10月25日、さいたま市岩槻にて、ヨーロッパ野菜を味わい、畑を見学するイベントを開催しました。冷たい雨の一日にもかかわらずご参加くださった皆さま、本当にありがとうございました。
ヨロ研カフェ美園店でランチスタート
会場は、ヨーロッパ野菜研究会の直営店でもある「ヨロ研カフェ美園店」。最初にいただいたのは、色とりどりのヨーロッパ野菜が並ぶサラダバー。カリーノケール、スイスチャード、ラディッキオなど10種類以上の葉ものに、20種類近いドレッシング。さらに、フィレンツェナスやビーツのポテトサラダなど、家庭ではなかなか味わえない多彩なラインナップでした。その後は、ピザやパスタなどのイタリア料理を囲みながら、参加者同士の会話も弾みました。「これだけの種類の葉野菜を一度に食べ比べできるのは貴重!」そんな声があちこちから聞こえる、楽しいランチタイムとなりました。
農家・関根さんの畑へ
ランチの後は、ヨロ研カフェにも野菜を卸している関根さんの畑を訪問しました。関根さんはもともと農家のご出身。クボタで農機具販売を9年間務めたのち、実家の農業(ほうれん草・枝豆)を継がれたそうです。当初は「これでやっていけるのか」と不安もあったそうですが、転機となったのは、ノースコーポレーション社長からの「新鮮なヨーロッパ野菜をどう仕入れられるだろう?」という声かけでした。
「ヨーロッパ野菜研究会」発足の背景
2013年、卸会社・種苗会社・行政が一体となり、さいたまからヨーロッパ野菜を広めようという動きが始まります。関根さんはほうれん草に近い「スイスチャード」から挑戦。近隣の農家さんへの声掛けから仲間が集まり、それをきっかに「ヨーロッパ野菜研究会(ヨロ研)」が誕生しました。2022年には、仲間とともに「株式会社FENNEL」を設立。個人の農家としてではなく、対等な仲間として共に話し合い、共に育てるチームとして活動を広げています。
自分たちで価格を決められる強み
FENNEL設立によって大きく変わったのは、「価格を自分たちで決められる」ようになったこと。以前は市場の相場に左右されることが多かったそうですが、今では安定した収入を確保できる仕組みができています。関根さんの畑では現在、ビーツ、スイスチャード、フェンネル、カーボロネロ、サボイキャベツ、ロマネスコなど、多種多様なヨーロッパ野菜が育てられています。「今年は猛暑の影響で秋野菜の発芽率が悪く、品種の選定も難しかった」とのこと。それでも、日本の気候に合わせた品種改良(トキタ種苗の“グストイタリア”シリーズ)を取り入れながら工夫を続けています。
さいたまだからできること
ヨーロッパ野菜の生産量は全国では北海道がトップですが、さいたまは都心に近く、行政のサポートも手厚いことが強みです。出荷先はレストランだけでなく、スーパーやオンライン販売にも広がり、今では大阪にも納品。メディア取材も増え、ヨロ研の活動が全国に知られるようになってきました。
消費者へのメッセージ
最後に関根さんが語ってくれた言葉が印象的でした。
「野菜が高いと言われるけれど、資材も農薬も種も全部値上がりしている。今の価格は決して高すぎるわけではない。でも、自分の作った野菜をレストランでお客さんが美味しそうに食べている姿を見ると、本当に励みになります。」
また、地域の小学生にも畑見学を受け入れており、「農業をもっと身近に感じてほしい」と話してくださいました。
まとめ
冷たい雨の中での見学となりましたが、ヨーロッパ野菜を「食べて・知って・感じる」豊かな一日になりました。ご参加くださった皆さま、そしてお話を聞かせてくださった関根さん、ありがとうございました。今後も、こうした“生産と食卓をつなぐ体験”を続けていきたいと思います。
担当:佐藤 結

























