わたしは夫と別居して以来

8ヶ月以上も男にお金を貢がれている

 

 

 


 

 

 

 

彼はわたしのことが大好きで

出会った時から変わらずにずっと

わたしを大事にしてくれている

お金のみならず愛情と安心を

常に与えようとしてくれている

 

 

 

にも関わらず

拗ねてこじれていたわたし

そんな彼を疎ましく感じ

わざと意地悪をしてきた

雑な態度もとってきた

 


 

 

 

今思えばそれは

男に対する復讐だったのかもしれない

 

 

長年わたしを粗末に扱ってきた夫

大酒飲みで口煩くて厳格で

家族に不機嫌を撒き散らしていた父親

わたしを平手打ちし罵倒した教師

今までわたしの手を離してきた男たち

そんな男達への復讐だったのかもしれない

 

 

あの時はよくもという憎悪や

見放された悔しさや

肉体に受けた痛みや恐怖や

恋を失った辛さを

わたしは今までどれだけ

溜め込んできていたのかと思う

 

 

言いたかった言葉たちを

どれだけ呑み込んできたのかと思う

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それが心に重く沈んだ汚泥となった

 

 

 

 

どれだけ表面的には

澄み切っているように見えたとしても

底にはずっとあったその泥だ

 

 

かき混ぜてもかき混ぜても

表面には浮かび上がらないほどに

重く沈んだ汚泥だった

 

 

もはや自分では認識できないほど

深く沈んだ汚泥だった

 

 

いや違う

見ようと思えばできたかもしれないのに

見るのが怖いから放置しただけだ

 

 

その泥の正体こそが

男への恨みつらみ

 

 

 

 

 

よくもあの時わたしを捨てたな

よくもわたしを酷い目に遭わせたな

よくもわたしを罵倒したな

よくもわたしを虐げたな

 

 

 

 

 

許せない

 

 

 

 

 

 

 

それでいい

 

 

許さなくていいし

許せない自分を責める必要もない

 

 

もうわたしは

そんな男たちに関わる必要も

その機会もなくなったのだ

 

 

 

 

………………………………

 

 

 

 

大丈夫よ

一生そいつらを呪ってやればいい

気が済むまでとことん恨めばいい

 

 

それでもわたしは

あなたとずっと一緒だし

あなたから離れることはないのだから

思う存分恨めばいいのよ

 

 

わたしはあなたとずっと一緒にいる

あいつらみたいなことはしない

何があってもそばにいる

あなたを傷つけるようなことはしない

 

 

だからもう大丈夫

 

 

これからは安心して

好きなように

好きなことだけやって

自由に生きていいんだよ

 

 

 

 

 

 

これからの人生は全部

あなたのために使ってね

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  この記事の作者
吉原 紅(よしわら べに)

 

1975年生まれ 夫とは別居婚中

2019年の5月末、夫と暮らしていた自宅を出ました

海外ひとり旅、世界にあるすべての美しいもの・麗しきものが好きです

グラフィックデザイナーを経て、今は文筆家と生涯旅人を目指しています

 

自己紹介記事はこちらから