J1リーグ第23節、サンフレッチェ広島VSガンバ大阪~ガンバの歩みは今後のアギーレ日本【J特】 | ヒロ・ゴラッソ

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サンフレッチェ広島0-1ガンバ大阪

得点者【ガンバ大阪】宇佐美(32分)

狙い通りの戦術戦でしぶとく勝利!!ガンバの立て直し方はアギーレ新監督が再建に入った日本代表の未来像か?


ガンバ大阪、J1リーグ第23節・VSサンフレッチェ広島

39宇佐美貴史 20佐藤晃大
  7遠藤保仁(CAP)  
15今野泰幸 13阿部浩之
  17明神智和  
4藤春廣輝 22オ・ジェソク
8岩下敬輔 5丹羽大輝
  1東口順昭  
【選手交代】
62分、FW20佐藤晃大☛MF11倉田秋

73分、MF17明神智和☛MF27内田達也

86分、FW39宇佐美貴史☛FW29パトリック

【ベンチ入り】GK16河田晃兵、DF6金正也、14米倉恒貴、FW9リンス


唯一の3冠の可能性を残して連戦最後を迎えたガンバ

 ~佐藤、明神、丹羽がリーグ戦4カ月ぶり先発復帰

 ガンバはブラジルW杯による中断をリーグ16位と言う降格圏で迎えたものの、中断明け後の5連勝で一気に盛り返し。その連勝ストップ後はやや停滞したものの、新潟を5-0で粉砕して復調し、カップ戦含めた5連戦の過密日程へ突入。

 そのカップ戦ではナビスコカップの準々決勝で阪神ダービーとなる神戸との対戦を2試合合計4-1で勝利して準決勝進出。続いて迎えた天皇杯の4回戦ではJリーグを2連覇している広島と対戦。各代表戦招集により主力欠場やリーグ戦を見据えた温存もあって、両チーム大幅にメンバーを入れ替えた試合となったものの、ガンバは中盤をダイヤモンドで組む新たなオプションによる広島対策を成功させて1-3と勝利し、ベスト8進出。実にリーグで唯一のJ1リーグ、ナビスコ、天皇杯の3冠の可能性を残しています。

 迎えたこの日のリーグ戦でも3日前と同じアウェイでの広島戦。天皇杯から大阪へ帰らずに広島で調整して迎えたこの試合では、天皇杯で温存されたFW宇佐美、DF岩下、ジェソクが満を持して先発に復帰すると共に、その天皇杯で2ゴールと結果を出したFW佐藤、中盤を締めたMF明神、アジア大会へ旅立った西野に替わって先発したDF丹羽の3人を先発に抜擢。3人ともリーグ戦では4カ月半ぶりの先発出場となり、全体としては天皇杯から3人の変更と引き続いての中盤ダイヤモンドの4-4-2でのスタートとなりました☆

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【マッチレポート】先制するまでが勝負だった積極的な前半

 ~天皇杯からガンバは3人、広島は8人の先発変更を経て


 広島は日本代表に選出されていたDF水本裕貴、FW皆川佑介が先発復帰。また、天皇杯での対戦では温存されていたMF青山敏弘、高萩洋次郎、森崎和幸等も先発復帰して実に8人の大幅な先発メンバーの変更があり、同3人の変更があったガンバとの対戦となり、3日前の試合とは異なる試合展開となりました。


 前半、キックオフからボールを支配したのはガンバ。近年の対戦で大差で敗れる事が多かった要因である中盤でのインテンシティ(強度)や広島の特異な可変型システムに対して、相手に合わせて3バックを組むような数合わせをするミラーゲームはせず、トップ下のような位置に司令塔・遠藤を置いて自由に動かく事で局面の数的優位を多数作って対応。また、長谷川健太監督が就任し、当ブログでもそのスタイルを”トランジションサッカー”と捉える中で、その象徴となっている攻守の切り替えの速さが選手間の距離を良くし、ひいては局面の数的優位を作っていました。

 ただし、今まではやはりボール奪取をスイッチに攻撃を仕掛けるトランジションサッカーであるがゆえ、ボールを奪えば直ぐに縦へ展開し、圧倒的な個人技で打開できる宇佐美への依存度も強いのも事実。右サイドの裏にパトリックを走らせる”パットリ作戦”もその顕著な例と言えました。


 この日は3分、宇佐美が左サイドでパスを受けてから自ら仕掛けたシュート。12分にも宇佐美の左サイドでのタメを作ってのマイナスのショートクロスを阿部が左足ダイレクトで狙ったシュートがポストを叩いたシーンはその代表例。15分にも宇佐美が速攻からシュートを放つなど、”トランジションサッカー”の切れ味は抜群でした。


 加えて、この日は遠藤がフリーマンとして自由に動いて相手の分厚い中盤に対してもボールを支配し、”パスサッカーとトランジションサッカー”、”ポゼッション”と”カウンター”というよく2極化しそうになる要素を並行して表現する事で魅力的な攻撃を仕掛けていました。また、これを実現させる上で、1パターンな動きも目立ったパトリックではなく、リーグ戦4カ月半ぶりの先発となったFW佐藤がポゼッションにも絡みつつ、カウンターの抜け出しもしながらボールを引き出していた事も印象的でした。

 そして32分、ガンバは”ポゼッションの遠藤”と”カウンターの宇佐美”が融合。バイタルエリア中央やや右から遠藤と宇佐美がワンタッチで細かいパス交換からFWの佐藤の足元へのクサビ。身体を張ってキープした佐藤が相手ともつれながらもポストし、そのボールを宇佐美が右足を一閃。地を這うシュートはGK林の脇を抜けて豪快に決まってガンバが先制します。0-1。

 その後も積極的な攻撃を仕掛けるガンバは、宇佐美が鋭いシュートを連発して試合の主導権を握りながら試合を運びます。

 一方の広島はサイド攻撃から日本代表へサプライズ招集されたFW皆川がポテンシャルの高さを見せて惜しいシュートを放って迫力を見せたり、サイドを起点にして中を空けた状態を作ると、DFの塩谷司が上がって”塩キャノン”を放つなどしたものの、攻撃は単発。前半はそのまま0-1と1点のリードで折り返しました。


57分以降の広島のシュートはゼロ

 ~シュートも打たせない堅守でプラン通りの完封勝利


 後半開始からリードされたホームの広島は前から圧力をかけて積極的に仕掛けてきました。

前半同様に山岸智や塩谷がミドルレンジからどんどんシュートを狙ってくるものの、それでも4カ月半ぶりの先発だった丹羽を中心にぺナルティエリア内は崩されずに対応。

 また、前半はガンバが主導権を握る試合展開の中、唯一ボールが渡ればガンバDFをドリブルで外したり、スルーパスであわやの場面を作っていた皆川と同じ”もう1人の大卒ルーキー”広島MF茶島雄介を執拗に警戒した模様。ガンバのダイヤモンド型MF4人は阿部と今野が中へ絞ってトリプルボランチ然として茶島が起点とするバイタルエリアのスペースを封鎖。また、ガンバはこの日の明神が神懸ったプレーの連続でセカンドボールや球際の競り合いをことごとく制していたのも印象的でした。


 しかし、その”守護聖人”大明神サマや前半に利いていた佐藤が出場機会の少なさから来る連戦の疲れが見え、次第にボールを全く支配できない展開に。すかさず長谷川監督も交代策をとって修正。倉田を左サイドMFに投入し、遠藤をFW役に。ボランチには負傷明けの内田を8試合ぶりに投入。明神1人でこなしていた役割を内田と今野の2人で担当する事でケアしました。


 次第に試合が落ち着き始めると、68分に宇佐美が前線にたった1人だけしかいない中でカウンターから個人技で打開してのシュートや、77分にはボール奪取から左サイドの藤春に展開しての速攻。マイナスのショートクロスから倉田が左足で狙ったシュートが共に僅かに外れる決定機も創出。


 結局、後半のガンバはこのシュート2本のみで終わったものの、守備面では丹羽・岩下・今野・内田達と4人の本職CBが揃うような分厚いブロックで57分以降はシュートすら許さない集中力を研ぎ澄ませ、過密日程の5連戦を全勝で締めました(ナビスコは2試合合計で勝利と換算)。

 最後は脚が止まってボールを前へ運べなかったものの、シュートすら打たせない守備意識の浸透具合は際立っており、これは決して相手に主導権を握られたのではなく、現状の最大値を出して勝利へ捥ぎ取るという策であった事を表す数字とプレー、試合展開と言えるでしょう。


ザッケローニ体制からアギーレ体制へ

  揺れる日本代表の未来像を映す鏡こそ現在のガンバ



 

 後半はシュート2本に終わったガンバ。思い返せば、中断明けリーグ初戦の甲府戦も後半はシュートなしで勝利するような試合もありました。もはや、これは現在のチームの特徴なのかもしれません。


 J2降格へ至ったガンバが、現在はシーズン終盤へ差し掛かる時期にJ1で唯一の3冠の可能性を残す成績を残せるまでに立ち直ってきたのは中断明け9試合で5失点5完封という堅守を築いている守備面の充実。逆に攻撃面では得点数こそ多いものの、単純なカウンターが多く、従来の魅惑の攻撃的サッカーを披露しているとは言えません。

 しかし、この特徴を出している要素は攻守の切り替えの速さにあるのは明白。そして、それを題して、”トランジションサッカー”と呼んでいいと言えます。


 思えばJ2へ降格しても、昨年のガンバは味気ない試合も多くあり、J1で勝てるようになってきた現在でも上記のような従来のガンバとは違って物足りなさを感じる勝ち試合も多くあります。

 それらはブラジルW杯で惨敗した日本代表と共通する点もあるのではないでしょうか?本当は1年前のコンフェデレーションズカップから分かっていたとはいえ、本大会でも失点過多で惨敗したアルベルト・ザッケローニ監督が率いたザックジャパン。そして、ハビエル・アギーレ新監督が就任したものの、ウルグアイとベネズエラ相手に試合内容的に煮え切らない試合を続けてしまったアギーレジャパン。


 今は味気ないものの、そこからの再建を託されたアギーレも、ガンバの長谷川監督と似たタイプであり、チーム状況も2年前のガンバと現在の日本代表は恐ろしいほどに似ているように思います。


 当ブログの読者は様々なアンケートを実地した結果から言うと、日本代表や海外サッカーよりもJリーグを応援する傾向が強い方々で構成されている割合が高いのですが、皆様には現在のアギーレジャパンを「つまらない、面白くない」と捉えるよりも、「ガンバのようになっていくのか?」と思いながら再建を楽しむ観戦方法もあるのではないかと思います。


 また、アギーレジャパンについて友人、知人、同僚などと話す機会があれば、「今のガンバに至る流れ」を話してみたり、「アギーレジャパンを映す鏡は近年のガンバだよ」と言ってあげて、日本代表にしか興味のないサポーターをJリーグに引き込むお話を巷でしても面白いのではないでしょうか?それぐらい説明がつきやすい理路整然とした比較対象がガンバと日本代表であると言えますよね?


 では、最後に個人採点をお楽しみ下さい☆


<選手個人採点>



先発出場・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

GK東口順昭 6.5 決定的ピンチはなかったものの、相手のサイド攻撃や後半の猛攻にも動揺せずに執拗な時間稼ぎも遂行する余裕ぶりで今季9度目のクリーンシート達成。

DFオ・ジェソク 6.5 どちらかのサイドに固定されずとも十二分に攻守で貢献する姿勢に感動。

DF丹羽大輝 6.5 鋭いクロスに懸命の足裏クリアや、読みの利いたカヴァーリングで”山口智の後継者ぶり”発揮して完封に大きく貢献。

DF岩下敬輔 6.5 雑なプレーが多かったものの、空中戦の強さはいつも以上に際立っていた。丹羽にラインコントロールを託したぶん、ストッパーとしての力量が最大限発揮された。

DF藤春廣輝 6.5 苦しい時間でもカウンターの好機を作り、クロス対応の守備でも懸命に対応し、しっかりと主力と言える立場までは復活。


MF明神智和(73分まで出場)7.0 誰にもできないミョウさんの専売特許と言える中盤でのつぶし、ボール奪取、セカンドボール回収で勝利に大きく貢献。誰もが選ぶMOMでは?

MF阿部浩之 6.0 もはやボランチまでこなしてしまうオールラウンドプレーヤー。それでありながらアべシャビンらしい鋭い弾道のシュートを放つなど存在感が際立つ。

MF今野泰幸 6.0 彼のボール奪取力を軸にトランジションサッカーは成り立っている。しかし、ボールロストも多かった。

MF遠藤保仁 6.5 前半は頭脳的なプレーで局面での数的優位を作り、後半は1人で多数のDFを引き付けてボールを収めた。


FW宇佐美貴史(86分まで出場)6.5 たった1人で打開して決定機を演出し、フィニッシュまで至る。世の中では”サプライズ招集”という言葉が流行っているようだが、宇佐美の”サプライズ不招集”なんて言葉は流行らないか?

FW佐藤晃大(62分まで出場)6.0 動き出しの良さでカウンターとポゼッションのどちらにも貢献。「技術的には不足しても、タイミングが合えば何とかなる」という部分が先制点のアシストに見えた。そして、それが”非テクニシャン”の武井がガンバの中盤にフィットした理由だった。彼もそうなのかもしれない。



途中出場・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

MF倉田秋(62分から出場)6.0 チームへ大きく貢献するハードワークと戦術遂行ぶり。ただ、それだけでいいのか?と思う部分もある。あのシュートが決まっていたら・・・とも。

MF内田達也(73分から出場)6.0 好リリーフとはこういうプレーを表すという代表。実質CB4人のような守備陣容とはいえ、読みの鋭さが活きて相手にシュートは1本も打たせなかった。

FWパトリック(86分から出場)6.0 短い時間ながらボールを収めて勝利に貢献。


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アンケート「現在のガンバはパスサッカー?カウンター?」投票募集中!!


アンケートを募集しています。

今回は現在のガンバ大阪の戦い方について。


得点数が多いですが、ボールより前に追い越す選手の少なさや流れの中からのゴールの少なさもあり、僕は現在のガンバは従来のパスサッカーやポゼッションの安定はないと思っているのですが、皆様のお考えをお聞かせ下さい。

 

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