毎日の食事、正しい食べ方が健康を守る。佐藤和子医師に取材しました。
「健康を支える栄養学」で食事から人生を変える
認定NPO法人ヘルスプロモーションセンター
理事長・医師 佐藤和子先生
2011年に特定非営利活動法人ヘルスプロモーションセンターを創立し、食生活や予防医学の大切さを広めている佐藤和子先生。「一人でも多くの方々に食事の大切さを知ってもらいたい」という熱意は、医師としての臨床経験を始め、さまざまなご縁から得たものだったそうです。
今回は、使命感を持ちパワフルに活動し続ける佐藤和子先生の事業内容や事業を始めたきっかけをご紹介します。
■医師としての経験から得た食事の重要性
-佐藤先生が予防医学に興味を持ったきっかけを教えてください。
小学校3年生のときに医師を志した当初から、医療の現場で実践されていなかった「予防の道」に進みたいと考えていました。
「20年かければ何かしら分かるようになるだろう」と患者さまの目線に立ち全身を管理できる麻酔科に勤務し、できるだけ多くの患者さまと関わりながら「なぜこのような病気になったのか?」という原因を自分なりに分析していました。
病気になった患者さまの話を聞いていると、99%食事に問題がありました。健康な人と食事の内容や食べ方が大きく異なることが分かり「食事を定量化」する必要性にたどり着きました。
■運命を変えた1株のトマト
-佐藤先生のキャリアの中で思い出深いエピソードを教えてください。
国立循環器病センターに勤務していた1982年、野澤重雄氏が開発された水気耕栽培法で、1株のトマトから11ヶ月間で13,312個ものトマトを栽培し、科学技術長官賞を受賞したという新聞記事が目に留まりました。
実際に現場に出向いて、トマトだけでなくメロンや大根など多くの果物や野菜が同じ栽培槽内で元気に育っているところを目の当たりにし、大きな衝撃を受けました。
水気耕栽培の「発芽する前も巨木化してからも必要な栄養素は一生一定である」という基本の考え方に共感し、人間と植物の構成元素が酷似していることからも栄養学に応用してみたところ、人間も細胞の周辺は一生一定であるという真理に気がつきました。この真理を知ったことで自分の考え方は間違っていなかったと実感し、本格的に食事の定量化を進めるきっかけとなりました。
■1日3食を完全食で!「イーチ・ミール・パーフェクト」という考え方
-佐藤先生が広めている栄養学とはどのようなものですか?
人体の構成成分や構成元素、体液の組成に着目し予防医学を目指した「健康を支える栄養学」を広めています。
その中で大切にしている「イーチ・ミール・パーフェクト」という考え方は90年以上前に佐伯矩氏が唱えた栄養学で、1日3食を均等に栄養素が摂れる完全食で食べることを基本としています。
これを家庭料理でも実践できるように食品を「赤群」「青群」「黄群」に分け、毎食何gずつ取り入れたらパーフェクトな献立となるのか定量化しているところも特徴です。信号と同じ3色に分けることで子供でも分かりやすく、学校などで教えるときにも一役買ってくれています。
「この食品にはどの栄養素が何gくらい含まれているのか」見当がつくようになれば毎日バランスの取れた献立が立てやすくなり、自ずと健康管理ができるようになります。
また、臨床経験を基に作った食生活分析診断「ミラー」を使い、毎日の食事内容を記入してもらったデータをもとに栄養状態を分析し、一人一人に合わせた食生活の指導もしています。
-食生活と共に着目したいことはありますか?
「健康を支える栄養学」で「心と栄養」を分けて考えるとき、着目したいのが睡眠です。脳と消化器の働きは睡眠が左右するため、睡眠不足の状態では大脳の情報処理能力に悪影響を及ぼします。
睡眠があっての食事だと考え、根性論で無理をしないよう毎日の習慣から見直していくことが大切です。
●小学生や中学生でも分かるよう食材が原寸大になっているレシピ集
●食品の成分から食材が選べる食品成分マップやカレンダー
●著書やVTRも多数。
■常に使命感を持って前進してきた
-長年パワフルに活動し続けている原動力を教えてください。
自分がやらなければならないという「使命感」だと思います。必要な時期に必要なご縁や出会いがあり夢の実現を手助けしていただいた分、社会に恩返しをしていきたいと常々感じています。
現状は、まだまだもどかしい部分が多々あります。だからこそ時代の流れを読みながら、どのようなアプローチをすれば食事に目を向けてもらえるのか考えています。
-健康維持のために取り入れている習慣を教えてください。
私自身ももちろん食生活や睡眠はとても大切にしており、睡眠時間を除いた他の時間を精一杯楽しむようにしています。
疲れたときはカフェで息抜きをしたり職人の技が光る芸術作品に触れたりして、リフレッシュするようにしています。
■一人でも多くの人を救えるように広めていきたい
-最後に、今後のビジョンを教えてください。
「栄養を支える栄養学」や432通りのベストメニューといった病気を予防する食事の基礎は完成しています。
だからこそ、妊産婦から幼少期、年少期、青年期、成人まで一人でも多くの人が未然に病気を防いで健康に暮らせるようなぜ食事が大切なのか、どのような食事が好ましいのか、しっかりと丁寧に広めていければと考えています。
身体や心に病気を抱えている場合は「どうして病気になったのか」を知り、今の生活で健康の道を歩めているのかくらいは、誰もが確認できるようにしたいです。
2019年10月にはNPO法人としての認定も取得できたので、私自身これからの活動がますます楽しみです。
■佐藤和子先生の今までの実績や活動、連絡先はこちらをご覧ください。
http://healthpromotioncenter.or.jp/