
実は、それ以外にも困っている施設は存在します。
それは、虐待や不適切ケア、不正行為などで評判の悪い施設です。
近くの地域に住んでいる方は、評判の悪い施設を知っています。
虐待や不正などのニュース報道は意外と多くされていますが、自分が住んでいない地域の事は、
印象に残りにくいです。
ですが、家のすぐ近くなどはニュースで一度見たら忘れません。
また、近くの施設であれば、自分や知人などがそこで勤めていて、内部事情などの噂を聞くこともあるでしょう。
ですから、評判の悪い施設は、近くに住んでいる方の集客は難しいです。
そこで、紹介会社を通じて過去の事を知らない人、違うエリアの人に「ここは良い施設ですよ」と勧めるわけです。
評判の悪い施設は、集客のためにいくらでもお金を払いますから、紹介会社はウハウハです。
そして空室が多いので、沢山の人を受け入れることができますので、効率的に稼ぐことが出来てしまうのです。
今までは、評判の悪い施設は、集客が思うようにいかず、自然に淘汰されていったわけですが、
お金さえ払えば集客できるとなれば、淘汰されることもなくなり、問題のある行為を改める必要もなくなる訳です。
実は、私が過去に勤めていた介護施設がそういう酷い施設でした。
入居者の事より、自分たちの利益が大事な紹介会社は儲かり、悪い介護施設に入居してしまった人は、
悪い状態が改善されることもないという状況に陥ります。
紹介会社は、こういった不正や虐待のある施設を排除する必要がある訳ですが、評判の悪い施設を紹介するほど儲かる
ので、お金に目がくらんでゴリ押しするのです。
それに加えて、どの程度酷い有り様なのか、介護経験のない人には到底わからないと思います。
私が悪い介護施設を紹介しない訳
私が悪い施設を勧めないには訳があります。
それは、誰よりも酷い状況を知っているからです。
虐待や不正行為が起こるというのは、単に勤めている職員が悪い訳ではないんです。
非常に人手不足なので、中には、介護職に就くべきではない適正のない方も入職してきます。
ですが、多く介護職、医療職で働く人は、人のお世話がするのが好きであったり、仕事にやりがいを持って働いています。
より高いケアができるようにプライドを持って働いています。
認知症の方のケアは本当にストレスがかかりますし、介護という仕事は力仕事でもあります。
長く介護に携わる方は、腰痛持ちの方が多く、自身の命を削って仕事をしています。
介護に関する問題は多くあり、なかなか改善できない部分もあり、日々奮闘しています。
そんな中、教育体制が整っていない、効率重視で整えることさえもしない施設があります。
そんなところに未経験の介護の「か」の字も知らないような方が飛び込んできて問題を起こすのです。
虐待や不正行為は、仕組みで防ぐことができます。
しかし、良い仕組みづくりをしたり、教育体制を見直すなどもせず、効率重視、利益中心で、
職員の待遇を改善しない状況が続くととんでもないことが起きてしまうのです。
良い職員のモチベーションさえも下げ、負担が大きくなり、ミスも頻発してしまいます。
私はそれこそが問題だと思います。
そんな現状を見てきたからこそ、悪い施設は入居者だけではなく、介護・看護職員のためにも上手くいかせてはいけないと
思います。
評判の悪い状況が持続することで、収益が悪化し、淘汰されるか、もしくは問題に気づき改善に動くか。
紹介会社が集客を助けてしまい、評判の悪いままでも運営できてしまえば、改善はしなくなります。
逆に、悪い施設が集客に困らない状況となれば、良い施設が集客できず、割を食う形で環境が悪化しかねないと思います。
私は、老人ホーム紹介会社という立場で、介護環境が、入居者にとっても、働く職員にとっても良い環境になって欲しいと
切に願い、悪い介護施設は応援しないと決めています。
いずれ自身も介護施設のお世話になる日がやってきたとき、酷い施設に入る事になるやもしれません。
そうならないためにも、良い施設を応援したいと思いませんか?