ボクは嫌われモノ
何故って？
身体が真っ黒で、右目が青くて、左目が金色だかららしい
どこを歩いても、人間達は忌み嫌う
ボクは、家族とはぐれたのか？
黒いから捨てられたのか？
気付けば独りだった
ご飯を探すのも大変
寝る所を確保するのも大変
公園で日向ぼっこしても、人間達に追い出されたり…ボスに噛み付かれたり
初めての雪は、どこに身を隠せばいいか？必死だった
どこもかしこも冷たい雪で、食べるモノも無くて
ボクはお腹がすいて旅に出た
ゆっくり眠れる隠れ家と、ご飯とお水に困らない所
壁を渡り、屋根に登り、人間達に追われながらも、ボクの居場所を探しに歩いた
大きな物体が、ボクに向かって来たり、たまに、美味しい匂いがして近づくと、そこのボスにひっかかれた
ビックリしたのは、ご飯の横で倒れていたり、脚がなかったり、片眼が潰れてたり…
ボクは怖くて、細い細い道を選んで旅を続けた
もう、お腹がすいて歩けない
そこに、ちらちらとまたボクの黒い身体を隠すように雪が降って来た
寒くて、冷たくてボクは眠くなった
嫌われモノのボクは、空にも嫌われて、白い雪に埋められるんだな
もう…いいか
眠っちゃおう
眠ったら、お腹すいたの解らないし、怖い思いしないし、誰にも追いかけられないし
これは、遠い祖先の記憶なのかな？
茶色に広がる大平原を、ボクは早速と走って獲物を捕らえている
何時も一番
たまに枝振りのいい木を見つけると、ボクは一番上で日向ぼっこ
間違えて生まれちゃったのかな
冷たいのも解らないや
………………………暖かい!!
いい匂い!!
コレも夢かな？
重たい瞼あけると、うわっ!!
人間の腕の中だ!!
殺されるのか？と思って逃げたくても身体が動かない
爪も牙もむき出せ無い
何か言っているみたいだけど
ボクの身体を撫で回し
暖炉の前に、あれは懐かしい匂い
おっぱいみたいな匂いの白いモノ
ボクは凄く欲しいけど動け無い
ボクを抱いている、片方の手でボクの口の中に
チューと流し込んでくれる。ボクは美味しくて美味しくて、バタバタした気分で呑んだ
実際は、全く身体は動かない
口すら開かない
人間が何か細いモノで、流し込んでくれている
ボクは、だんだん元気になった
何だか居心地がいいな！と思ったある日ボクに聞こえた。
ノアール…