あすか「カメムシタケは冬虫夏草かって?まあ仲間ではあるけど、カメムシタケは食べられないよ」
久美子「毒キノコなの?」
あすか「たとえ害がなかったにしてもたぶん美味しくないよ。冬虫夏草としては使えないと思う」
了「どういうものなんだ?」
あすか「あのね、カメムシが作物を食い荒らす害虫だってことはみんな知ってるよね?このカメムシタケはカメムシが一定数以上増えないように幼虫に取り憑いて殺して、それを餌に育つの。姿形はオレンジのマッチ棒のようなかんじ。こういった冬虫夏草の仲間はだいたい似たような役割をするんだけど、一般的に薬として売られてる冬虫夏草はセミにつくセミタケぐらいだよ。まれに蛾から採った冬虫夏草売ってるとこあるけど」
久美子「冬虫夏草ってそんなに種類あるの?」
あすか「一般的に冬虫夏草の仲間は世界中に300~500種類あるよ。蜘蛛につくのさえいるよ」
久美子「蜘蛛嫌い!やだぁ、そんな冬虫夏草」
あすか「日本で蜘蛛についた冬虫夏草なんて売られてると思えないけど……そもそもそれを冬虫夏草と呼べるかどうかまでは分かんない」
あすかっちの声「蝉にしかつかないのをセミタケって呼ぶんだけど、これが一番スタンダードに冬虫夏草として売られてる奴。中国では金蝉花(きんぜんか)って呼ばれてる。多分漢方とか詳しい人はみんな知ってると思うけど」
了「あのねあすかっち、ここにいる3人は知らないから聞いてるんだよ」
あすかっちの声「分かった」
あすか「今のところ疳の虫や熱冷ましやじんましんの薬に使われてるけど、実は免疫抑制剤としての効果も期待されてるんだよ」
ツヨシ「免疫抑制剤って、何か移植したときの拒否反応を抑えるような薬?」
あすか「ピンポーン。そうだよ」
ツヨシ「ホッ。冬虫夏草ってすごいんだなあ(遠い目)」
あすか「でもお値段のほうはどうだろうね。日本はセミが多いから比較的採りやすいとは思うけど、採算あうかな」
あすか「じゃ、ちょっとトイレ休憩」
久美子「ごゆっくり」
ツヨシ(中央)「久美子ちゃん、あの服どうしてあすかっちにあげちゃったの?」
久美子(左)「実は、あの服着て公園行ったとき、うっかり毒キノコ触っちゃったの。それで思わずセーターとスカートで手を拭いちゃったのよ。それで気持ち悪くって……この話あすかっちには内緒よ」
ツヨシ「うわっ、えんがちょ!でも何が言いたいかは何となく分かる」
了(右)「今の話じゃさっぱりオレには分からない。非科学的でない言葉で丁寧に説明してくれないか?」
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了くんも久美子ちゃんにとっては結構手強い人です。
冬虫夏草って単純に滋養強壮とかそっち系だと思ってましたが、調べていくと、なんか思ってたのと違いましたね。
まだまだ可能性がありそうです。
うちの季節の植物の本とか漁ってもなかなか出てこないので資料不足です。分からないこと多過ぎ。調べるのにずいぶんかかって、劇場にかけた時間と画像はちょっぴりでした。情けなや。ボツ写真でいっぱい。
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