千草「きみって小学校の時と今とで全然違うよねー。あたしもだけどさ。小学校の頃はもっとボーイッシュだったよね」
あすか「小学校の頃の服装は、お母さんの買ってきたものをそのまま着ていただけだからね」
千草「イトーヨーカドーのセールって言ってたよねー」
千草「あたしはもっとおとなしいデザインのだったんだよね」
あすか「うん。でも昔も今も個性的なオシャレだよね」
あすか「私ね、ロゴと画の入ったトレーナーって嫌だったんだよ。自分以外の人が着るのは構わないんだけど。お母さんそういうのばかり着せたがるんだ。でも、私が泣いてる時に服に『HAPPY』とかいう文字があったり画の人形が笑ってたら変だと思うんだよ」
千草「えー、変なところにこだわるね」
あすか「そういうの気になるんだよ、なぜかね」
千草(左)「あたしは気にならないな。昔は新しいの着られればよかったんだよ。お古ばかりだったから」
あすか(右)「うん。贅沢だと言えなくもないんだけどね。ファッションは小6の終わりに我慢できなくなって替えちゃった」
千草「あすかっちその頃からその服着てるよね。体型変わらないからすごいなって思う。新しい服あまり買わないね」
あすか「服は自分のお金で買うんだよ。だからしょっちゅう新調できない」
千草「お母さんが買ってきたのは家でも着ないんだねー」
あすか「うん。子供っぽい服は着たくない」
千草「あたしも高校入ってから、服買ってもらわなくなった」
あすか「髪を伸ばして好きなファッションで歩きたかったんだよね。お母さんはシャンプーが勿体ないしチャラく見えるといけないから短髪にしろって顔合わせるたびに言うから、最近は会わないように行動してるよ」
千草「もしかして今でも服とか靴とか勝手に捨てられてんの?」
あすか(右)「最近はお母さんの嫌いな色の服は買ってこないからそういうことはないけど、紫だったり原色だったりしたら今も普通に捨てられるんじゃないかな、あっちにはあっちのこだわりがあるし」
千草(左)「もったいない。過干渉だね」
あすか「確かにお母さんって物を買わない人のせいか、私が物を増やすことには強硬に反対するんだよね、何か買ったら一つ捨てること、って決まってるの、捨て活大好きみたい。本を買うのも反対される。図書館で取り寄せてもらって読みなさいって」
千草「うち本読めとは言われても、自分のお金を使うのもダメって事はないな。でも、あすかっちは本はたくさん持ってるよね」
あすか「だいぶ処分したよ。次は何を捨てられるか分からないから、これ以上は買えないよ。友達は新しい本棚を買ってもらってるのに」
千草「3000冊以上持ってる人知ってるけど、これから電子書籍も合わせてもっと増やすって言ってるよ」
あすか「知識のコレクションだね。私もそれ以上読みたいけど、本に遣うお金があったらママチャリとかもっと地味な服を買えとかあれこれうるさいんでね。会わなければいいだけのことだから、今は避けることに労力が要るよ。その方法を考えることなく好き放題読めるその人がうらやましい」
あすか「高校・大学は家から通えるところにって言うんだけど」
千草「いいと思うけどね、奨学金やバイト生活よりは。きみは朝が苦手でしょ、独り暮らしなんてしたら昼夜逆転するってー。あすかっち放っとかれないだけ恵まれてるよ」
千草「うるさいうちが花だってー。すぐ寂しくなるよ。それにあすかっちのお母さんなら、家から遠くてもいい学校に受かれば通わせてくれそうな気がするな」
あすか「きみは独り暮らしの予定ある?」
千草「大学からはそのつもり」
千草「あたしは忙しくなると思うよ。バイトは当分続けるし、増やすことになる」
あすか「私も一応、バイトしてるんだけど」
千草「ベビーシッターの稼ぎなんてたかがしれてる。ワタミで働いてごらんよ、根を上げるから。小説のネタになるかもしれないから、ああいうところも行ってみたらいいよ、価値観変わってファッションとか本とかどうでもよくなるよ」
あすか「んじゃこれ、遠慮なくいただくね。ありがとう」
千草「ラズベリージュースはねぎっちょが、リースとサンドは沢渡さんが作ったんで、あたしは何も――」
あすか「そうだろうね」
千草「あたし、なんか気に触るようなこと言ったかな?あすかっちどこ行った?」
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たくさん言いました。