豊穣祭だってことで、ハンター仲間の薬屋さんから小さなパンプキンパイのセットが送られてきた。
例によって薬入りだという。これを食べた人間は向こう二週間、猫の耳と尻尾が生えてしまうらしい。
またロクでもない……と半分呆れたけれど、イタズラは好きなので早速獲物を探しに行くことに決めた。
問題は、薬の効果が記載されたカードをあたしが見たのは、あたしがパイを食べた後だったということだ。
猫耳と尻尾の生えてしまったあたしは、人混みを避けて廃屋に行った。
人前にはとても出られないと廃屋に入って安心するも、そこにもやっぱり誰かしらいるもので。
ばったり鉢合わせたあたしの姿を見て、ランプルールはビックリしていた。
彼はいつも通りに礼儀正しくて、あたしのような山育ちの猿みたいな小娘もレディとして扱ってくれる。
あたしの耳と尻尾を見て最初は驚いていたけれど―――
すぐにあたしの心情を察してフォローしてくれたのは、嬉しかった。
彼と異種族間の認識の違い、それを乗り越えて皆が街で暮らすことは可能かと議論する。
共存の道は難しい。彼とあたしの認識はそう一致した。
―――けれど、それは不可能な道なのだろうか?絶対に実現できない、夢の話なのだろうか。
現に彼とあたしは、ちゃんと話をしている。ここに至るまでには苦痛もあったけれど―――
少なくとも今、彼とあたしの間には闘う空気はない。
話し合うことは可能だ。「難しい」と「不可能」は違う。
あたしはそれを信じる。
彼は最後にひとつ、あたしにプレゼントをくれた。
それは信頼という、形はないけれどとても大切なプレゼント。
あたしも家に帰ると、それを彼へと。
いつかこの世の誰もが、自然にこんなことが出来るようになれば―――
それはとても素晴らしいことに違いない。
遭遇者:ランプルール