家を出る日の朝。



慌しく残りの荷物をまとめ、
身支度を整えて
夫、わんこ、幾らかの荷物
と共に車に乗込む。



所々無言の中
車内は、穏やかで
いつものお出かけ、
いつものように地元に帰る、
そんな錯覚に何度か陥りそうになる


600kmを超える移動
高速のパーキング内のお店や
ドックランなどに寄りながら
ゆっくりと私の地元に向かう



車内で流していた
音楽専門のインターネットラジオ
それは、
私達が好きなジャンルとは違っていて

だからこそ
それを聴くたび
改めて女の影響を強く感じて

最初の頃は
あんなに悲しくなったり
落ち込んだり
焦ったりしてたのに、

しみじみと、
『ダサい男・・・』
と感じてる自分がいた。

強がりか?
本心か?






あまりに普通の雰囲気に
実感が湧かないけど、
この移動の目的・ゴールを時折思い出し
涙ぐんでしまう


別れ際、、何を言おうか・・
などと考えて

慌てて、現実逃避するように
その考えを打ち消す

そうでもしないと
私はきっと泣き出してしまう







もう少しで
地元エリア、というところで
事故渋滞が始まる

腹を決めたつもりでいたけど

まだ帰りたくない

現実に直面したくない私は少しホッとする。


そんな私の横で運転する夫は、
どうにかもっと早く到着できないか?
と焦っていて、ひとり寂しくなる。







私の実家近くで
私の母に会いたくない、と
露骨に言う夫


自分がやった事の自覚のなさ、

そして
その薄情さに呆れる






出発からおおよそ11時間後、
実家到着


荷物をバケツリレー方式で運ぶ


最後、
わんこだけになり

車に戻る時、
いよいよ・・ と覚悟する。




結局母に会うことなく、
夫は私に話し始める




「今までありがとう。
 俺が悪い、、ごめん。」



「私の方こそありがとう。
 今までKに幸せいっぱい貰ったから・・」



「俺も蓮にたくさん幸せ貰った。
 こんなに愛されていると感じた事はなかった・・
 なのに、こんな中途半端に終わってごめん。

 いつか、何かの機会があれば会おう

 本当にごめん。」




お互い泣きながら

最後のハグをした

力いっぱいに




私達、本当に終わった